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不定期日記(過去ログ)

2005年07月〜12月



2005.12.29
 またまたおまけの日記。

 小型宇宙輸送船で到着した「ROM」124号は、パンションというぜんぜん知らなかった英米黄金期の作家の特集。奥深いなあ。
 柄刀一氏の『凍るタナトス』文春文庫は1月発売のものの見本刷り。本格ミステリ・マスターズも、着々と文庫化されている。ということは、拙著、『猪苗代マジック』も来年の夏から秋頃に文庫になるのかも。

 ではでは。

2005.12.28
 おまけの日記。

 黒田研二氏との合作『Killer X(キラー・エックス)の見本刷りができてきた。冬のこの時期に相応しい装丁だ。来年1月12日頃の発売。


 購入本は、『ヘルマン・ヘッセ全集(8)』。『ロスハルデ(湖畔のアトリエ)』と『クヌルプ』が収録されている。
 山田正紀さんの『マヂック・オペラ』を読了。バロック的。
 下の『聖域の殺戮』のイラストが一部のブラウザで見えなかったようなので、修正してみた。

2005.12.27
 購入本は、横山光輝『原作完全版 鉄人28号(3)』と『手塚治虫と6人』

 ロジャー・スカーレット『ローリング邸の殺人』論創社が発売になった。どうぞ御購読を。

 連載原稿「僕らの愛した手塚治虫」を書き、亜空間通信で小学館へ送る。
 2月に出る予定の『聖域の殺戮』の再稿ゲラを確認して戻す。
 ポプラポケット文庫から2月に出る予定の高木彬光『蝙蝠館の秘密(「吸血魔」を改題)』の解説を書く。
「ミステリマガジン」に載せる論評を書く。

 ウイルコムの「W-ZERO3」が抽選に当たったのだが、忙しくて購入申し込みを忘れてしまった。まあ、慌てることもあるまい。

 ――というわけで、今年の日記はこれで終わりです(たぶん)。来年もよろしくお願いします。皆さん、良いお年を。そして、良い読書を!

2005.12.24
[情報館]を更新。

『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物(仮)』あらため『聖域の殺戮』のイラストを紹介できることになった。まだラフだが、これでも格好良さは充分以上に伝わるでしょう。製作は有限会社Storyteller(イラスト・二見敬之)。ギガンテスの絵は、一度3Dを作ってから2Dにするという手の込んだもの。本が出るのが待ち遠しい。
 絵は順に、ギガンテス、バルガの怪物に襲われた牙動人、マン中尉、シュトルム中佐。


2005.12.23
[告知の訂正]
『EDS 緊急推理解決院』のサイン本(著者全員のサインが入ったもの)ですが、ある書店のミステリー・コーナーではなく、店頭平積みとなりました。写真がその模様。どの書店かは、この写真の中にヒントがあります。


 昨日は、サンメドウズ清里で初スキーのはずが、強風のためリフト動かず、急遽、シャトレーゼへ移動する。こっちは風もなく、雪も適度に降り積もっていて良い塩梅だったが、やたらに寒かったのには閉口した。ショート・ターンの練習をしたが、うまくいかず。

2005.12.21-2
 これが、25日に論創海外ミステリから発売になるロジャー・スカーレットの『ローリング邸の殺人』。重ねて書くが、ぜひ海外本格推理小説ファンは、これを買ってほしい。解説が全部で三つも付いているほど面白いのだ。

 小型宇宙船で、『ファーブル昆虫記 第1巻下』が到着。ついでに、買い忘れていたスティーブンスン&オズボーンの『難破船』も注文してみた。

2005.12.21
[新刊]
「別冊シャレード89号 東川篤哉特集

 Sクラスの書店で、エドモンド・ハミルトンの『眠れる人の島』創元SF文庫を採取。ハミルトンはもっと読みたい。

 昨日はちょっとした嬉しいハプニングがあった。コルステロール検査のため、某病院に行ったら、採血してくれた綺麗な看護師さんが、「二階堂先生ですよね、ファンなんです。サインしてください!」と、文庫本の『名探偵の肖像』とペンを差しだしてきた。「今は、『EDS 緊急推理解決院』を読んでいます!」とのことで、ますます嬉しくなってしまう。推協を通じて入っている保険の保険証にはペンネームも書いてあるから、素性がばれやすいのだが(だから、恥ずかしい病気にはなれないね)、こういうことなら大歓迎である。

2005.12.19
[緊急告知]
 読者へのクリスマス・プレゼントです。本日もしくは明日、東京都内のある書店のミステリー・コーナーに、『EDS 緊急推理解決院』のサイン本(著者全員のサインが入ったもの)が20冊だけ平積みになります。ぜひ、お買い求めください。
 ある書店とは、新宿紀伊國屋本店、ジュンク堂池袋店、神田三省堂本店、ブックファースト渋谷店、神田書泉ブックマートのいずれかです。
 捜してみてね。

 昨日は、光文社文庫の編集さんと打ち合わせ。『新・本格推理06』の収録作を決定する。今回は8作品が発表される。派手さはないが、非常に充実した内容となった。3月に光文社文庫から発売予定。お楽しみに。

2005.12.18
[新刊]
 本格ミステリ作家クラブ編『天使と髑髏の密室』講談社文庫
 日下三蔵・編『都筑道夫少年小説コレクション(6)  拳銃天使』本の雑誌社

 太田忠司氏の新刊『予告探偵 西郷家の謎』を読了。いろいな点でびっくりする作品。最初は、麻耶雄嵩作品と京極夏彦作品が合体したかと思ってびっくり……そして、最後でまたびっくり。

2005.12.17-2
本格ミステリ作家クラブの業務連絡]
 クラブ員の皆様へ。
 講談社文庫版の年鑑アンソロジー『天使と髑髏の密室』を送りました。来週中に届かない場合は、事務局に御連絡ください。なお、1月にももう一冊『死神と雷鳴の暗号』が出ます。

 読者の皆様へ。
『天使と髑髏の密室』か『死神と雷鳴の暗号』のどちらかを購入し、帯の裏側に書かれているとおりに応募すると、抽選で10名様が、来年5月に開催される公開開票式に立ち会えます。奮って御応募ください。

2005.12.17
「24」の第4シーズンを見終わる。第3シーズンがアレだったんで、ちょっと心配したけど、これは面白かった。

2005.12.16-2
本格ミステリ作家クラブの業務連絡]
 クラブ員の皆様へ。
 第6回(2006年度)「本格ミステリ大賞」候補作決定のための推薦アンケート用紙を送付しました。ぜひ、推薦作を御回答ください。今年は、投票用紙、FAX、メール(専用メールアドレス)のいずれか1手段で投票ができるようになりました。
 来週になっても投票用紙が届かない方は、事務局まで御連絡ください。
 よろしくお願いします。

2005.12.16
[情報館]を更新。

 論創社の論創海外ミステリの見本刷りが3冊届く。発売は25日。
 今月のラインナップは、ロジャー・スカーレット『ローリング邸の殺人』、ヘンリー・セシル『判事とペテン師』、アン・ホッキング『看護婦への墓碑銘』というよだれもの。『ローリング邸の殺人』には、私が解説を書いている。『ローリング邸の殺人』が売れたら、スカーレットのデビュー作『The Beacon Hill Murders』も論創社が出してくれるはずなので、皆さん、この本は絶対に買ってください。

2005.12.15
『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物(仮)』は、『聖域の殺戮』という題名で出版されることが決定した。2006年2月に、講談社ノベルスから刊行予定。

 昨日は、上野の東京都美術館で「現創展」を見てくる。母親が油絵を2点出品しているため(左が母親の大西次子の絵)。
 面白かったのが、マンガ家のバロン吉元さんが、龍まんじという別名義で油絵を出品していたこと(右の絵)。やはり、他の人の絵とは一皮も二皮も違っていた。


 さて、その後、新橋のヤクルトホールへ行き、手塚プロ製作の『ブラックジャック ふたりの黒い医師』の試写会に参加。監督は手塚眞氏。声をやった若い男優・女優も壇上で監督と共に挨拶する。指定席のすぐ前には中野晴行氏もおり、しばし、『鉄人28号』や『伊賀の影丸』その他のマンガの話をする。他に気づいたのは、やなせたかし先生、女医でタレントのNさん、また、中野氏から教えられ、浦沢直樹さんや、元小学館編集者の長崎尚志さんもいることを知る。幕が下りた後、音楽家の難波弘之さんが声をかけてくれたので、ちょっと立ち話をする。

2005.12.12
「僕らが愛した手塚治虫」の原稿を書き、小学館へ亜空間通信で送る。

『新・本格推理06』の候補作を読み終わる。今年は昨年のようなずば抜けた奇想はなかったが、全体的に安定感と充実感があった。一人、下読み選者が絶賛する人がいて、なるほど、これは将来性があるぞと、私も思った。現時点では、12作を残してあるので、ページ数の関係から、2作ないし3作を落とさねばならない。これは本当に辛い。僅差の判定になるか、他の作品との兼ね合いによってラインナップが決定される。今週中に、編集さんと一緒に決めるつもり。

2005.12.11
[新刊]
 真梨幸子『えんじ色心中』講談社

 マドンナのCDはもう買うまいと思っていたのだが、今回の『Confessions on a Dance Floor』はダンス・アルバムだというので手を出してしまった。そうしたら、予想外に良かった(とはいえ、ディスコではなく、クラブ・ミュージックに近いのは現代風か)。次回も変に高尚ぶらず、ダンス・アルバムで頼む。

 公平を期すために書いておくと、探偵小説研究会のQ氏からメールをもらい、例の事項について、ここ3日ほど往復書簡の形で議論を交わした。意見の相違はもちろんあるが、互いに示唆する部分や得られる部分も多々あり、全体像としては見解の一致をみたと思う。そういう点では、非常に有益な話し合いができた。ただ感情的に反発するだけではなく、作品内容や他者の意見について建設的な考察がなされ、ちゃんとした作品論が世の中に発信されることは、本格推理(評論)シーンにとって何より必要なことだ。いずれ、この往復書簡が公開される日が来ることがあるかもしれない(し、ないかもしれない)。

2005.12.09
[新刊]
「ミステリーズ! 第14号」東京創元社。
「メフィスト 2006年1月号」講談社。

「ミステリーズ!」で一番読むのが待ち遠しいのが、石上三登志氏の連載『探偵小説ふたたび』。前回が説明もなく見当たらなかったので、終わってしまったのかと心配したが、今回はちゃんと載っていた。良かった。

2005.12.08
[情報館]を更新。

[新刊]
 松尾由美『いつもの道、ちがう角』光文社文庫
 高木彬光『ゼロの蜜月』光文社文庫

 秋田書店から出たマンガ単行本、BJトリビュート・アンソロジー『ブラック・ジャック ALIVE (1)』と『同 (2)』が予想外に面白かった。音楽のトリビュート・アルバムなどを聴くと、本家を超えていないなあ、と思うことがよくあったが、これは内容的にも絵柄的にもバラエティに富んでいて、非常に楽しめた。

2005.12.06
 我孫子武丸さんが、掲示板に意見を書き込んでくれた。返答を書いたのだが、少し長くなったのと、他の方にもぜひ読んでもらいたい要素を含んでいるので、下に記すことにした。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 我孫子武丸さん、こんにちは。
 御意見と、ご忠告、どちらもありがとうございます。
 特にご忠告に関しては、友達がいを感じて嬉しく思いました。

 まあ、御意見に関しては、対立点はないので、議論にはなりませんね(笑)。

 とにかく、私は、自分の本格観を披露して、あの『容疑者Xの献身』を本格ではないという意見を開示しています(何度も書いていますが、本格でないからくだらないなどと言っているわけではありません)。もしも、異論があれば(特に、あの作品を本格だと思う評論家は)、堂々と、自分の本格観を示した後で反論を述べてほしいと思います。そして、私の意見のどこに間違いや錯覚があるのか、証明してみればいいのです。
 というよりも、本来、私が日記で述べたような事柄は、評論家が提示すべき問題です。それを行なわないのは、評論家として怠慢としか言いようがありません。たとえば、『2006 本格ミステリ・ベスト10』にページを割いて、探偵小説研究会の誰かがこのことを問題提起をすれば良かったのです(といって大げさなら、論じれば良かったのです)。
 しかし、残念ながら、今現在、探偵小説研究会を中心とした本格評論シーンは危機的な状況にあります。笠井さんは、最近、新本格(第三の波)が退潮期に入ったのではないかというような懸念を示すようなことがありますが、それに以上に危なくて、このままだと土台から腐って瓦解するのは本格評論シーンの方です。その証拠に、我孫子さんがまとめておられるe-NOVELSにおいても、「週刊書評」がしょっちゅう休載になる始末です。また、今年の評論の収穫といっても、笠井さんがこの前出した『ミネルヴァ』の第2巻しかない始末です。このままでは、《本格ミステリ大賞》の評論賞の存続さえ危うい状況です(すでに、そんなものは要らないという意見も、クラブ員の間から出ています)。
 今回の件を含んだ私の忠告をただうるさいと思うだけか、それとも反省材料にするかは彼らの問題ですが、聞き流すだけならば、五年後、十年後に振り返って、(評論の場をなくした)彼らは大いに後悔するでしょうね。

 それから、どのような論点も、小さな矛盾やブレはあるでしょう。それをもって、全体が間違っている、とするような考えは、少なくとも私は採りません。あくまでも、総論と根本原理でもって定義、定理、理論を語りたいと思います。過去における都筑道夫のロジック論、笠井潔の大量死論や第三の波論、島田荘司の本格奇想ミステリー理論、そういうものも、みんなそうでしたね。
 もともと、ミステリー(そして本格推理小説)などは、形のないものです。過去の論客たちも、文学的な芸術性の観点から、そのジャンルの活性化や進歩を目指して、評論活動を行ない、その面白さの中枢がどこにあるのかを、必死に読者に知らしめようとしてきたわけです。ですから、曖昧さがあるのは認めますし、だからこそ、意見の集約や最大公約数的見地から、ジャンルの定義を見出そうと頑張ってきたのではないでしょうか。
 よって、語ることは是であり、それを封じることこそ非であると私は考えます。

 とかく、日本人というのは、悪しき儒教精神から、前へ出て正々堂々と意見を述べるような行動や、そういう人間を、「けしからん」「みっともない」などと叱りだします。行儀論を持ち出して言論封殺をするのが社会的な正義だと、(無自覚に)信じている輩が多く、そうでないとすると、今度は、陰でこそこそと悪口をいいだす始末です。実は、そういう者こそ、私はみっともないし、醜悪な存在だと思っています(この辺は、島田荘司先生の考えとまったく同じですが)。
 今回の件に関しても、私は反対意見を否定していません。むしろ、(評論家の中から)反対意見が出ることを渇望しています。ただしそれは、「東野圭吾の作品を本格でないと言うなんてけしからん!」というような感情的罵倒ではなく、何が本格で、何が本格でないか、あの作品が本格なのか本格でないのか、理論的に論争を交わしたいと思うのです。

 さて、我孫子さんは、御自分の『弥勒の掌』の例を挙げてくれましたね。私は、「よくぞ、挙げてくれた!」と快哉を叫びました。そうなんです。『弥勒の掌』と『容疑者Xの献身』を比べることによって、私の述べたことの正当性がさらに強固になるのです。
『弥勒の掌』は、紛うことなき本格の傑作です(ただし、探偵役の存立に関して一部瑕疵がありますが、そのことは我孫子さんに前に告げたし、別の話なので、ここでは述べません)。
 何故、傑作かと言えば、結末まで読んで、探偵役の推理を読者が聞かせられた瞬間、冒頭からそこまでの物語が一瞬にして頭に甦り、あそこにも、ここにも、そこにも、そこら中に手がかりや証拠が埋まっていたことが解るからです。ありとあらゆる挿話や、登場人物の会話、何らかの示唆が、この結末を支えるために用意されていたことが解るわけで、その鮮やかさに、我々読者は舌を巻くことになります。そして、それこそが、本格推理小説におけるカタルシスの原動力だと私は思います。
 我孫子さんはこうも書かれていますね。「『容疑者X〜』はというと……これはいわゆる「後ろから殴りつけるタイプ」のミステリなので、」と。そういう点では、『容疑者Xの献身』も『弥勒の掌』も同じ系統の作品でしょう。しかし、殴った後がまるで違います。『容疑者Xの献身』の場合、被害者は(つまり、読者は)、自分が何故殴られたのか死んでしまっても解らないのです。ところが、『弥勒の掌』は、必死に被害者が振り返って、犯人の顔を見ることができます。すると、その犯人は、一週間も前から、被害者を付け回していたストーカーだったとか、会社のライバルなどで、そういえば、このところ年中、そいつから嫌がらせを受けていたとか、何故、自分が攻撃をされたか理由が解るのです。
 極論を言うと、『容疑者Xの献身』の真相が、石神は宇宙人で、母娘に殺された死体を食べて証拠を隠滅した、などというものであっても、我々読者はいっさい文句を言えません。何故なら、すでに何回も書いたとおり、そこでの真相は、作者が一方的に読者に与えたもにすぎないからです。そういう形態が、私の言うところの《捜査型の小説(=非本格=広義のミステリー》の手法というものなのです。

2005.12.05
 掲示板にも書いたが、ここで私が述べたことに関する議論や反論を行なう際についてのお願いと、私の側のスタンスを、以下に記しておく(掲示板からの引用)
 たとえば、一連の記述において、私が『容疑者Xの献身』を非難しているなとど誤読するような人の書き込みには、申し訳ないが、時間的余裕から、今後は無視せざるを得ない。私はあくまでも、「本格ではない『容疑者Xの献身』を、本格だと誤解(無理解)している評者を批判している」のである。つまり、ブッシュ大統領をつかまえて「あの人は立派な日本人だ」という者がいたら、「いいえ、ブッシュ大統領はアメリカ人ですよ」と誤解を解くだろう。立派かどうか(本が面白いかどうか)は別の問題だ。それと同じことなのである。
 出たばかりの「このミス」と「本格ミステリ・ベスト10」で言えば、ミステリー研究家の日下三蔵氏は、前者では『容疑者Xの献身』を1位に推し、後者では順位からはずしている。本格が何であるかをちゃんと理解している評論家の行動として、これが当然のことであろう(彼に対する評価眼ランキングは3位から1位に昇格。それ以上の順位はないのでごめん(笑))。
 もう一つ付け加えておくと、そもそも、東野圭吾さんのガリレオ探偵シリーズは本格パロディだ。本格を揶揄することで同時に非本格ミステリーも揶揄し、また、それらに関して無理解な読者を(特に評論家を)揶揄していることは言うまでもない。過去の短篇集がパロディだったのに、この長編を真面目に(本格に立ち向かって)書かれたものだと誤解する方がおかしい。そういう点も含めて、東野圭吾さんはこの長編を使って揶揄しているのだと、私は推測している。

【掲示板の書き込みに関するお願い】
基本的に、あるジャンルの活性化や進化に繋がる議論は大いにすべきだと思います。
しかしながら、それには前提があります。

(1) 相手の意見をよく聞く(読む)こと。大意をしっかり理解した上で、質問なり、反論を行なう。
(2) 枝葉末節の言葉尻を捉えたり、揚げ足取りをしない。ネット紛争でよくあるのが、やたらに細かいことをいいだし、最後は感情論になって、悪口の言い合いになってしまうこと。これは避けたいですね。
(3) 議論の基盤となる、あるジャンルの歴史や基本理論はしっかりと身に付けておくこと。たとえば、本格推理小説について議論をしたいのなら、ポーから新本格推理に至る歴史や、いろいろな人が唱えている本格推理に関する定義の代表的なものは理解しておくこと。それから、今回のことで言えば、1920年代から徐々に整備された本格推理小説のゲーム性と、それに付随する「フェアプレイ」のルールについてはちゃんと頭に入れておいてもらいたい。

また、前にも書いたことなのですが、僕は自分の述べた意見に関して責任を持っているし、議論は大いにする用意はありますが、それでも、不特定な人(ハンドル名しかあかせない人)とは、あまりそれを行ないたくない(行なえない)と思っています。何故かと言うと、(3)の部分が担保できないからです。
議題となる事柄の確信的な部分で話をしている時に、推理小説の歴史を1から説明するような事態はごめんです(そのような時間的な余裕もありません)。


 さて、その上で、もう少し、本格(推理小説)とは何か、ということを論じよう。
 本格を成り立たせる条件として、次の三つが挙げられると思う。

  (1) 文学的定義
  (2) 作家の動機(執筆者の精神)
  (3) ジャンル的技術(手法)

 一番目は、本格の外観である。私は、本格の定義を『《本格推理》とは、手がかりと伏線、証拠を基に論理的に解決される謎解き及び犯人当て小説である』と考えている。過去の有識者の意見も概ね似たもので、たとえば、乱歩なら、『 探偵小説とは、主として犯罪に関する難解な秘密が、論理的に、徐々に解かれて行く経路の面白さを主眼とする文学である。』としている。
 また、ミステリー全体の定義に関しては、私は『《ミステリー》とは、《謎》の存在する小説の総称で、主として、《推理型の小説》と《捜査型の小説》を合わせたものである』。つまり、ミステリーは、大きく二つの種類に分けられるのだが、その定義は、『《推理型の小説》とは、ミステリーのうち、謎を推理という思索的行為によって解決する物語である。《探偵小説》や《推理小説》や《本格ミステリー》がこれに該当する。《捜査型の小説》とは、ミステリーのうち、謎を捜査という体験的行動によって解決する物語である。《私立探偵小説》や《警察小説》や《犯罪小説》などがこれに該当する』ということになる。
 このあたりの事柄については、光文社文庫の『本格推理15』で詳しく論じているので、興味のある方は読んでみてほしい。ミステリーが、《捜査型の小説》と《推理型の小説》に分かれることを正しく理解していないと、ハードボイルドは本格より高尚だとか、本格は他のジャンルより立派だ、みたいなとんちんかんなことを言いだしかねない。同様に、推協賞や「このミス」などは、私から言わせると、冷蔵庫とテレビと電子レンジとパソコンを比べて、どれが一番役に立つ家電かを競うような珍妙な競技にしか見えない。

 二番目は、その作品を書く作家に、本格魂があるかどうかだ。これは感性の問題なので、読者側がどう感じたかということも問題になる。外観的には謎があり、捜査があり、論理的な推理があっても、魂が注入されていなければ何にもならない。かつて、粗製濫造された多くの社会派ミステリーやトラベル・ミステリーを読んで、我々がそれらを(優秀な)本格だと感じないのは、そのためである。少なくとも、私や芦辺拓氏や有栖川有栖氏などの書く作品を読んで、本格を書いていない、などどは誰も思わないだろう。そういうことなのである。

 三番目は、本格のファアプレイ理論に基づき、どのような手法や技術を用いて作品を構築するかということである。今回、私が『容疑者Xの献身』を本格ではない、と断じたのは、大きくこの三番目からのことで、一番目や二番目もある程度関係する。
 この本の真相(湯川の想像)には、読者に対する手がかりも証拠も充分でなく、読者はそれをけっして推理できない。よって、作者が真相であるとするものが最後に開示されるまで、読者は真相に到達し得ない。つまり、そういう結末の得られ方(作者からの与え方)は《捜査型の小説》であるから、《推理型の小説》ではない(=本格推理小説ではない)、ということなのである。Q.E.D.

2005.12.04
[情報館]を更新。

 ほう。『本格ミステリ・ベスト10』も、『容疑者Xの献身』が1位でしたか。ますます戦いがいがある。闘志が湧いてきた(笑)。

 例年、『本格ミステリ・ベスト10』を読みながら、勝手に批評眼ランキングというのを付けている(批評家ランキングではない)。
 佳多山大地氏は、4位から9位に降格。円堂都司昭氏も5位から10位に降格。黒田研二氏は25位から50位に転落。

 20位までの作品で読んでいないのは、『交換殺人には向かない夜』(これから読む予定)、『笑酔亭梅寿謎解析』(本の存在を知らなかった)、『天使のナイフ』(読む予定なし)の3冊。
 それから、『デカルトの密室』と『犬はどこだ』は読んだが、両方とも本格推理小説ではないね。前者は(本格推理寄りの)SFだし(オチがSFだもの)、後者は私立探偵小説である。

 ところで、昨夜は、昭和50年卒業国立一中同窓生の忘年会が、国立の旭通りの居酒屋「おばこ」であった。私は仕事が立て込んでいるので、30分ほどしか顔を出せなかったが、旧友たちに会えて非常に嬉しかった。
 同窓生には、芥川賞を取った多和田葉子氏がいるのは、前にも書いたとおり(一年の時に同じクラス)。それから、声優の大塚明夫氏。大塚氏の父上が有名な声優であることは昔から知っていて、彼も声優になったことは聞いていた。しかし、日本のテレビドラマや映画を観ない私は、俳優とか声優とかに興味がないので、彼がどんな人物に声を当てているかは解らなかったのだ。
 ところが、聞いてびっくり!
 おお、「ER」のベントン先生は、大塚氏でしたか! それに、「ブラック・ジャック」の声も大塚氏でしたか!
 いやいや、それどころじゃない。何と、何と! 「新スタートレック」のライカー副長の声も大塚氏だったんですか!
 青天の霹靂!
 今日は、ショックで頭がいかれて、朝からニヤニヤしている。

2005.12.03
[情報館]を更新。

 ははは。「このミス」の一位は、東野圭吾さんの、『容疑者Xの献身』でしたか(笑)。これはぜんぜん構わないというか、むしろ当然の結果なんでしょうけどね。

『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物(仮)』のイラストのラフ、第2弾が上がってくる。ますます格好いい! 今回、イラストを担当してくれるのは、有限会社Storyteller(イラスト・二見敬之)である。

2005.12.02
[新刊]
 山田正紀『マヂック・オペラ』早川書房

 エンタープライズ/ビッグホーン号のバッテリーを新品にし(前の無名の奴は、2年持たなかった。今回はパナソニック製にしてみた)、新品のスタッドレス・タイヤを履かせる(前のブリジストンのスタッドレス・タイヤは3シーズンでお役目ごめん。新型が出ているかと思ったら、型番は変わらず、同じ銘柄を履くしかなかった)。冬支度である。

 この前書いた、折原一さんの小説や、東野圭吾さんの、『容疑者Xの献身』が、限りなく本格(推理小説)に近い非・本格(広義のミステリー)である、という主張について、もう少し詳しく書こう。

 たとえば、このような叙述トリックものを仕掛けたミステリーがあるとする。有名な避暑地のホテルに集まった人のうち、女性だけが、4人も殺される。彼女たちの年齢も16歳から45歳とまちまち、出身地も名前も経歴も共通点はない。謎は謎を呼び、犯人が解らないので恐怖は増大するばかり。しかし、最後に、被害者は全員が妊娠していて、臨月間近でお腹が大きかったことが、(作者の描写によって)明かされる。ただし、それまでは、いっさい、彼女たちが妊娠しているような描写や素振りは書いていない(作者曰く、そう書かなかったからと言って、そうではないということにはならない――これが、折原一さんなんかが、よく使う叙述トリックの一つ)。犯行動機は、ある人物が妊娠している女性を、ある理由から憎んでいたうんうん。
 読者は物語中で、女性たちが妊娠していることに関する手がかりも証拠も、何一つ作者から情報を与えられていない。そのため、訳が解らず、疑惑は膨らむばかり。結局、推理はできず、想像だけはしてみるが、決定打がなく、最後に作者が提示する答えを待つしかないのである。
 ――というのが、叙述派の作家がミステリーを書く時の方法である(英米ミステリー作家の叙述ものも、だいたいがこれ)。
 だが、これでは、この小説は、本格(推理小説の)の資格はない。
 この物語と叙述トリックのまま、それを本格にしようとするならば、物語の途中に手がかりと証拠をこっそり埋め込む必要がある。たとえば、女性たちが手帳(実は母子手帳)を持っているとか、毎月産婦人科へ行っていると話をしているとか、とにかく、最後になって読み返すと、「ああ、そうか、女性たちは、妊娠していたからこそ、あんな物を持っていたり、ああいう行動をしたのか!」と合点がいくような証拠が必要なのだ。
 では、何故、折原さんたちが、ミステリーを書く時、そうした手順を踏まないか(つまり、本格として書かないか)というと、謎の設定に対する自由度が膨らむからだ。それによって、読者の惑いも飛躍的に大きくなる。作者としては、読者が真相を見抜かない方がありがたいし、だから、わざと見抜けない(推理できない)ように書いているわけである。
 しかし、本格推理作家の場合には、証拠や手がかりによって、謎作りも解決の幅にも枠をはめている。それが、本格推理小説の様式美の一つであって、その限定された枠の中で、どれだけの驚きを与えられるかが、勝負なのだ。よく、読者は「犯人が解った」と当てずっぽうで言ったりするが、ある程度は解って当然。何しろ、犯人を作中の数人の登場人物の中だけに押し込めているのだから(選択肢は少ないし、想像外の結果はあり得ない)。
 何にしろ、読者一般にも、そうした両者のミステリー作法の違いを解ってもらえたらありがたい。ミステリーには、いろいろなもの(ジャンル)があって、そのそれぞれに特徴や独自の面白みがあるのだ。

2005.12.01
[情報館]を更新。

[新刊]
 飯城勇三&エラリー・クイーン・ファンクラブ『エラリー・クイーン・パーフェクトガイド』ぶんか社文庫
 大倉崇裕『丑三つ時から夜明けまで』光文社

 パール・バックの『つなみ』という短編が、一冊の本になって出ていることに気づき、取り寄せる。これを原作とした映画が来るとか来ているらしい。

「ポプラポケット文庫」の高木彬光作品第2弾は、『吸血魔』。2月刊行らしい。ただし、改題される予定――実は、解説を書くことになった。

2005.11.30
 貨物宇宙船で、横山光輝『原作完全版 鉄人28号(1)』『同 (2)』(潮出版社)と、奥本太三郎訳『完訳 ファーブル昆虫記 第1巻上』が届く。

『原作完全版 鉄人28号』は、鉄人ファン、漫画ファン、感涙の企画。以前、光文社文庫でも「少年」掲載分が復刻されたことがあるが、絵が小さかったり、欠落があったりと、不満足なものだったので、これは素晴らしい内容だ。鉄人誕生からロビーの巻あたりまでは一つの大河ドラマであり、大活劇であり、まさにジェットコースターのよう。本当に面白いので、ぜひ多くの人に見てもらいたい(逆に言うと、その後はどうでもいいかも)。

『完訳 ファーブル昆虫記』も実に嬉しい。これで、訳の古い岩波文庫版はお蔵入りにできる。大きな版なので文字が見やすいし、綺麗な図版がずらりと並んでいて、眺めるだけでも楽しい本だ。

『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物(仮)』のイラストのラフが数点上がってくる。とっても格好いいぞ! まだお見せできないのが残念。

2005.11.29
[新刊]
 霞流一『サル知恵の輪』アクセス・パブリッシング
「ファウスト 6号」講談社

 2月に講談社ノベルスから出る『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物(仮)』のゲラに朱を入れながら、『新・本格推理06』の候補作を読んでいる。『24 第4シーズン』のBOXセットが届いたのだが、しばらく見る暇がない。

2005.11.28-2
 あれから、ネット書評をいくつか読んでみたが、誰も、『容疑者Xの献身』の本当に真相に気づいていないようだ。もちろん、それは、東野さんが、『どちらかが彼女を殺した』のように、真相をあえて書かなかったものだろう。つまり、たいていの人は、湯川の「想像」を真相だと思っているようだが、あれはあくまでも「想像」であって、真相ではないのである。東野さんは、別の真相を、あの物語の中に巧妙に隠してあったわけだ。私はそう推察する。

 以下に、『容疑者Xの献身』の真相を書く(反転しておく)。この本を読了したが、真相に気づかなかった人のみ、読むこと。

 結論から書く。

 石神が愛していたのは、母親の靖子ではなく、娘の美里である。美里も、そのことを前々から知っている。

 東野さんが叙述トリックで、(本当に隠していたのは)このことなのである。石神が献身を捧げているのは、靖子ではなく、美里なのだ。
 冒頭、石神が不審な物音を聞いて(殺人があった)、隣の部屋を訪れ、一度自室へ戻った後、もう一度、彼女たちの部屋へ行く。この時、すでに石神が殺人について知っているのは何故か。それは、美里が母親の目につかぬよう、石神にケータイで、「殺人を犯してしまった。助けてくれ」とのメールを送ったからに他ならないのである。
 石神が、靖子の恋人の男性工藤を尾けたりしたのも、靖子に惚れていたからではなく、美里が母親の再婚を気に入らず、そのことを石神に文句を言っていたからだ。写真を撮っていたのも、母親の相手がどういう人物か、美里にメールで知らせるためもあった。
 弁当屋で、石神が靖子に惚れているんうぬんという噂が立っている、というような思わせぶりな記述も、すべて、この錯誤を成立させるための叙述トリックの一部である。
 最後の方で、石神が、靖子と美里に初めてあった時の気持ちが書いてある。もしも、靖子に一目惚れしたのなら、普通、作者はそう書くはずだ。ところが、そうではなく、「何という綺麗な目をした母娘だろうと思った」のように、曖昧な書き方(常に二人を対象とした書き方)をしてある。
 結末の方で、美里が自責の念に駆られて自殺未遂したように見えるのも、父親殺しに関する自責の念ではなく、自分を愛してくれた人(石神)に対する罪悪感なのである。
 真の殺人者である美里が、冒頭以外、ほとんど出てこないのも、すべてこのため(石神の真の気持ちを読者に隠すため)だ。
「幾何の問題に見せかけて、代数の問題」というのは、湯川が受け止めたようなアリバイと被害者の問題ではなく、愛する相手の取り違えのことなのである。 

2005.11.28
 島田荘司先生の『エデンの命題』と、東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』を読了。

『容疑者Xの献身』に関して、今年の本格推理の収穫のように書いている書評を見た記憶があるのだが、それはちょっと違うのではないかと思う。もちろん、東野さんの見事な話術によって、これはとても面白い小説に仕上がっている。したがって、「いい小説だった」とか「面白いミステリーだった」と読者が感じるのは、当然のことだ(特に、一般読者なら)。だが、「本格(推理小説)として優れている」と評するならば、それは間違っている、と正す必要がある。何故なら、これは、折原一さんの(限りなく本格推理に近い)ミステリーと同じで、読者が推理し、真相を見抜くに足る、決定的な手がかりを(作者が)恣意的に伏せてある(書いてない)からだ。これでは、(本格として)フェアとは言えず、したがって、本格推理小説としての完全な条件を満たしていないわけだ。
 ただし、東野さんは、明らかにそのことを自覚していて、確信犯的にそのように書いているのだと思う(つまり、限りなく本格に近い、広義のミステリーとして書いているにすぎない)。私も、別に、以下のことを作者の瑕疵として指摘しているわけではないので、念のため。
 以下、内容に言及して、この件を詳しく説明する。反転しておくので、未読の方は注意のこと。
 この小説のトリックの肝は二つあって、一つが一つを補強して、全体のプロットを構成している。どういうことかと言うと、殺人犯人の石神がBという男を殺し、これをAという男の死体のように見せかける(ここまでは、作中犯人のトリック)。そして、実際の犯行が3月9日夜にあったのを、そのことをわざと(作者が)書かず、Bが死んだ3月10日のことのように書く、という叙述トリックによって、石神の仕掛けたトリックが(主に、読者に対して)成立するようし向けてあるわけだ。
 ここで大事なことは、どちらのトリックに関しても、名探偵役の湯川が己の「想像」を語った際、決定的な手がかりが存在しないことである。犯行日時の特定は、文中事件を現実のものと考えれば、今後、警察の科学捜査によって、個人の特定(発見された死体がAではなく、Bであるということ)などから可能であろう。それによって、日時の決定を(読者に対して)示したと(作者が)主張することもできる。そもそも、叙述トリックの場合には、あることをわざと書かないことによって、読者の思い込みに錯誤を与える手法を採ることが多い(ただし、私なら、それでも、日時が後で明らかとなるような手がかりや証拠は文中に埋め込む。実際、スキー・サイコ・シリーズは、そのように書いてある)。
 さて、問題なのは、死体の件である。湯川は最後まで「推理」と言わず「想像」と言っているが、彼の「想像」を警察官と読者が聞かされても、それは確かに「想像」にすぎない。何故なら、彼がそのように見抜いた手がかりも(石神の思わせぶりな問題提出はあるが、確証とは言えない)、また、死体が別人のものであるという決定的な証拠もないからだ。本格推理小説の場合ならば、名探偵がそのように「推理」した際、前に戻って、その「推理」が正しいと認めるに足る証拠が存在する文章か単語を発見できるであろう。しかし、この作品には、そうした重要な証拠がない。よって、湯川も「想像」はできても「推理」はできなのだ。ということは、証拠を基にした推理が不在なのであるから、これは(本格)推理小説とは言えないのである。
 重ねて書くが、この小説はとても面白いし、良質の(広義の)ミステリーである。しかし、本格推理小説として優れている、というのならば、これは今述べた意味において本格推理小説ではないのだから、そういう評価は間違っている、と指摘するのが適切だろう。

2005.11.26
[情報館]を更新。

 昨日は、吉祥寺のTRICK+TRAPでサイン会。お陰様で、大盛況でした。御来場くださった皆さん、本当にありがとうございました。
 一番遠くから来られた方は、台湾のMr.Petsさんでした。その次が、大阪から来たHさんで、何と、高校(中央大学付属)時代の同級生。前々から、私のことに気づいていて、本人かどうか、確かめに来たとのこと(笑)。28年ぶりの再会である。彼とはいつも推理小説の話をしていて、ある時、神田の早川書房へ殴り込みをかけたほど。「何故、絶版ばかりなんだ!」と、わざわざ文句をいいに言ったのである(大笑)。28年前、あの頃のポケミスは、絶版だけらでしたからね。という訳で、彼に会えたのが、大いに嬉しいハプニング。
 一番年齢が若いのが、赤ちゃんのY君。将来が楽しみです。
 明治大学推理小説研究会の皆さんは、島田先生と私のインタビューが載っている会誌「斜論」を、フェリス女学院・横浜国立大学推理小説研究部の皆さんは、創作集の「クライム」を持ってきてくれました。
 また、お花やお菓子をくださった方々にも、深くお礼を申し上げます。
 それから、喜国さん・由香さん御夫婦、高田崇史さん、加賀美雅之さんも、忙しい中、顔を出してくれました。多謝。

 さて、昨日の会場の様子や、おまけに当たった方々の写真である。最初が、オーナーと戸川店長。三番目の写真の方が持っているのが、例のシークレットおまけ「二階堂黎人秘密調書」。A4写真印刷で10頁に及ぶ豪華本(自作)である。ボクちゃん探偵Tシャツをゲットしたのは、あの有名なI女王。この人は、転んでもただでは起きないのだ(笑)。


2005.11.25
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[新刊]
 楳図かずおデビュー50周年『姿なき招待/続・姿なき招待』小学館クリエイティブ
 加納朋子『虹の家のアリス』文春文庫
 鳥飼否宇『激走 福岡国際マラソン』小学館

 鳥飼否宇さんの本は、小学館eBOOKSの電子ファイルで読むこともできる。前半は無料。

 光文社から『新・本格推理06』の一次審査に残った候補作が届いている。応募総数は84作で、候補作は23作であった。これから、じっくり、読ませてもらう。下選考からは、「今年は良い意味で、バラエティに富んでいる」とのメモが付いてきた。結果が楽しみである。

 さて、明日はサイン会。これから、おまけ(9)のシークレットを作製するところ。
 それでは皆さん、明日、お会いしましょう!

2005.11.24
[情報館]を更新。

[新刊]
 永嶋恵美『一週間のしごと』東京創元社
 田中啓文『落下する緑』東京創元社


 法月綸太郎さんの編んだ『法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー』を読む。アンソロジーを読むと、編者の嗜好というものがよく解るのだが、法月さんの場合には、結末の切れ味(あるいは、オチの面白さ)を重視という感じだね。多彩な内容でありながら、一本筋の通った素晴らしいアンソロジーであった。お勧め。

サイン会のおまけ(8)
 第8弾は、世界に2枚しかない特製シール(何しろ、私が作ったのだから)。


2005.11.21
 サイン会のおまけ(7)
 ジャジャーン! 第7弾は、世界に一枚しかない、『ボクちゃん探偵』Tシャツなのだ。何しろ、河内実加さんから画像を提供してもらって、私自らがアイロンプリントで作ったものなのだから。というわけで、とっても貴重ですぞ(って、コピー&ペーストして記述)。河内実加さんのサイン会でプレゼントした奴とは絵柄違いなのだ。


2005.11.20
[新刊]
 笠井潔『探偵小説と二〇世紀精神』東京創元社

 さっそく、『探偵小説と二〇世紀精神』を読む。連載の時も読んでいたが、クイーンの『シャム双子の謎』と『ギリシア棺の謎』に関する論評が実にスリリング。
 私の場合、『ギリシア棺の謎』を初めて読んだ時、三番目の推理にまでしか達成せず、クイーンによる四番目の推理(この場合は作者のクイーンだったわけだが)が披露された時、「そんなの解るわけないじゃん」と思ったのだが、その理由が、この『探偵小説と二〇世紀精神』には書かれている。
 北村薫さんの『ニッポン硬貨の謎』と合わせて読むと、さらに面白さが倍増。

 サイン会のおまけ(6)
 ジャジャーン! 第6弾は、世界に一枚しかない、『カーの復讐』Tシャツなのだ。何しろ、喜国さんから画像を提供してもらって、私自らがアイロンプリントで作ったものなのだから。というわけで、とっても貴重ですぞ。


2005.11.19
[新刊]
 島田荘司『エデンの命題』光文社カッパ・ノベルス
 篠田真由美『螺鈿の小箱』東京創元社
「SFJapan 2005年冬号」徳間書店

 ついに、『カーの復讐』の見本刷りができあがった。苦節40000年という感じだから、嬉しさも一塩。某所で編集さんから受け取り、家に帰って読み返したら、これが滅法面白い。自分の書いたものの中でも、1、2のできだろう。喜国さんの表紙絵や挿絵も最高だし!

 箱には怪盗ルパン カーの復讐』と書いてあるが、背表紙には『カーの復讐』と金箔押しで、こっちが正式な題名。検索などでは、『カーの復讐』で大丈夫。

2005.11.18
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[新刊]
 松尾由美『ハートブレイク・レストラン』光文社
 黒田研二『結婚なんてしたくない』幻冬舎
 シリル・ヘアー『いつ死んだのか』論創社(論創海外ミステリ)
 S・H・コーティア『ドリームタイド・ランド』論創社(論創海外ミステリ)
 エマ・レイサン『死の信託』論創社(論創海外ミステリ)

 論創海外ミステリは、ここから第二期スタート。シリル・ヘアーが嬉しい。次回配本には、ロジャー・スカーレットの他、ヘンリー・セシルなんかも入っているのだ。

 今日あたりから、大手書店には、新世紀「謎」倶楽部の『EDS 緊急推理解決院』が並ぶはず。絶対に面白いので、ぜひ御購読をお願いしたい。

2005.11.17
[新刊]
 日下三蔵・編『都筑道夫少年小説コレクション(4)  未来学園』本の雑誌社
 柳広司『我輩はシャーロック・ホームズである』小学館ミステリー21

 論創海外ミステリから出るロジャー・スカーレットの『In the First Degree』の解説を仕上げているところ。6枚の注文に19枚も書いてしまった。邦題も、『ローリング邸の殺人』に決定。刊行をお楽しみに。

2005.11.15
 11月18日に光文社から発売になる『EDS 緊急推理解決院』の見本刷りができてきた。構想から四年、ようやく完成をみたわけである。執筆者は、 石持浅海/加賀美雅之/黒田研二/小森健太朗/高田崇史/柄刀一/鳥飼否宇/二階堂黎人/松尾由美という豪華な顔ぶれ。執筆者が力を込めて書いたので内容も良いものになったと自負しているが、装丁も非常に凝っている。こちらは、編集さんのおかげである。

 サイン会のおまけ(5)
 第5弾は、「別冊シャレード」の「二階堂黎人特集」。インタビューなどが載っている。これもお一人様に。


2005.11.14
[情報館]を更新。

 遅ればせながら、東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』をSクラスの書店で採取。

 サイン会のおまけ(4)
 これが「オオカミ通信2号」の裏表。裏の左下、四角い枠の中に、当たりの場合には商品名を書いておくので、これをもらった人は、必ず裏を確認すること。


2005.11.13
[新刊]
 江戸川乱歩全集第3巻『陰獣』光文社文庫
 柴田よしき『猫は聖夜に推理する』光文社文庫

 乱歩全集は、今回も帯が変装していた(笑)。
 新保博久さんの解説の一部は、相変わらずの純文学史観による評価。もう何度目かの全集なんだから、そろそろ、そういう古い評価(『蜘蛛男』以降の娯楽作品より、初期短編の方が優れている、というアレ)から抜け出して、エンターテイメント史観で、乱歩の作品全体を正しく考察したいものである。

 サイン会用のおまけ(3)
 ジャーン! 光文社が作ってくれた『キラー・エックス』Tシャツなのだ。劇レアだよ! これも1名様だ。


2005.11.12
[新刊]
 折原一『グッドバイ 叔父殺人事件』原書房

 北村薫さんの『北村薫のミステリー館』を読了。良いアンソロジーだなあ。こういうのを、本を読まない人が読んだら、絶対に本好きになるのにね。ただ問題は、本を読まない人は、こういう本を買わないし、読まないってこと。

 サイン会用のおまけ(2)
 1998年9月に、神田三省堂で行なわれたサイン会で、私は『オオカミ通信』というペラ紙のおまけを配った。裏表にびっしり、単行本未収録のエッセイ等を印刷したものである。というわけなので、今回も、『オオカミ通信2』を用意して、サイン会に来てくれた人全員に配るつもり。
 それから、これもおまけ。本格ミステリ・マスターズ特製ブックカバー。抽選で一人に当選となる。『オオカミ通信2』の裏に、「当選−何々」、「はずれ」と記載しておくので、それによって、おまけの当選が(はずれが)解る仕組み。おまけに当たった人は、僕と一緒に記念写真を撮りましょうね。


2005.11.11
 山口雅也さんの『ミステリー映画を観よう』を読みながら、「一人何でも鑑定団」みたいで凄い! と思ったり、後書き対談を読みながら、自分にも思い当たる節がたくさんあるので、「バカだなあ」と愛情を持って相槌を打ったり。

 「本の窓」の連載「僕らが愛した手塚治虫」の原稿を書いて、亜空間通信で送付。今回の主題は、「手塚治虫は何故、描き変えをするのか」。

2005.11.10
[新刊]
 山口雅也『ミステリー映画を観よう』光文社文庫
 島田荘司『魔神の遊戯』文春文庫(本格ミステリ・マスターズ)
 山田正紀『僧正の積木唄』文春文庫(本格ミステリ・マスターズ)

 数々の傑作を世に問うてきた本格ミステリ・マスターズ・シリーズの文庫化がいよいよ始まった。単行本で読み損なった方はぜひ、この機会に。

 サイン会用のおまけ(1)
 最初が、『人狼城の恐怖』テレカ。講談社が、完結記念に作ってくれたもの。2枚あるので、抽選かな。
 次が、これまでにもおりがあれば配ってきた二階堂黎人トレーディング・カード(イラストレーターの手による自家製)。基本の絵柄は3種類だが、裏の絵が違ったり、文字種が違っていたりして、何種類がある。こちらは、来てくれた人全員に一枚ずつ配るくらいはありそう。



2005.11.09
 サンタナの新譜『All That I Am』を聞く。前2作の売れ線の曲だけで固めたような作品で、もう一つ。ジャケもダサイ。

 Sクラスの書店で、『法月綸太郎の本格ミステリ・アンソロジー』角川文庫と、石上三登志訳『キング・コング』創元推理文庫を採取。『キング・コング』は、ハヤカワ文庫版も出ているはずなんだが、見かけず。

 26日のTRICK+TRAPでのサイン会へ来てくれた人へのおまけをあれこれ考えているところ。何にしようかな。

2005.11.08
[新刊]
 島田荘司『上高地の切り裂きジャック』講談社ノベルス
 後藤均『グーテンベルクの黄昏』東京創元社
 間羊太郎『ミステリ百科事典』文春文庫

「メフィスト」用の原稿、『双面獣事件』第4回を200枚書いて亜空間通信で送付。いよいよ、世紀の怪物が現われて、暴れ回るのだ!

「サスペリアミステリー」用の原稿を書き、亜空間通信で送付。

 文春文庫の『ミステリ百科事典』をペラペラと見て、驚いた。例文など、新訳のあるものは一部、差し変わっているのだ。単なる復刊ではなく、ヤジさんキタさん(宮部さん、北村さん)の前触れがあるなど、丁寧な校訂がなされている。名著なので、ミステリー・ファンは、一家に一冊備えておくのが吉。

 夏からずっと悩んでいたのだが、とうとうジョルジュ・サンドの自伝『我が生涯の記』を買ってしまう。大著なので、読み終わるまでしばらくかかりそう。いずれ、藤原書店の「ジョルジュ・サンド セレクション」も買うようになるのだろうか。

2005.11.03
 講談社ミステリーランド『カーの復讐』の発売を記念して、吉祥寺のTRICK+TRAPで、11月26日(土)に、サイン会をやることになりました。皆さん、よろしくお願いします。

 心配なのは、当日の体調。また、右手のテニスエルボーが完治していないので、すぐに握力が落ちること。左手でサインする練習をするか。

2005.11.02
『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物』は、来年2月に講談社ノベルスから出ることに決定。もちろん、SFといえど、基本的な内容は完全に本格推理である。

『悪女パズル』を読むが、『摩天楼の怪人』の後では、何を読んでもつまらなく感じてしまうのは仕方のないところ。

『双面獣事件』の原稿を執筆中。下書き140枚を突破。

2005.10.31
 島田荘司氏の『摩天楼の怪人』を読了。文句なく面白い! いろいろな点で、「幅」というものをこれほど有効に使う作家(ミステリー作家)とういものを他には知らない。感心するばかり!

 それにしても、政治家たちは、なし崩しに憲法改正などと言いだし、空恐ろしいことしきりである。
 防衛だとか何とか、いろいろな言い訳を彼らは唱えているが、戦争をしたい理由はいつの世もいつの政府も一つだ。ただ単に、戦争をして金儲けをしたい、したい奴がいる、これだけである。
 もしも、これを若い人(30代、20代、10代の人)が読んでいたら、これだけは覚悟してほしい。憲法が改正されて、日本が軍隊を正式に持つようになれば、必ず徴兵制が敷かれる。そして、前線へやられるのは、あなたたち若い人だ。年寄りや、国会で威張っている政治家ではないのだ。あなたや、あなたの子供や、あなたの孫が、戦争へ行かされて、殺されてしまうのだ!

 ちょうどこの時期、『ヘルマン・ヘッセ全集10 デーミアン』の新訳が出たのは、ある意味、象徴的なことだと思う。ドイツでヒットラーが台頭し、ドイツ国民も戦争を盛んに望んでいた時、ヘルマン・ヘッセやトーマス・マンは反戦を唱えていた。そして、ドイツを追放され、ヘッセは仕方なく、エミール・シンクレールという匿名で『デーミアン』を発表した。
 私は、どこのイデオロギーにも属していないが、先人のヘッセにならって、これだけははっきり述べておく。「戦争には反対である」

2005.10.30
 小型宇宙輸送船で、『ヘルマン・ヘッセ全集10 デーミアン』、パトリック・クェンティン『悪女パズル』扶桑社ミステリー、萩尾望都『バルバラ異界(4)』が到着。

 創元推理文庫の『俳優パズル』(絶版)は、謎解きは悪くないけれど、訳のせいか、ごちゃごちゃした印象が強く残っている。さて、『悪女パズル』はどうなんだろうと、興味津々。

 神田神保町の新しいポータルサイト「BOOK TOWN じんぼう」が開かれていた。前より検索が使いやすくなった(でも、値段も一発で表示してほしいなあ)。

2005.10.29
[新刊]
 島田荘司『摩天楼の怪人』東京創元社

 TNTの「All The Way To The Sun」を聞く。悪くはないが、前作の「My Religion」の方が良い。

 辻真先さんの『沖縄軽便鉄道は死せず』を読了。素晴らしい冒険活劇の末、結末で、本格ファンが「おお!」と感嘆の声を上げる仕掛けが。ベテランの技巧が光る!

2005.10.28
[情報館]を更新。

[新刊]
 西澤保彦『フェティッシュ』集英社

 実業之日本社の『大人のスキー VOL.1』を頂戴する。これが出ると、いよいよスキー・シーズンという気分になる。

 11月中旬発売予定の、新世紀「謎」倶楽部『EDS 緊急推理解決院』のカバー・ラフが出てきた。こんなふうに、にぎやかで楽しい感じ。


2005.10.27
 講談社ミステリーランドの『カーの復讐』は、11月25日の発売と決まった。映画『ルパン』の公開もあり、私としては10月に出て欲しかったのだが……いろいろと……まあ、すんだことは仕方がないか。

 昨日は、脳の磁気共鳴診断(MRI)検査を受けてきた。あんなに綺麗に脳内が輪切りになって見られるとは! 血管の具合まで解るんですなあ。正直、驚きであった。で、脳に異常はいっさいなし。私の場合は、悪いのは胃腸だけなのだ。

 ロジャー・スカーレット『In the First Degree』は非常に面白かった。解説を書く予定。

2005.10.25
 DELLフライヤーに入れてあるウイルスバスター2005を2006へバージョンアップする。これまでは、バージョンアップすると、動作が重くなったり、設定が難しくなったりしたのだが、今回はそういうことはなかった。

 論創社から近々出る予定の、ロジャー・スカーレット『In the First Degree』(1933)のゲラを読んでいるところ。『エンジェル家の殺人』第2弾といった感じで、なかなか良い。

2005.10.24
[情報館]を更新。

 2週間ぶりに、修理に出してあったエプソンのインクジェット複合機が戻ってきた。しかし、ぜんぜん直っていなかった。即座に再修理に出す。次はキャノンを買おうと思った。

2005.10.22
 bk1では、もう、角川文庫版『宇宙神の不思議』が買えるようになっている。

 光文社創立60周年記念特別企画 『月刊漫画誌「少年」昭和37年4月号 完全復刻BOX』が小型宇宙船で届く。
 いやいや。載っているマンガの顔ぶれのすごいこと。『鉄腕アトム』『鉄人28号』『サスケ』『シルバークロス』『ストップ! にいちゃん』……ときて、江戸川乱歩の少年探偵団『超人ニコラ』まで載っているのだ。
「少年」全冊、復刻なんて、やってくれないかしら。

2005.10.21
[新刊]
 柴田よしき『激流』徳間書店
 石持浅海『セリヌンティウスの舟』光文社カッパ・ノベルス

 光文社の『新・本格推理2006』への応募総数は、今年は81作品でした。応募してくれた皆さん、ありがとうございます。ただ今、原稿は一時審査に回っています。
 なお、引き続き『新・本格推理2007』の募集が始まっています。今年間に合わなかった方は、次回にぜひ!

 マンガショップの『0戦あらし(上・下)』が小型宇宙船で到着。初の単行本化。「少年チャンピオン」連載作品だが、まったく読んだ記憶がない。何故だろう?

 歌野晶午氏の『女王様と私』を読了。読みだした途端、こういう話で、こういう結末だろうと思ったとおりになってしまった。何か読み所を見落としたか、読み方を間違えたかもしれない。読んだ人が「意外な展開、意外な展開」といっていたので、予断があったのは確かだが。

2005.10.20
[情報館]を更新。

[新刊]
 レックス・スタウト『アルファベット・ヒックス』論創社(論創海外ミステリ)
 ヴィクター・カニング『溶ける男』論創社(論創海外ミステリ)
 ナイオ・マーシュ『ヴィンテージ・マーダー』論創社(論創海外ミステリ)
 ダニエル・シルヴァ『さらば死都ウィーン』論創社

 今度のマーシュは、劇場ミステリーか。ちょっと期待。

2005.10.19
 原書房の「本格ミステリ・ベスト10 2006」のアンケートが届く。とりあえず、「作家の近況」を書いて、亜空間通信で送る。「このミス!」の方には企画ものについて書いたので、こっちは単独名義の作品の予定について書いた。

 光文社「ジャーロ」のリンクエッセイを書いて、亜空間通信で送付。もちろん、11月に発売になる『EDS 緊急推理解決院』について書く。

 で、『EDS 緊急推理解決院』の再稿ゲラも出てきたので、校正して戻す。凝った見出しなども配置されて、仕上がりがますます楽しみな本になってきた。

2005.10.18
 11月末に小学館クリエイティブから、楳図かずおの『姿なき招待/続・姿なき招待』が復刻本で出るのだが、その解説を書き、亜空間通信で送付。

 WOWOWで『ヴァン・ヘルシング』という映画を見る。なかなか面白かったのに、結末がすべてをぶち壊した。普通、あれはハッピー・エンドでしょうに。

2005.10.17
[新刊]
 日下三蔵・編『都筑道夫少年小説コレクション(4) 妖怪博士』本の雑誌社

 ジャーン! 緊急ウルトラ・クイズへの答である。
『カーの復讐』の主人公は、怪盗アルセーヌ・ルパンなのだ!。
 ルパンが、エジプトの呪いと戦う物語なのだ。「カー」というのは、生き霊の「ka」のこと。王墓を荒らされて怒った神出鬼没のミイラ男が、発掘者の家族を、次々と鉄壁の密室の中で殺害していくという話であった。
 というわけで、当選者は、あみだくじの結果、 TKSさんでした。『宇宙神の不思議』のサイン本を贈ります。

 ナイオ・マーシュ『アレン警部登場』を読了。《殺人ゲーム》での本当の殺人という趣向。新本格ミステリー作家なら、そこに大きなトリックを盛り込むわけで、そういう意味では、「普通」と評価せざるを得ない。

『都筑道夫少年小説コレクション(4) 妖怪博士』を読んで、長年の疑念が晴れることがあった。8月31日に、手塚治虫の『蟻人境』(毎日新聞SFシリーズ・ジュニア)を古書店て購入したことを書いたが、これには白いカバーが付いていなかった。昔から、このシリーズでは、白いカバーのあるものとないものがあって、どういうことだろうと思っていたのだが、それには、ちゃんと理由があったのだ。真相を知りたい人は、『都筑道夫少年小説コレクション(4) 妖怪博士』の解説を読まれたし。

2005.10.15-2
 緊急ウルトラ・クイズ!
 角川文庫から10月25日に発売になる『宇宙神の不思議』の見本刷りができてきた。
 そこで、以下のクイズに正解した人から、抽選で1名に、この文庫本にサインを入れて贈ろうと思う。
 答が解った人は、掲示板に書き込んでください。正解者が複数の場合には、あみだくじによる抽選。
 締め切りは、来週月曜17日朝9時まで。


【問題】
 11月に講談社から発売になるミステリーランド『カーの復讐』の主人公(名探偵役)は誰でしょう?
 (ヒント)この本の原題は、『××××× カーの復讐』で、×××××には、主人公の名前が入る予定でした。
 (第2ヒント)今年、書かれるのにふさわしい作品です。

 では、成功を祈る!

2005.10.15
[新刊]
 桐野夏生『アンボス・ムンドス』文藝春秋

 小説家を目指す人に非常に役立つ本が出た。すがやみつる/横山えいじ『マンガでわかる小説入門』ダイアモンド社という本である。実践的な内容で、特に、ミステリー作家にはたいへん重要となる「視点」の問題について、詳しく書いてある。小説賞応募者にはとても役立つので、ぜひ購読されたし。

 パズル雑誌「ニコリ」の連載原稿を書き、亜空間通信で送付。〈Zの事件簿〉第3話で、「ドラキュラ殺人事件」というもの。四ヵ月おきというのも、アッという間だ。

2005.10.14
 マシュー・ヘッド『藪に棲む悪魔』を読了。異国情緒はある。人間ドラマ系。

2005.10.13
 昨日は、「日経ビジネス」による取材あり。手塚治虫関係。

 歌野晶午氏の『そして名探偵は生まれた』を読了。祥伝社文庫作品を買い逃した人にはお買い得。

 Mクラスの書店を探索して、論創海外ミステリの新刊、マシュー・ヘッド『藪に棲む悪魔』、マージョリー・アリンガム『家庭教師の陶人形』、マイケル・イネス『アプルビイズ・エンド』を採取。一番注目しているのは、アフリカが舞台だとという『藪に棲む悪魔』
 実を言うと、間違って、マージョリー・アリンガム『殺人者の街角』を買い、家に戻ってからそのことに気づき、また本を取り替えに行くという大失敗をしでかしてしまった。だから、イネスとかアリンガムとかいうあたりの退屈一派は嫌いなんだ!

 本多勝一『日本語の作文技術』の新装版が出ているのも発見。作家を目指す人にはとても有益な本である。

 東京創元社の「ミステリーズ!」が来ると、真っ先に評論関係を読む。前号から始まった福井健太氏の論考も楽しみにしているものの一つ。だが、今月の内容にはちょっと不満がある。「証拠」と「伏線」がごっちゃになっているが、きちんと分けて整理して語るべきだろう。あと、実作や実例を挙げているのは解りやすいけれども、この回について言えば、ただネタバレしているだけのように感じる。

2005.10.12
[新刊]
 江戸川乱歩全集第22巻『ぺてん師と空気男』光文社文庫
 高木彬光『刺青殺人事件』光文社

 乱歩全集の新刊『ぺてん師と空気男』には、変装のため、二重に帯がかかっていた。今回は騙されないぞ、二十面相!
『刺青殺人事件』には、神津恭介ものの未発表短編が収められていたから驚き! しかも、密室もの!

『タンクタンクロー』などの名作マンガを復刻している小学館クリエイティブから、何と、楳図かずおの探偵マンガ《岬一郎シリーズ》が刊行されることになった。第1弾が10月末の『森の兄弟/底のない町』(『底のない町』が岬もの)、第2弾が11月末刊行の『姿なき招待/続・姿なき招待』である。後者に解説を書く予定。

2005.10.11
 すっごく分厚いアレステア・レナルズの『啓示空間』の冒頭30ページほどを読む。面白いかどうかということは別として、文章を刈れば、3文の1の長さになるんじゃないだろうか。それと、グレッグ・イーガンみたいな題名は何とかならなかったんだろうか。

 編集さんの朱と意見が入ってきた『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物』の原稿を修正し、亜空間通信で返送する。結局、550枚くらいにはなったと思う。

「秘密にしてくれ」というので、一所懸命秘密にしていたが、巷ではとっくに、「メフィスト」があと2冊で一時休刊になることが知れ渡っていたのね(編集長自ら、講談社のメールマガジンで書いているし)。1500枚の予定で連載していた『双面獣事件』を(現在300枚)、残り2回で一応の(第1部)完にしなければならないとは。ふうっ。いろいろと悩ましいのである。

2005.10.10
 ポプラポケット文庫の高木彬光『悪魔の口笛』と横溝正史『仮面城』が、小型宇宙船で到着。さっそく『悪魔の口笛』を読んでみたら、これが凄まじい話で……まあ、半分は笑ってしまったんだが……だって、冒頭、怪人とお巡りさんが格闘しているのを見て、名探偵・神津恭介がビビって逃げ出してしまうし……女怪人は西洋甲冑を着て、オベラを歌っているしで……ははは。

2005.10.09
 鮎川賞&ミステリーズ!短編賞パーティーは、鮎川賞授賞者なしにもかかわらず、大盛況。本格推理大好き作家、編集者が集まるから、ものすごく楽しんだよね。
 というわけで、以下に会場の写真を掲載。御覧のように、僕もちゃんと会場にいた。アリバイを主張する場合には、自分が写った写真を提出しなくちゃね。


2005.10.08
[新刊]
 歌野晶午『そして名探偵は生まれた』祥伝社
 松尾由美『安楽椅子探偵アーチー』創元推理文庫
 桐野夏生『冒険の国』新潮文庫
「ミステリーズ! 2005年秋 第13号」東京創元社
 ジョイス・キャロル・オーツ『フリーキー・グリーンアイ』ソニーマガジンズ

 昨夜は鮎川賞パーティー(受賞者はなし)で、その件は明日にでも。

 一昨日、ボプラ社文庫2冊を、マイケル・イネス『ストップ・プレス』国書刊行会と北村薫『北村薫のミステリー館』と共にbk1に注文。留守中に届いていたのは、『ストップ・プレス』と『北村薫のミステリー館』だけだった。
 ところで、『ストップ・プレス』ってどういう意味?

2005.10.05
 WOWWOWで、「CSI:マイアミ シーズン3」が始まった。うーん、格好いいぞ。普通の「CSI」より「マイアミ」の方が好きだな。「マイアミ・バイス」もそうだが、舞台が日本離れしているからかもしれない(当たり前か)。イメージ・ソングに、エドガイの「スーパーヒーローズ」を選んだ日本側スタッフもセンスがいいぞ。
 火曜日のテレビ、「コールドケース」「CSI:マイアミ シーズン3」という流れはたまらん。

2005.10.04
[新刊]
 日下三蔵・編『都筑道夫少年小説コレクション(3) 蜃気楼博士』本の雑誌社

「IN☆POCKET」の翻訳文庫アンケートに回答。

「僕らの愛した手塚治虫」の今月分(掲載は12月)の原稿を書き、亜空間通信にして送付。

 今後、刊行の本の予定。
 10月25日頃 『宇宙神の不思議』角川文庫
 11月15日から25日頃 『カーの復讐』講談社ミステリーランド
 11月 新世紀「謎」倶楽部『EDS 緊急推理解決院』光文社
 2006年1月 黒田研二/二階堂黎人『キラー・エックス』光文社文庫
 まだ時期未定 『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物』講談社

2005.10.03
 映画『ファンタスティク・フォー』を見てくる。『X−メン』や『スパイダーマン』より面白かった。『宇宙忍者ゴームズ ムッシュ・ムラムラ〜』とかいう邦題だと、もっと嬉しかったんだが(笑)。

 レオ・ブルースの『骨と髪』を読む。堅実な謎、堅実な物語、堅実な推理で、クリスティーのミス・マープルものの佳品を思わせるでき。惜しむらくは、主人公のキャロラス・ディーンに、良い意味でも悪い意味でもまったく魅力がないところ。

2005.10.01
 ザ・ラスマスの『ハイド・フロム・ザ・サン』を聴く。哀愁たっぷりのメロで、前作よりちょっぴりハードになり、ちょうど私の好みのあたり。
 英盤、米盤、国内盤、全部、収録曲が少しだけ違う。紙ジャケの英盤を買ってみた。

2005.09.30
 講談社の編集さんと打ち合わせ。『カーの復讐』の発売は、早ければ11月15日、遅ければ11月25日の模様。

 Mクラスの書店を探索して、『ヘルマン・ヘッセ全集(1)』(臨川書店)を購入。

2005.09.29
 奥泉光氏の『モーダルな事象』を読了。文言や文体に味がある。さすがに純文学系作家ということで、文章に芸があるということだ。上品なユーモアは、夏目漱石の『我が輩は猫である』の第一章を読むよう。部分部分で読むと滅法面白いが、サスペンスによる吸引力がないので、読み終わるまで、非常に長い時間がかかった。

 昨日は、急に思い立って、軽井沢のりんどう文庫へ行ってみたが、休みだった。

2005.09.25
『カーの密室』の再校ゲラに赤を入れ、小型宇宙船にて発送。月曜日には、シリウス星域にある講談社に着くだろう。

「ミステリマガジン」11月号は、ルパン生誕百周年小特集だったので、購入。それによると、ルパン・シリーズを全部、ミステリ文庫で出すとのこと。ポイント高いぞ。ただ10年かかるという話(笑)。もう少し短くならんかな。

 それから、ジョージ・R・R・マーティンの『サンドキングス』がハヤカワ文庫の名作セレクションで復刊されるらしい。良かった。実は、買いそこねて、ずっと捜していたけど、見つからなかったもの(見つかっても、やたらに値段の高い)なんだよね。

 山本弘・編『火星ノンストップ』を読了。収録作は全部良かった。中でもヴァン・ヴォークトが、やはり格好いい。アンソロジーの続きもぜひ。

2005.09.24
[情報館]を更新。

 いつの間にか、小学館のサイト(小学館eBOOKS)で、書き下ろしミステリー・シリーズが始まっている。柳広司氏、大山誠一郎氏の小説が読める。前半は無料。後半は有料という面白い試みで、キャンペーンもやっている。

 ようやく、『カーの密室』の再校ゲラが出てきた。講談社側の都合で、発売は11月にずれ込むかもしれない。非情に残念。

 宝島社の「このミス」用「私の隠し玉」を書き、亜空間通信にて送付。今年から、「このミス」と「本格ミステリベスト10」で、予定を書き分けることにした。

 エンタープライズ・ビッグホーン号のタイヤを新品に交換。まだスリップサインは出ていないが、3年間履き、細かいひび割れが見えるので、交換することに。これまではブリジストンのオールシーズンタイヤ(デューラーH/T 684)を履いていたが、冬場はスタッドレスに履き替えるし、オフロードには行かないので、オンロードタイプのタイヤ(デューラーH/L 683)にしてみた。乗り心地が変わるだろうか。

2005.09.23
 何気なく、bk1を見ていて、こんなものを見つけてびっくり!

 光文社創立60周年記念特別企画 『月刊漫画誌「少年」昭和37年4月号 完全復刻BOX』 ・5000部限定シリアルナンバー刻印認定カード付き。 【復刻版特別ふろく】 ・少年21年史を創刊号からの全表紙で綴る、ディスコグラフィ小冊子。 別冊ふろく8冊・懐かしい組み立てふろく(オルゴールレコード)他、13大ふろくも完全復刻。

 あわてて、光文社のサイトを見に行って確認した後、bk1にて予約を入れた。
 それにしても、どうして光文社の編集さんは、こんないいものを隠していて、僕に教えてくれてかったんだ。買い損なったら、どうやって責任を取ってくれるんだい?

2005.09.22
[情報館]を更新。

[新刊]
 辻真先『沖縄軽便鉄道は死なず』徳間書店
 加納朋子/菊池健『ななつのこものがたり』東京創元社
 エドモンド・ハミルトン『キャプテン・フューチャー全集(9)』創元推理文庫

 というわけで、島田荘司先生の『名車交遊録(上)』『名車交遊録(下)』(原書房)を入手。「人魚兵器」は上巻に載っていた。やはり、悪い予感は的中(笑)。でも、まあ、『双面獣事件』は『人間豹』である、ということは公言してあるわけで、別にめげる必要もないだろう。

 Mクラスの書店にして、山本弘・編『火星ノンストップ』という格好いいアンソロジーを見つけて購入。SFミステリーのアンソロジーというと、たいてい買ってしまうのは性(さが)よのう。

 山田正紀先生の『未来獣ヴァイブ』を読了。80年代SFを読んでいるような懐かしい気持ちに。というか、元はあの頃書かれたものだから、当然か。

2005.09.21
 これが、村上もとか先生からいただいた色紙。羨ましい人も多いだろう(^_^)。


 この写真を撮ろうとして気づいたのだが、デジカメのF710のフラッシュがポップアップしない。あわてて保証書を捜したら、保証期限は9月25日までだった。即座に修理に出した。

 島田荘司先生の新作に「人魚兵器」という短編があるらしい。その題名を見ただけで、すごく嫌な予感がする(『双面獣事件』との題材かぶりという意味で)。これから、現物を当たってみるつもり。

2005.09.20
[新刊]
 桜庭一樹『少女には向かない職業』東京創元社
 東川篤哉『交換殺人には向かない夜』光文社カッパノベルス

 村上もとか先生から、『赤いペガサス』の絵を描いた色紙をいただいた。我が家の宝物にしたい。

 ヤフーオークションに、「最低落札価格」という設定がある。その価格まで入札がないと、出品者側がいくらに設定してあるか解らないというものだが、あれって、どんな意味があるんだろう。入札側からすると、それが解らないと、金額的にいくら入れたらいいか判断ができないだけなんだよね。変なの。

2005.09.16
[新刊]
 光文社「ジャーロ」第21号(2005年秋号)
 貫井徳郎『悪党たちは千里を走る』光文社
 吉村達也『マジックの心理トリック』角川書店

『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物』の加筆完了。
 次の仕事は、原書房の書き下ろし長編の予定。

2005.09.13
 最近読んで、面白かった本。滝沢清『平成へき地医療騒動記 村医者から見えたおカミの偏差値』あけび書房。

2005.09.11
 羽純未雪氏の『碧き旋律の流れし夜に』を読了。かなり良いでき。新人でこれだけ書けていれば(文章も含めて)、今後が楽しみ。今年の鮎川賞へ応募していたら、きっと授賞していたでしょうね。そう考えると、ちょっと残念。
 作品世界は、横溝正史、村野宮子系統の純和風的推理小説で、そこにJUNEが混ざり、横溝的ロマンチシズムというよりは、綾辻的リリシズムによって、耽美的な風景が描かれている。
 充分な収穫、と述べた上で、やはり留意点はある。
 1、現在と過去の事件の整理が悪い、少なくとも、現在の事件をもう少し明確にした上で、そこに過去の事件が浸食してくる形の方が良かったのでは。
 2、被害者の妻が目覚めたとき、友人たちが枕元にいるのは変。親族が、「不幸があったので、遠慮してください」と、普通は遠ざけるだろう。
 3、エピローグなどで、御都合主義(作者の都合の良い)の視点移動が行なわれていたりする。
 こうしたことを含めて、勉強の意味からしても、ベテランの良い編集者をつけてあげたいなあ。

 で、館もの二連発ということで、篠田真由美氏の『すべてのものをひとつの夜が待つ』も読了。
 さすがに、こちらはうまい。ゴシック風味の正統的なクローズド・サークルものだが、謎にも事件展開にもメリハリがあり、最後には、きちんと館とそこに隠された宝物の謎解きがされる。作者の西洋趣味・蘊蓄が、物語に対して綺麗に花を添えているのが素晴らしい。

 アルセーヌ・ルパン『怪盗紳士ルパン』(ハヤカワミステリ文庫)を購入。平岡敦氏にる新訳。今回も装丁がお洒落。

2005.09.10
〔新刊〕
 レオ・ブルース『骨と髪』原書房(ヴィンテージ・ミステリ)
 我孫子武丸/藤谷陽子『スライハンド』マッグガーデン

「僕らが愛した手塚治虫」の原稿を執筆。今月は、虫プロ商事の虫コミックスについて。

2005.09.09
 江戸川乱歩全集第22巻『ぺてん師と空気男』光文社文庫
 辻真先『長崎・ばてれん列車殺人号』光文社文庫
 新津きよみ『信じていたのに』光文社文庫
 鯨統一郎『ふたりのシンデレラ』光文社文庫
 木々高太郎・有馬頼義『推理小説入門』光文社文庫

 念のために書いておくが、光文社文庫から先月出た、江戸川乱歩他『推理小説作法』や、今月出た、『推理小説入門』の中には、推理小説(特に本格推理小説の定義や、その書き方)について、理解の未熟や、認識の不足や、意図的な誤解などが含まれている。気をつけて読むことをお勧めする。というより、「昔は、こんな馬鹿なことを言う人もいたんだなあ」くらいに軽く笑い飛ばすのが良いだろう。

 昨日は、所沢の彩の国古本まつりへ行き、ほんだらけ経由で帰宅した。購入したのは、ポケミスのヘレン・マクロイ『読後焼却のこと』など。

2005.09.08
 気がついたら、もう9月だった。今月末は、上に書いたように、『新本格推理06』の締め切りである。あと一ヵ月もない。みんな、頑張って素晴らしい作品を書き、どんどん応募してね。

 論創社の編集さんから、論創海外ミステリのラインナップについて、ここで書いても良いという許可をもらった。というわけだから、ドーンと宣伝してしまいましょう。下に書いたのは、それでもまだ一部というのだから凄いね。

 フィールディング『停まった足音』
 フィリップ・マクドナルド『Murder Gone Mud』
 ロジャー・スカーレット『In the First Degree』

 その他に、ステーマンやオルツィー、クェンティンの初期パズル・シリーズなども予定に上がっているというから、痺れてしまう。大いに期待しよう!

2005.09.07
[情報館]を更新。

 カウンターで800000番を踏んだ方に、何かサイン本を贈りたい。掲示板で報告を。

2005.09.05
[新刊]
 山口雅也『奇偶』講談社ノベルス
 倉知淳『猫丸先輩の空論』講談社ノベルス
 霧舎巧『九月は謎×謎修学旅行で暗号解読』

 スーパーチャンネルで、『謎の円盤 UFO』が始まった。ストレイカー司令官、格好いいぞ! とか思いながらも、やっぱり昔の男の子としては、ムーンベースのお姉さんのユニフォームに目が行ってしまう(笑)。

2005.09.03
[情報館]を更新。

[新刊]
 山田正紀『未来獣ヴァイブ』朝日ソノラマ(ノベルズ)

 今年は、アルセーヌ・ルパン100周年ということで、ルパンが話題である。IVCから出ている『怪盗紳士アルセーヌ・ルパン DVD-BOX』も好評だそうだし、もうすぐ、フランスの大作映画『ルパン』も封切られる。
 ということで、ミステリー・ファンの合い言葉はルパン! と、決定。

『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物』の加筆を継続中。元原稿350枚が、500枚になる予定。

2005.09.01
[情報館]を更新。
 ジャーニーの新譜「ジェネレーションズ」を聴く。残念ながら、今ひとつピリッとした曲がない。

 2年ぶりくらいに、「編集会議」という雑誌を読んだら、ずいぶん垢抜けた雑誌になっていたのでびっくりした。最新印刷技術の紹介など、作家にも奴立つスキルが載っている。

2005.08.31
 吉祥寺のTRICK+TRAPで行なわれた「西澤保彦先生、喜国雅彦先生・国樹由香先生のジョイントサイン会」に出かける。
 その前にある用事を済ませ、古本屋を覗いて、手塚治虫の『蟻人境』(毎日新聞SFシリーズ・ジュニア)を発見。帯付きで程度も良好だったので、速攻で購入。これって、シリーズ統一の白いカバーが付いているのだが、それはなかった(白いカバーを付けると、個別の表紙が見えなくなるという変な装丁。ここを参照)
 で、3時に会場に突入。僕も、喜国さんと西澤さんの本を買い求め、サインをしてもらう。喜国さんは、例によって、マンガ入り、付録付きという大サービス。西澤さんは、とても達筆。
 その時の写真は以下に。左はこなきジジイではなく、戸川さん。


 その行き帰りに、島田荘司/小島正樹『天に還る船』を読了。内容はともかく、もうちょっと、しっかりした校閲を通したい。たとえば、頭の方に、「だから妻は」「だから妻は」「だから」と、「だから」が一頁に3ヵ所も入る所がある。その後も、「しかし」「しかし」と、「しかし」ばかりで繋いだ個所があったりする。

 書店を探査。アルセーヌ・ルパン『カリオストロ伯爵夫人』(ハヤカワミステリ文庫)を発見。新訳で、装丁がお洒落だったので、購入。でも、平岡敦氏には、アルテの翻訳に専念してもらいたい。

2005.08.28
 限定3000部の『手塚治虫カラー秘蔵作品集』が、ジェネオン・エンタテインメントから出た。題名どおり、単行本未収録作品や、カラー作品ばかりが収録されている。嘗めるように、一頁、一頁、眺めているところである。

2005.08.27
[新刊]
 北森鴻『写楽・考』新潮社

 DVDに録画されたものを借りて、「名探偵ポワロ」の新作4作を見る。それにしても、本当に、このシリーズはよくできている。デビッド・スーシェが完璧にポワロを演じている。だから、映画版のポワロよりも、ずっと面白い。
『ナイルに死す』。原作も長いが、テレビ版も中盤までがやたらに長い。観光番組(笑)。計画的な犯行なのに、ものすごくいきあたりばったりの方法。
『杉の柩』。決め手がないだろう(笑)。だいたい、肝心の、身元調査はどうやった?
『五匹の子豚』。ポワロも言っているけど、やっぱり決め手(物的証拠)がないだろう(笑)。最後に拳銃を持ち出してきた場面は確か、原作にはなくて、やりすぎ。
『ホロー荘の殺人』。原作も長いが、地味ーーーーな、作品。これって、カーの『嘲る者の座(猫の鼠の殺人)』のクリスティー版。

 それにしても、クリスティーは、いいようなあ、と、いつも羨ましく思う。殺人が起きているのに、容疑者の身元確認はしないのかよ、とか、遠い親戚はみんな怪しいんだよな、とか、時間の前後があやふやすぎるよな、とか、その程度の一人二役ならば、顔を見れば別人だと解るだろうに、とか(笑)。

2005.08.26
[新刊]
 薬丸岳『天使のナイフ』講談社
 マイケル・スレイド『斬首人の復讐』文春文庫
 芦辺拓『真説 ルパン対ホームズ』創元推理文庫

 書いてから1年半も経っていると、中身をほとんど忘れていることに気づいた。加筆しながら初読のように楽しんでいる『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物』である。火星そっくりの赤い惑星であるバルガには、昔から恐ろしい化け物がいるという伝説があり、着陸してはならないという戒めがある。しかし、ここに研究基地を造った途端、上陸班7人が連絡を途絶え、探査ロボットを差し向けたところ、全員が惨殺死体で見つかる。6人は、頭と手足だけ残して胴体が消えており(衣服には破れなどないが、血まみれ)、あと一人は、鈍器で頭を完全に潰されている……。
 という、衝撃的な出だしであった。

2005.08.24
[情報館]を更新。

『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物』の加筆を開始。聖域に指定されたある無人惑星で起きた、観測基地内での不気味な殺人事件に、《ギガンテス》の乗組員が挑む! という話。

2005.08.23
 立川のMクラスの書店を丹念に探索して、ようやく、島田荘司/小島正樹木『天に還る船』と羽純未雪『碧き旋律の流れし夜に』を発見(共に、南雲堂SSKノベルズ)。前者に関しては、『南雲堂刊、『天に還る舟』のできるまで』の頭の部分を読んで、原題が『長瀞町の殺人』と知った時、あまりのセンスの悪さにがっかりしたもの(したがって、書簡の続きはまったく読んでいない)。一般の小説もそうだが、投稿原稿などを読んでいると、題名が格好悪いものは、中身もお粗末なものが多いと相場が決まっている。しかしまあ、それがどう昇華して、『天に還る船』になったか興味もあったので、気を取りなおして、買ってみることにした。

 ついでに、横山光輝の『コマンドJ(3)』も購入。

 ジョセフィン・テイの『歌う砂』を読了。面白くないわけではないが、『時の娘』には遠く及ばなかった。ニコラス・ブレイクが『野獣死すべし』だけの作家であるのと同じ意味で、テイも『時の娘』だけの作家だったと確信。

2005.08.20
[情報館]を更新。

[新刊]
 ダニアル・シルヴァ『報復という名の芸術』論創社
 マージョリー・アリンガム『ミステリー・マイル』ROM叢書2
 日下山三編『都筑道夫の少年小説コレクション(1) 幽霊通信』本の雑誌社
 日下山三編『都筑道夫の少年小説コレクション(2) 幽霊博物館』本の雑誌社 

 昨日は、『カーの復讐』のゲラが出てきたので、講談社の編集者と詳細な打ち合わせ。挿絵を描いてくださる方の名前は、もう明かしてもいいでしょう。そう、あの喜国雅彦大画伯なのだ!

 またも、評論・研究家の日下三蔵氏がやってくれた! 今度は、都筑道夫の少年小説コレクション全6巻だ。とりあえず、1巻と2巻が発売になった。少年少女小説は、なかなか復刊されないから、こういう企画はとても嬉しい。

2005.08.19
 高田崇史氏の『QED〜VENTUS〜 熊野の残照』を読了。もう少し、事件の解明の中から、古代の謎の真相が浮かび上がってくる構成だと、私のような(日本史の暗部にうとい)一般人にも、歴史ミステリーとしての衝撃性が伝わると思うのだが、いかがだろう?

 ほしおさなえ『天の前庭』と米澤穂信『犬はどこだ』を読了。両方ともけっこう面白かったが(特に前者)、前者はファンタジー風、後者は私立探偵小説風で、私の趣味からは半分ほどはずれていた。

2005.08.13
「ニコリ」に連載中の「Zの事件簿」第2話「狐火のマジック」のゲラを校正。1回10枚の読み切り推理短編で、確か「ニコリ」は季刊だから、原稿が400枚に達するのに10年かかることになる。もしも単行本が出るとしても、10年後だ。

 愛川晶『六月六日生まれの天使』を読了。

 夏休みが取れない。11月に刊行予定の新世紀「謎」倶楽部著『EDS 緊急推理解決院』のゲラに加筆中で、それが終わったら、『宇宙捜査艦《ギガンテス》 惑星バルガの怪物』の原稿に加筆修正の予定で(講談社から刊行予定)、近く『カーの復讐』のゲラも出てくる予定。

2005.08.12
 リン・ブロックの『ゴア大佐第三の事件 醜聞の館』を読了。よく言えば重厚。悪く言えば平坦。謎解きものの推理小説というより、私立探偵小説と思った方が良い。

2005.08.11
 江戸川乱歩全集第13巻『地獄の道化師』であるが、今月は「江戸川乱歩フェア」という帯がかかっていて、これまでのような味のある帯ではないんだなと思ったところ、何と、フェアの帯の下に、もう一つ、別の帯まで付いているではないか。つまり、二重帯という見事なトリックだったのである。さすがは、江戸川乱歩。さすがは光文社文庫!
 私が帯を捨ててしまう人間でなかったなら、けっして帯の変装に気づかなかったに違いない。やるな、二十面相!

2005.08.10
[情報館]を更新。

[新刊]
 江戸川乱歩全集第13巻『地獄の道化師』光文社文庫
 霞流一『首断ち六地蔵』光文社文庫
 江戸川乱歩他『推理小説作法』光文社文庫

 10月に角川文庫から刊行になる『宇宙神の不思議』のゲラを校正。

『カーの密室』の挿絵を描いてくださる方が決定。日本で一番探偵小説を知り尽くしているあの大画伯だ。これ以上相応しい人はいないだろう。とても嬉しい!

 ところで、ある日記を読んでいたら、喜国雅彦さんと国樹由香さんと西澤保彦さんのサイン会が、某所で開かれるとのこと。気づいたら、私も予約を入れていた。

2005.08.09
[新刊]
 喜国雅彦+国樹由香『メフィストの漫画』講談社
 三雲岳斗『旧宮殿にて』光文社

 いやあ、喜国さんと由香さんの『メフィストの漫画』がようやく出た。これを読みながら、声を出して「アハハハハ!」と大笑いしてしまった。それくらい、おかしい。本格ミステリ大賞ユーモア部門候補だぞ!

 論創海外ミステリの予定作品を聞いてしまった。それがすごいんだよね。書いていいかどうか解らないから、遠回しに触れておくと、鮎川哲也先生が読みたいと言った、イギリスのあの作品とか、カーが推薦したあの作品とか、江戸川乱歩が惚れ込んだあの作家の未訳のあれとか、本格ファンは間違いなく、ヨダレものばかり。期待大。

2005.08.06
[新刊]
 歌野晶午『女王様と私』角川書店(発売は、8月31日)
「ミステリーズ! Vol.12」東京創元社

「ミステリーズ!」が届くと、まっさきに、石上三登志氏の評論「探偵小説ふたたび」を読む。評論というより、探偵随筆という感じか。

 マーク・マクシェーンの「雨の午後の降霊会」を読了。普通のサスペンス。というか、この手のサスペンスは、出た時が旬なわけで、その点は、本格推理と比べて可哀相。たとえば、B・S・バリンジャーの『赤毛の妻の男』なんて、説明がなくては、「なんのこっちゃ?」だし。

 田中芳樹氏の『ラインの虜囚』を読了。ストレートな物語展開が素晴らしい。児童文学はこれでいいんじゃないの。ひねくれるのは、大人になってからで充分。また、個人的には、アレクサンドル・デュマが出てくるだけでニンマリ。ただ、どうして、主人公の女の子が、男の子言葉で話すんだろう。何の必然性も感じなかったが。

『カーの復讐』だが、選定した挿絵家がスケジュール的に無理とのこと。ということで、継続審議。

2005.08.04
[新刊]
 高田崇史『QED〜VENTUS〜 熊野の残照』講談社ノベルス
『別冊シャレードvol.77 司凍季特集2 地獄蛍』甲影会

 前に一度書いたが、昨年9月に申し込んだ、日本テレコムのおとくラインがぜんぜん開通しない。そのあげく、「申し込み意思を、再度、確認したいから、もう一度、申込書を書け」などとほざいて、また申し込み書を送ってきた。「書いてもいいが、開通日を教えろ」と言ったら、「いつになるか解らない、これから5ヵ月くらいかかるかもしれない」と、さらにバカなことを言う始末。もう、こんないい加減な会社とは付き合いきれないと判断し、申し込みをキャンセルした。
 かわりに、NTTコミュニケーションズに電話して、プラチナラインを申し込んだら、こちらは即座に契約が成立。マイラインプラスも、日本テレコムからNTTコミュニケーションズに移す書類手続きを終えた。
 近頃、一番あきれた出来事である。

『ジョン・ディクンス・カーの世界』を読了。引用文を複数の翻訳と照らし合わせるような、丁寧な翻訳姿勢に脱帽。ジョシの論旨には、残念ながら、あまり新発見はなかった。

 田中芳樹氏の『ラインの虜囚』の後書きに、素晴らしいことが書いてある。「私は子どものころ、自分の知っている世界を自分の知っている言葉だけで書かれた物語に、何の興味も持てなかった」と。まったく同感である。逆に言うと、「自分の知っている世界を自分の知っている言葉だけで書かれた物語」は、小説(空想の物語)としてダメだ、ということである。これまた、同感である。

2005.08.03
 麻耶雄嵩氏の『神様ゲーム』と、芦辺拓氏の『謎のジオラマ王国』を読了。前者は悪い子のために。後者は良い子のために。

『不思議亭文庫』より、『ジョン・ディクスン・カーの世界』が届いたので読み始める。

 昨日は、明治大学推理小説研究会の《正義の四人》組から、インタビューを受ける。島田荘司先生のインタビューなどと共に、秋に会誌にまとまるとのこと。

 ミステリーランド『カーの復讐』の挿絵を描いてくださる方を、担当編集者と共に選定。びっくりするような作画家を発見。あのコマーシャルで有名な「×××マン」を描いている方だ! であるが、これも、まだ秘密。

『カーの復讐』についての問い合わせが殺到しているので、さわりだけ、紹介しよう。
 主人公は晩年のジョン・ディクスン・カー。舞台はロンドン。近頃、夜な夜な、フェンシングの剣で、娼婦を殺害する連続猟奇殺人事件が起きていて、カーは、50年前にも、同じような事件があったことに気づく。自分もフェンシングの剣をもって警戒にあたるが、後ろから襲ってきた犯人に串刺しにされてしまい、死んでしまう。
 気がつくと、カーは生き返った上に、若返って青年になっていた。しかも、50年前のロンドンにいることに気づくのだった。カーは、この時代の連続猟奇殺人事件を解決し、自分を殺した犯人に復讐するため、決死の冒険を始めた……。 
――というようなことはまったくない。ウッソー。

2005.08.01
 完成したぞお! ミステリーランド用の原稿が!
 というわけで、ここに題名を発表する!

 カーの復讐

 というのだ! ホッ、ホッ、ホッ。すごいだろう! 
 何しろ、究極的かつ王道的な密室殺人を扱った本格推理小説なんだから!
 実は、本当の題名は、『×××××「カーの復讐」』といい、×××××には、主人公の名前が入るのだが、これはまだ秘密にしておこう!
 原稿枚数は、約350枚。田中芳樹氏の『ラインの虜囚』と同じいくらいの厚みの本になるであろう。順調に行けば、発売は10月の予定。
 乞う、ご期待!

2005.07.29
[新刊]
 エラリー・クイーン『エラリー・クイーンの国際事件簿』創元推理文庫
 エドモンド・ハミルトン『人工進化の秘密!/魔法の月の血闘  【キャプテン・フューチャー全集8】』創元SF文庫

 一昨日の夜は、品川プリンスホテルで、「ラスベガス マジック アラヤのマジカルイリュージョン」を観る。わりと小さな会場なので、臨場感があって面白かった。ほとんどトリックが解るマジックばかりだったが(マスクド・マジシャンがやるような奴ばかりだから)、客を笑わせたりとか、ショー・アップされていて、その辺ははさすがにアメリカって感じだった。一つ残念だったのは、照明の具合が悪いのか、紙の蝶々を飛ばす時に、インビジブル・スレッド・リールの線が見えてしまったこと。
 そうそう。魔術王みたいに、舞台上で、本当に美女を切断することはなかった(笑)。

 ビル・S・バリンジャー『歪められた男』を斜め読み。哀感だけで、仕掛けがないのは、ちょっと辛い。
 鯨統一郎氏の『MORNING GIRL』を読了。完全なSF。

2005.07.24
[情報館]を更新。

 青森県近代文学館から、パンフレット『高木彬光 没後10年特別展 ミステリーの魔術師』が届く。島田荘司先生なども寄稿しているので、本格ファンは、青森まで行って入手されたし。

 東川篤哉氏の『館島』を読了。正統派の新本格館もの。島である理由に必然性があり、館構造もなかなか面白かった。

2005.07.22
 北村薫さんの『ニッポン硬貨の謎』を読了。エラリー・クイーン論として秀逸。しかも、言葉の出自に拘泥する北村薫という作家の分析にも使えるとういう、一挙両得本。
『シャム双子の謎』に関しては、笠井潔さんも最近、「ミステリマガジン」で、ページをさいて詳しく論じている。初期クイーンの中でも重要な作品であるのは確かだ。私も『シャム双子の謎』は好きなのだが、それは、クイーンが、ダイイング・メッセージをこの作品で否定しているからだ。にもかかわらず、クイーンは、『ハートの4』の以降、ダイイング・メッセージを中心とする言葉遊びに陥って、どんどんダメになっていってしまった。これも、大きな謎である。

2005.07.21
 テレビドラマ「名探偵モンク2」の録画DVDを見る。相変わらず、面白いなあ。こういう番組が、どうして日本では作れないんだろう。
 残念ながら、前回までで、シャローナ役の女優が(出演料のことでもめて)下りてしまったらしい。ちょっとイモっぽい、ムチムチ姉ちゃんで、良い味出していたんだが。で、今回から、別のアシスタントが現われた。その娘役がいまいちの演技だったが、さて、今後はどうなるのだろうか(この配役のまま、第3シーズンまで放映しているらしい)。


2005.07.20
[情報館]を更新。

 小学館の広告誌「本の窓」8月号の見本刷りが届く。ここに、評論家の佳多山大地氏が連載しているのだが、それを読んでびっくり。
 何と、ハヤカワミステリ文庫の『幻の女』は、改訳されていたんですか。知らなかったなあ。今持っている本(古い訳の方)を、大事に取っておこう。

2005.07.18
 パズル雑誌「ニコリ」の連載原稿を書く。〈Zの事件簿〉第2話で、「狐火のマジック」。ポール・アルテの『カーテンの陰の死』に触発されたわけではないが、今回は足跡のない殺人を扱う。10枚でこれをやるのは大変。

 引き続き、ミステリーランド用の原稿を清書中。正統派の密室トリックもの。けっこう画期的な発明だと思うぞ。何しろ、蘭子もので使おうと思っていたトリックを、惜しみもなく投入したのだから。
 題名はまだ秘密。発表したら、「ええっ!」と驚くだろう。
 ただ問題は、規定枚数350枚で収まるかどうか……。

2005.07.17
[新刊]
 篠田真由美『すべてのものをひとつの夜が待つ』光文社カッパ・ノベルス
 西澤保彦『腕貫探偵』実業之日本社

 戦前のマンガを精力的に復刻している小学館クリエイティブから、今度は、坂本牙城の『タンクタンクロー』が出た。シッチャカメッチャカな漫画とは、こういうものを言うのだろう(^_^)。

 堪能。堪能。ポール・アルテの『カーテンの陰の死』を読み終わる。根本トリックはちょいと弱いが(日本の新本格作家が書いたら、探偵は真っ先に、あの手の法医学的なことは確認する。したがって、メイン・トリックとしては採用しない。たとえば、拙著『吸血の家』を見よ)、ちりばめた伏線の収束の仕方が綺麗というか、挿話のばらまき方と、その収まり方など、配置が実に見事。

 アルテといえば、ディクスン・カー。そのカーの研究書『ジョン・ディクスン・カーの世界』が、個人訳の自費出版で出ることになったとの連絡をもらう。詳細はこちら。『不思議亭文庫』にて。

2005.07.16
[新刊]
 奥泉光『モーダルな事象』文藝春秋(本格ミステリ・マスターズ)

 掲示板より、ポール・アルテの『カーテンの陰の死』ポケミスが出た、との秘密情報を得て、夜、小型シャトルを飛ばし、立川まで買いに行ってくる。現在、半分まで読んだところだが、これが抜群に面白い。何しろ、霧のロンドンが舞台で、頭皮を剥ぐ猟奇的な殺人から始まり、足跡のない殺人という不可能犯罪が炸裂するんだから。で、解説者の霞流一氏が書いているとおり、クリスティーの『ヒッコリー・ロードの殺人』みたいな下宿人ものでもあるときては。もう、たまらん!
 あ、そうそう。霞さんは、わざと書かなかったのかなあ。献辞にS=A・ステーマンの名前もあるとおり、この作品は、ステーマンの傑作『殺人者は21番地に住む』(創元推理文庫)を強く意識していると思うよ。

2005.07.15
[新刊]
 米澤穂信『犬はどこだ』東京創元社
 北川歩実『透明な一日』創元推理文庫
 ビル・S・バリンジャー『歪められた男』論創社
 リン・ブロック『ゴア大佐第三の事件 醜聞の館』論創社
 メイベル・シーリー『ドアをあける女』論創社

 いやいやいや。今月の論創海外ミステリも、すごいラインナップだね。よくぞ、ネタがつきないものだ。バリンジャーに、リン・ブロックに、メイベル・シーリーだよ。なんだか、興奮しちゃうね。
 そう言えば、昔、「別冊宝石」で読んだシーリーの『耳すます家』は、とってもいやーな話だったなあ。

2005.07.14
 石持浅海氏の『扉は閉ざされたまま』を読む。かっちりした倒叙もので、『刑事コロンボ』を彷彿させる。動機が面白かった。

 立川シネマシティで、『スター・ウォーズ3』を見てくる。駄作だった『2』の2倍から3倍くらいは面白かったが、どうして、パドメが出てくる場面は、あんなにダメダメなのだろう?

 臨川書店の『ヘルマン・ヘッセ全集9 メールヒェン』第2回配本を、Mクラスの書店で発見。採取。

2005.07.13
 昼食を取りに行き、Sクラスの書店で、ヒラリー・ウォー『愚か者の祈り』創元推理文庫と、横山光輝『コマンドJ(1)』『同(2)』を採取。

 夜は、「コールドケース」第2話と「CSI」を続けて見る。

2005.07.11
 ドロシイ・L・セイヤーズの『忙しい蜜月旅行』ハヤカワ文庫を、Sクラスの書店で採取。新訳らしいので、一応の押さえ。

 連載「僕らが愛した手塚治虫」の原稿を書き、亜空間通信で送付。今回は、初めて神保町を訪れた時の思い出。

 本格ミステリ作家クラブ編『本格ミステリ05』と飛鳥部勝則氏の『誰のための綾織』を読了。どちらも二重丸。

 WOWOWで、女刑事が主役の「コールドケース」が始まる。「CSI」を作っているプロデューサーのものなので、雰囲気は良い。が、「CSI」と違って、推理的要素はかなり低い。ただの捜査ものかもしれない。次回以降の様子見。

2005.07.10
[新刊]
 ほしおさなえ『天の前庭』東京創元社
 飛鳥部勝則『鏡陥穽』文藝春秋
 麻耶雄嵩『神様ゲーム』講談社
 田中芳樹『ラインの虜囚』講談社
 浦賀和宏『火事と密室と、雨男のものがたり』講談社ノベルス
 江戸川乱歩全集第23巻『怪人と少年探偵』光文社文庫

 ひどい夏風邪をひいてしまい、3日間、寝込む。あやうく「メフィスト」の原稿を落としそうになる。

 AXNチャンネルで、スティーブン・キング原作の『デッドゾーン』が始まる。なかなか面白そう。

「スタートレック/ヴォイジャー」のDVDボックスを全部見終わる。ちょっと寂しい。近々、「スタートレック/エンタープライズ」のDVDボックスも出るのだが、エアチェックしていることもあって、買わないかもしれない(ワイド画像は魅力だが)。






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