2005年01月〜06月
2005.06.30
Mクラスの書店を探査して、久松文雄『風のフジ丸 (上)(中)』マンガショップを採取。初の単行本化。雑誌版は見るのも初めて。テレビマンガで見たあの場面、この場面が出てきて、とても懐かしい。
創元SF文庫の『キャプテン・フューチャー全集』用の帯の惹句を考える。3、4点案出し、指令本部と通信を交わす。
2005.06.29
[新刊]
鯨統一郎『MORNING GIRL』原書房(ミステリーリーグ)
芦辺拓『電送怪人』学研
芦辺拓『謎のジオラマ王国』学研
最近の愛聴盤は、ゴットハードの『リップサービス』。最初の2曲は軽く流しているが、3曲目からぐいぐい盛り上がる。
『双面獣事件』の原稿15枚を捨てて(気に入らず)、最初から書き直す。
2005.06.28
「サスペリアミステリー」の原稿を書いて、亜空間通信で送信。今回は、内田善美の『星の時計のLiddell』を取り上げる。
今日から、『双面獣事件』の第3回に取りかかる予定。
2005.06.27
[情報館]を更新。
青森県近代文学館で、この夏、高木彬光没後10年特別展「ミステリーの魔術師」が開催される。7月15日から8月28日まで。また、「トーク&上映会」が、7月31日に開かれる。対談は、山前譲氏と原田裕氏。映画は『白昼の死角』。
2005.06.25
[情報館]を更新。
[新刊]
ジョセフィン・テイ『歌う砂』論創社海外ミステリ19
マージェリー・アリンガム『殺人者の街角』論創社海外ミステリ20
パトリシア・ウェントワース『ブレイディング・コレクション』論創社海外ミステリ21
北村薫『ニッポン硬貨の謎』東京創元社
昨日は、打ち合わせを3件強行。疲れた。
講談社ミステリーランド『(題名はまだ秘密)』の下書きは8割まで達成。しかし、来週からは「メフィスト」の原稿を書かねばならないので、しばし中断なのだ。
2005.06.21
[情報館]を更新。
WOWOWで、「コールド・マウンテン」をやっていたので、録画して視聴。以前、読んだ原作の小説もなかなか面白かったが、映画版は、挿話の順番を変えるなどして、上手に作ってあった。南北戦争ものということから、『風と共に去りぬ』を想像するむきもあろうが、映画版は、『狼と踊る者(ダンス・ウィズ・ウルブス)』のような、滅び行く世界への哀歌的な風合いで撮られていた。
「ROM」123号を、転送収容。ジョン・バカン特集。
2005.06.19
今年は、アルセーヌ・ルパン生誕100年。秋に、100周年記念超大作映画『ルパン』が公開される。で、雑誌紹介記事を書くため、販売促進用のDVDを鑑賞。で、これが素晴らしいでき。過去に見た、ルパンの映画・テレビの中で最高の作品と言える。ベル・エポック時代の雰囲気が良く出ているし、『カリオストロ伯爵夫人』を中心ストーリーとして、様々なルパン作品のつまみ食い形式で脚本ができている。ルパン・ファンであればあるほど、楽しめる作品である。
さて、講談社ミステリー・ランド用の原稿は、3分の2まで進行。今回の作品は、自分でも非常に手応えを感じている。密室トリックも、これまで誰も手を付けなかった奴だしね。
2005.06.17
ペリー・ローダンは305巻まで読み終わる。「おいおい、そんな簡単に、元の宇宙に戻っていいのかよ」っていう、がっかりの展開。
「YOMIURI PC」の「私とパソコン」コーナーのゲラを校正。24日頃の発売か。内容は、親指シフト・キーボード環境について。
昨年の9月に、日本テレコムの「お得ライン」を申し込んだのに、未だに開通しない。問い合わせると、「一度手違いでキャンセルしていまい、やり直している」とか、「手続きはすんでいるが、いつ開通するか、解らない」とか言うばかり。ようするに、NTT交換局内のデーター入れ変えに手間取っているわけなのだが(NTTがすみやかに作業を進めないことで、他社の妨害をしている?)、通信事業の旧態然とした体質に呆れるばかり。
2005.06.15
光文社の「ジャーロ」2005年夏号が届く。本格ミステリ大賞の発表、新世紀「謎」倶楽部の『EDS 緊急推理解決院(後編)』発表と、内容は盛りだくさん。
2005.06.14
[新刊]
江戸川乱歩全集 第30巻『わが夢と真実』光文社文庫
ずっと気になっていた本をようやく発見。11日に、総会の前に神保町へ行き、まんまと捕獲。双葉文庫の『脅迫状であてましょう』がそれ。予断なく読んでいたら、「え、そういう趣向だったの!」と、びっくり。
2005.06.13
11日は、本格ミステリ作家クラブの総会、及び、第5回本格ミステリ大賞の授賞式であった。
毎年そうなのだが、こんなに楽しいパーティーは他にはない。和気藹々としていて、実に暖かい雰囲気なのだ。話したい人がたくさんいるのに(というか、全員と話をしたいのに)、ぜんぜん時間が足りない。
で、以下の写真は、その模様。
(1)総会の様子。(2)永世司会者の霞流一氏。今年もジョークが冴えにさえわたっていた。(3)法月綸太郎氏に賞状をわたす有栖川有栖会長。(4)花束を受け取った日下三蔵氏。(5)受賞者のお二人。法月綸太郎氏と日下三蔵氏(受賞者は天城一氏で、編者として代理)。(6)主賓挨拶は、日本推理作家協会の新理事長・大沢在昌氏。(7)乾杯の音頭は、笠井潔氏。(8)悪巧みをする千街晶之氏と私。
なお、本格ミステリ作家クラブは、翌12日より、新会長・北村薫氏の下、新体勢で活動を開始した。業界の皆さん、読者の皆さんの、これまで以上の応援をよろしく。
2005.06.10
[情報館]を更新。
ペリー・ローダンの新サイクル「銀河のチェス・サイクル」を読み始める。平行宇宙を(お軽く)扱ったもので、例によって、ローダン・グループの放浪物語。けっこう面白い。ローダンは、5冊とか10冊とかまとめ読みした方が楽しめるので、いつもそうしている。
2005.06.09
[新刊]
「ミステリーズ!」2005年6月号 東京創元社
野間美由紀『ハズルゲーム☆はいすくーる(11)』白泉社文庫
「スタートレック/ヴォイジャー」のDVDボックス第6弾がようやく到着。アマゾンに予約を入れていたのに、伝票ミスとかでぜんぜん届かず、問い合わせして、ようやく発送されたという事件が。
2005.06.07
[情報館]を更新。
[企画進行中]を更新。
パズル雑誌『ニコリ』の2005年夏号より、毎回10枚の短編シリーズの連載が始まった。いつもはわりと長めの推理小説ばかり書いているので、たまには短いものも良いだろうと思い、引き受けた仕事。でも、10枚で、というのはかなり難しい。
2005.06.06
[新刊]
本格ミステリ作家クラブ編『本格ミステリ05』講談社ノベルス
関田涙『エルの終わらない夏』講談社ノベルス
[広報]
本格ミステリ作家クラブのサイトでは[本格トピックス]を更新。「私の愛する本格」を連載中。
柄刀一氏の『ゴーレムの檻』を読了。形而上学的トリックと物理的トリックのバランスの良さに、技術力の高さを満喫する。
大変残念なお知らせ。小学館とe-NOVELSが提携した《書き下ろし・新本格ミステリー・シリーズ(仮)》だが、小学館側の都合により、解消・中止となった(念のために書くが、この件に関して、e-NOVELSにはいっさいの非はない)。期待していてくれた読者には、とても申し訳なく思う。ただし、小学館は単独で書き下ろし本格ミステリーを刊行する予定であり、すでに柳広司氏の作品などが準備されているそうである。
2005.06.04
本格ミステリ作家クラブ編の年鑑短編アンソロジー『本格ミステリ05』の見本刷りが出来。今年は編纂委員でもないし、目次を見ると8割方の作品は未見なので、一般読者と同じ気持ちになって、本作を楽しもうと思う。
2005.06.03
アレクサンドル・デュマの『ポーリーヌ』が小型宇宙船で届く。読み始めたが――やはり、訳文に引っかかりを覚える。デュマの翻訳が出るのは本当にありがたいのだが、訳文がもう少しこなれていれば……。
それよりも、東京創元社あたりで、『王妃の首飾り』を含む『ジョゼフ・バルサモ』三部作を完訳してくれないか。いや、論創社に頼んだ方が早いか(笑)。
Mクラスの書店を探査して、辻なおき『0戦闘はやと(上)・(下)』マンガショップ、手塚治虫『鉄腕アトム(1)』小学館ぴっかぴかコミックス、マーク・マクシェーン『雨の午後の降霊会』創元推理文庫を採取。
2005.06.02
[情報館]を更新。
[新刊]
新津きよみ『スパイラル・エイジ』講談社
「サスペリア・ミステリー」の連載原稿を書いて、亜空間通信で送付。今回は、今村つとむ/今村洋子の貸本劇画『死球殺人事件』を取り上げる。
「本の窓」の連載原稿『僕らの愛した手塚治虫』を書いて、亜空間通信で送付。今回も小学館のゴールデンコミックス版〈手塚治虫全集〉について。
2005.05.28
[新刊]
東川篤哉『館島』東京創元社(ミステリフロンティア)
本日は、雑誌「YOMIURI PC」の取材。我が家でのインタビューと写真撮影。主題は親指シフト・キーボードについて。
2005.05.27
芦辺拓さんの『三百年の謎匣』を読了。例によって凝っていて、芸が細かい。
古本ネット・サーフィンをしていたら、偶然、忠津陽子のマンガを、さわらび本工房という所が2冊出すとの掲示を発見。さっそく注文し、本日、小型宇宙輸送船によって届いた。詳細は、こちら。
2005.05.26
[新刊]
加納朋子『てるてるあした』幻冬舎
Mクラスの書店を探査して、次の本を採集。横山光輝『コメットさん』講談社。クレイグ・ライス『暴徒裁判』ハヤカワ・ミステリ文庫。ジョージ・R・R・マーティン『タフの方舟 1』『同 2』ハヤカワSF文庫。
2005.05.24
[情報館]を更新。
今月のカッパ・ノベルスの新刊を見たら、装丁が以前の形に戻っている。やはり、最近続けていた、広い帯だかカバーだか解らない(そのくせ、題字などは小さくて地味な)装丁は不人気だったのか。それとも、今月だけの特例なのか。
連載原稿「僕らが愛した手塚治虫」のゲラを校正。現在は、1970年頃の話を書いている。
2005.05.22
[新刊]
愛川晶『六月六日生まれの天使』文藝春秋
相原大輔氏の『キルケーの毒草』の読了。時代の雰囲気がよく出ているし、毒薬づくしという趣向が○(マル)。冒頭に謎がないのはかまわないが、それに続く部分がだらだらと長い。もう少し早く本題に入る話の構造を模索してほしかった。
加賀美雅之氏に、『謎の金属人間』と『金属人間』は同じ作品だと教えてもらう。多謝。前者はポプラ社版だから、乱歩の少年探偵と同じく、惹きの良い題名に変えたのかも。
2005.05.20
[情報館]を更新。
[新刊]
「ファウスト 第5号」講談社MOOK
大城のぼる『愉快な鐵工所』小学館
本棚を2つ新規に導入し、2日間かけて、所蔵本の大整理。2階にあった世界文学全集と日本文学全集を一階に下ろし、結果、講談社の手塚治虫全集とか「COM」とか「マンガ少年」などを一列で治めることができて、簡単に手に取れるようになった。(ふう、疲れた)
2005.05.19
[新刊]
辻真先『伊豆・踊り子列車殺人号』光文社文庫
石持浅海『扉は閉ざされたまま』祥伝社ノン・ノベル
昨日、「海野十三全集」に、『謎の金属人間』が入っていないと書いたが、第12巻「超人間X号」の巻に、『金属人間』という話が収録されている。これがそうなのか? 現物に当たって確認してみよう。
「スタートレック/エンタープライズ」の第3シーズンが、スーパーチャンネルで始まる。カーク以前の、宇宙初探索時代を描くはずが、視聴率が振るわず、第3シーズンからは異星人間戦争の要素を大々的に投入。しかし、それでも人気は回復せず、結局、アメリカでは、第4シーズンで終わってしまったらしい。
そりゃあそうだよなって、私も思う。大方のスタートレック・ファンは、TNG時代の続きを見たいんだから。
2005.05.18
「ニコリ」というパズル雑誌で、三ヵ月ごとに10枚の短編ミステリーを書くことになった。シリーズ名は「Zの事件簿」で、最初の作品は「ダイヤのJ(ジャック)」。昨日はゲラを校正して戻す。
某所で、海野十三の『謎の金属人間』を発見。ちょっと値段が高かったのと、三一の全集で読めばいいやと思い、買わなかった。そうしたら、三一の全集には入っていない作品だった(それでも「全集」か、おい!)。買っておけば良かったと後悔。
ある方に頼んで、『名探偵モンク2』と『FBI 失踪者を捜せ』をDVDに録画してもらっている。それをまとめて見たが、相変わらず、『名探偵モンク2』は質が高くて、面白い。謎の設定からして、見事に本格推理している。それに比べ、『FBI 失踪者』のつまらないこと。ただ事態が推移して、いつしか失踪者が見つかるだけ、というもので、推理のすの字もない。
2005.05.16
[新刊]
鳥飼否宇『昆虫探偵』光文社文庫
先週まで、スーパーチャンネルで「海底海底大戦争 スティングレイ」をやっていた。もちろん、全部DVDに録画した。今週からは、「サンダーバード」だ。懐かしく見ている。
実を言えば、私は海底ものに滅法弱い。「スティングレイ」を始め、ジュール・ベルヌの『海底二万里』、山川惣治の『少年エース』、手塚治虫の『海のトリトン』、テレビ動画の『海底少年マリン』などなど。『海底科学作戦 シービュー号』とか『わんぱくフリッパー』とか小沢さとるの『サブマリン707』なんかもそこに加えていい。海は男(の子)のロマンだよなあ、と、いつも思うのだ。
2005.05.14
昨日は、東京某所で、本格ミステリ作家クラブ主宰の本格ミステリ大賞公開開票会が行なわれた。本格ファンの招待もあり、たいへんな賑わいの中で、クラブ員の投票用紙が一通ずつ開封され、得票がパネルに表示されていった。
その結果、今年の受賞作は、以下のように決定した。
第5回本格ミステリ大賞 受賞作
【小説部門】
『生首に聞いてみろ』法月綸太郎(角川書店)
【評論・研究部門】
『天城一の密室犯罪学教程』天城一、日下三蔵編(日本評論社)
【小説部門】は、『暗黒館の殺人』『紅楼夢の殺人』『生首に聞いてみろ』が接戦で、最終的に僅差で『生首』に決定。当該者には失礼ながら、実にスリリングな戦いが繰り広げられた。
今だからもう明かしても良いと思うが、私は苦渋の選択の上、【小説部門】は棄権票を投じた。というより、横山秀夫氏の『臨場』を読んでいないので、残念ながら投票資格がなかったのである(投票条件に基づく)。
この日記を読んでいてくれる人なら知っているだろうが、私は、ミステリーは本格推理小説(本格ミステリー)しか読まない(まあ、時々、サスペンスや私立探偵小説も読むが)。そのため、今年は投票したくてもできなかったのである。本来なら、綾辻さんの『暗黒館の殺人』に投票したかったのだが……。
【評論・研究部門】は、『子不語の夢』に投じた。今でも、あれは素晴らしい研究であり、素晴らしい論考だったと信じている。しかしながら、『天城一の密室犯罪学教程』が【小説部門】ではなく、【評論・研究部門】に推挙されたのは、編者の日下三蔵氏の貢献を評価してでのことだろう。そうであれば、この授賞はやはりめでたいと思う。
2005.05.12
アルセーヌ・ルパンのDVDボックス用小冊子に短文を書く。亜空間通信で送付。
今月の光文社文庫の新刊には、江戸川乱歩全集がないのだね。かなり残念。
ミステリーランド用の原稿を書き始める。というか、『輪廻転生マシーン』というSFを書いていたのだが、理由があって、これを没にして、別の作品を書くことにした。題名はまだ秘密。
2005.05.06
[情報館]を更新。
業務連絡。もうじき本格ミステリ大賞の投票締め切りである(9日消印有効)。本格ミステリ作家クラブのクラブ員は、ぜひ投票をお願いしたい。
それから、本格ミステリ作家クラブのサイトでは[本格トピックス]を更新。「私の愛する本格」を連載中。
「僕らが愛した手塚治虫」の原稿を書いて、亜空間通信にて、小学館へ送付。
青森県近代文学館で、夏に、「高木彬光没後10年特別展」が開催されるとのこと。寄稿を求められたので、原稿を書き、亜空間通信にて送付。
2005.05.05
新井政彦『ユグノーの呪い』を読了。精神内『ミクロの決死圏』みたいな話。随所に出てくる精神分析的推理がけっこう鋭い。
「ヘルマン・ヘッセ全集 第4巻」の後半の短編集を読む。中に読みにくい翻訳がいくつかあって、訳者を見たら、みんな同じ人だった。ヘッセの文章は、一つの文章が長めで、修飾関係もわりと複雑で多様なのだが、その辺が日本語としてこなれていない。翻訳というのは、本当に難しい作業だと思った。
本格ミステリ作家クラブのサイトだが、「http://honkaku.com/」だけではなく、「http://本格ミステリ.com/」と、日本語ドメインをブラウザのアドレス欄に記入しても飛んでいくことができる。御存じであったかな? といっても、IEなどは、プラグインが必要だが。お試しあれ。
2005.05.04
[新刊]
飛鳥部勝則『誰のための綾織』原書房(ミステリー・リーグ)
松尾由美『バルーン・タウンの手鞠唄』創元推理文庫
辻真先『津軽、殺人じょんから節』実業之日本社(ジョイ・ノベルス)
前作『レオナルドの沈黙』でも、カーか高木彬光か、という真っ向勝負の本格推理を披露してくれた飛鳥部さんだが、今回も冒頭に挑戦的、メタ的な煽りがあって、読者としても受けてたつぞ! という意気込みで読みたくなる。
年配の手塚ファンにしてミステリー・ファンの方から、『稀覯人の不思議』について丁寧なメールを頂戴した。なにしろ、リアルタイムで、「漫画少年」に連載されていた『ジャングル大帝』を読んでおられたというのだからすごい。いろいろと拙著のいたらぬ所を指摘していただき、さらに、手塚マンガに関する有益で詳細な知識を授けてもらった。御厚情に深謝するばかりである。
2005.05.01
数日前に新聞を見ていたら、臨川書店という所の広告があって、「ヘルマン・ヘッセ全集」を新たに刊行するとの広告が出ていた。さっそくサイトを覗いてみると、日本ヘルマン・ヘッセ友の会・研究会編となっている。翻訳者の名前はどこにも出ていないので、どうやら、この団体が翻訳も行なっているらしいと推察した。
私にとって、ヘッセの小説は、高橋健二訳とセットになっているのだが、未訳作品とかの翻訳もあるとのことなので、さっそく予約を入れることにした。ところが、bk1では取り扱いがないという返事が来たため、結局、amazonに注文した。
で、昨日、第1回配本の「ヘルマン・ヘッセ全集 第4巻」の『車輪の下』が届いた。
日本では、『車輪の下』が中学生の課題図書とかになっていて、新潮文庫の夏の百冊なんかにもよく選ばれている。有名なので、今回も、この表題からの配本となったのだろう。けれども、『車輪の下』は、ヘッセの作品の中では中の下くらいのできである。面白くなるのは、年代的に、『春の嵐(ゲルトルート)』以降で、一番面白いのが『デミアン』と『知と愛(ナルチスとゴルトムント)』なのである。その次が『荒野のおおかみ』と『湖畔のアトリエ』だろうか。
さて、届いた『車輪の下』の冒頭を読んでみたが、なるほど、訳が解りやすく、高橋訳の決定的に古い所が払拭されている。
たとえば、「もっともお寺に対する信心は、いくらか分別くさく、地金が出ている。神様やお上に対しては適度な尊厳を失わない」という部分は、「いくらか進歩的なところもあって、教会への信仰はもう弱まっていたが、神さまやお役人に対しては、それなりの敬意を忘れなかった」となっている。
なるほど。今の私たちにとって、後者の訳の方が自然に読める。また、ここはキリスト教のことなのだから、「お寺」と表現するのは、今となっては違和感がある。
というわけで、これを機会に、もう一度、ヘッセの全作品を読むのも良いかな、と思ったしだいである。
2005.04.29
三雲岳斗氏の『カーマロカ 将門異聞』を読了。本格要素もあり、面白く読めたが、やはり三雲岳斗氏のSFミステリーが読みたいと思う人は、私だけではあるまい。
藤岡真氏の『ギブソン』を読了。サスペンス風味の作品で、数々の出来事が一つに収束していく様は快感。
2005.04.28
[新刊]
中野晴行『そうだったのか手塚治虫』祥伝社新書
鳥飼否宇氏の『痙攣的 モンド氏の逆説』を読了。まさか、こんな結末が待っているとは! と、目が丸くなる。そして、そうか、『本格的 死人と狂人たち』とは対になる作品だったのか、と、後から気づいたのだった。
2005.04.26
[情報館]を更新。
今日のお気に入りアルバム2枚。もろに「エイジア」な、WETTON/DOWNESの「ICON」。もう一枚は、哀愁感たっぷりのハードロック、SHY「SUNSET AND VINE」。SHYは初めて聞いたのだが、とても良かったので、過去のアルバムも捜してこよう。
2005.04.25
ディクスン・カーの『死が二人をわかつまで』(ハヤカワ文庫)と、ナイオ・マーシュ『アレン警部登場』が、小型宇宙輸送船で到着。
それにしても、カーの『死が二人をわかつまで』が文庫で読めるようになるとはなあ。感慨深いものがあるね。その昔、この本の創元推理文庫版『毒殺魔』が世の中になくてなくて、みんなが血眼にって捜していたわけで、幸い、というか、苦労に苦労を重ねて、私などもやっと見つけたわけだったが……。
解説者が誰か楽しみにしていたところ、今回は若竹七海さんであったか。なかなか良い解説であった。
ナイオ・マーシュはなあ……念のために読んではみるつもりだけれど、マーシュとかアリンガムとか、クリスピンとかブレイクとかイネスとか、乱歩が「新本格」と呼んだ奴は、どうも話が面白くないんだよなあ。結局、事件も平凡、人物も平凡、トリックも平凡ってことなんだろうね。
フィリップ・マクドナルドの『フライアーズ・パードン館の謎』も読んだぞ。水のいっさいない場所に水死体が転がってるという密室、という状況設定だけは素晴らしかった。
2005.04.24
[情報館]を更新。
携帯電話のボーダフォンの「Jミステリ倶楽部」で、私のエッセイが、4月、5月、6月と読めるはず。私は携帯電話を持っていないので、自分では確認できず。
我孫子武丸氏の『弥勒の掌』を読了。あの絶大なる傑作『殺戮に至る病』にかなり迫る面白さ。一気読みした。
ただし、個人的には(以下ネタバレのため反転)、恣意的な情報欠如による謎作りは読者にはまったく推理も想像もしようがないし、探偵役しか知り得ない情報を元に真相が語られても、それはあきらかにアンフェアだと思う。もちろん、この辺は確信犯的なのだろう。
2005.04.23
『稀覯人の不思議』で、手塚マンガについて、一つ間違ったことを書いてしまった。手塚マニアの先輩から、ありがたいことに間違いを指摘してもらった。学童社版の『ジャングル大帝』1巻、2巻に、箱が付いていると書いたのだが、あの本はカバーだけだった。名著刊行会から出た復刻版に箱が付いているので、そればかりが頭にあって、ついそう書いてしまったわけだ。現役のマニア(収集家)でない悲しさよ。知識が錆び付いてるのであった。
小説内では、星城会長が、自分で1巻目も、2巻目も箱を作っていた、ということで、どうかお読みいただければ幸いである。
2005.04.22
[新刊]
桐野夏生『魂萌え』毎日新聞社
鳥飼否宇『痙攣的 モンド氏の逆説』光文社
芦辺拓『三百年の謎匣』早川書房
フィリップ・マクドナルド『フライアーズ・パードン館の謎』原書房
我孫子武丸『弥勒の掌』文藝春秋(本格ミステリ・マスターズ)
なんだか、続々と本命が刊行されて、嬉しくなってしまうね。鳥飼さんの短編集は、「ジャーロ」連載の時に何編か読んでいるけど、すごく先鋭的で、しかも、トリッキーだよ。
とにかく、どの本から読んだらいいか。迷ってしまうね。
原書房からマイケル・スレイター『ディケンズの遺産』という評伝が出た。ディケンズ・ファンとしては見逃せない。
そう言えば、うっかり、こぴあん書房から出ていた『ドンビー父子』上下巻を買いのがした。一冊六千円する分厚い本である。古本でも新刊でも良いので、目撃情報をお寄せいただきたい。
獅子宮敏彦氏の『砂楼に登りし者たち』を読了。良質な内容だが、話はもっと破天荒になれるはず。戦国時代が舞台なので、当時の人たちは怪異を信じていたわけだから、不可能犯罪が起きたら論理的に考えるよりも、魑魅魍魎のせいにするだろう。
2005.04.20
[新刊]
藤木稟『殉教者は月に舞う』光文社カッパ・ノベルス
二階堂黎人『稀覯人の不思議』光文社カッパ・ノベルス
柴田よしき『シーセッド・ヒーセッド』実業之日本社
山川惣治の『荒野の少年』の書影を、[別館]の方に掲載した。川崎のぼるが「少年ジャンプ」に連載した『荒野の少年イサム』の原作。『別館』−[博物館]−[山川惣治]とたどって御覧あれ。
森谷明子氏の『れんげ野原のまんなかで』を読了。日常の謎派かと思いきや(そうなんだが)、意外に正統派の本格作品。図書館を舞台にしたことが生きている。
2005.04.19
たまには、手塚治虫のちょいメズを紹介しよう。
虫プロから出た『火の鳥』の初版本(B5版の雑誌タイプの奴)の背表紙。たいがいは、漫画賞を授賞した後に大増刷された右側の背表紙しか見たことがないのではないか。鳳凰編までは、背表紙がバラバラだったことが解る。
昨夜は久しぶりに古本屋巡り。国立1軒、国分寺1軒、府中2軒(10年ぶりに、ブックスーパーいとうの大丸本店へ行った)、八王子2軒、日野1軒、立川1軒、という具合。
収穫は、D・リンゼイの『アルクトゥルスへの旅』全2巻・国書刊行会・世界幻想文学大系と、『ギャラクシー(下)』創元推理文庫。前者は何故か、あまり古本屋で見かけないもの。後者は、新刊時に上巻だけ買って、下巻を買い逃し、ずっと捜していたもの。
2005.04.16
[情報館]を更新。
4月20日に発売になる、光文社カッパ・ノベルスの新刊『稀覯人の不思議』の見本刷りが届く。『宇宙神の不思議』に続く、学生編水乃サトル・シリーズの第3長編である。今回のサトル君は、〈手塚治虫愛好会〉に所属するマンガ蒐集家なのだ。
ウッドハウス『比類なきジーヴス』を読了。軽妙な笑い。でも、想像したほど面白くなかったのは、長編仕立てだったからなのか。
真梨幸子氏の『孤虫症』を読了。なかなか面白かった。これだけの内容と文書なら、ノベルスで出した方が目立って良かったのでは。
2005.04.15
2月17日の日誌で、「本棚を整理したが、「メフィスト」の1999年1月号が見つからない」と書いた。よく調べてみたら、見つからなくて当然であった。この年は、何と、1月号は出ていなかったのだ。というのも、前年の1998年は、10月号が出て、すぐに12月号が出ていたからである。当時はまだ、1月、5月、9月に発売というローテーションが定まっていなかったようなのだ。思い出すと、この頃は、京極夏彦人気に引っ張られて、「メフィスト」が爆発的に売れ、やたらに分厚くなっていった時期であった。
2005.04.14
[情報館]を更新。
「メフィスト」の5月号に、有栖川有栖さんの台湾訪問記が載っている。日本の本格シーンに大きな影響を与えた雑誌「幻影城」の発行者、島崎博さんがご健在で、有栖川有栖さんとの対談が実現したのである。詳細を知りたい人は、すぐに「メフィスト」を購入のこと。
僕も高校生から大学生の頃に、「幻影城」を耽読した世代。発売日が待ちきれなくて、2、3日前に、神保町にあった幻影城社へ、いつもいち早く買いにいっていたものである。懐かしいなあ。
2005.04.13
[新刊]
江戸川乱歩全集17『化人幻戯』光文社文庫
芦辺拓『赤死病の館の殺人』光文社文庫
高木彬光『成吉思汗の秘密』光文社文庫
ミステリーランドに取り掛かる心構えとして、有栖川有栖氏の『虹果て村の秘密』を再読。子供に紹介するには絶好の、本格ミステリーにおける教科書的作品だからだ。
2005.04.12
[新刊]
秋田書店「ブラック・ジャック マガジン」青池保子他
『復刻版 手塚治虫のディズニー漫画 バンビ・ピノキオ』が、小型宇宙輸送船で到着。付録で付いている小冊子に、「漫画少年」に掲載されたディズニーの紹介(もちろん、手塚治虫の手による)まで収録されていて、こちらの方が貴重かも。これが、たった3990円だなんて信じられない。奇跡だ!
北村薫さんの『続・詩歌の待ち伏せ』を読了。北村薫さんの論旨展開は、いつもスリリングだ。
西谷祥子先生の『お元気ですか?』の新カバー版を入手。写真にあるとおり、『不良先生』は新・旧のカバー版を両方を持っていて、『お元気ですか?』も、新・旧のカバーがあることを噂に聞いていたのだが、なかなか現物を発見できず、西谷ファンとしては消化不良気味であったのだ。いずれも、上が旧、下が新の、セブンティーン・コミックス。
2005.04.11
[新刊]
北村薫『続・詩歌の待ち伏せ』文藝春秋
昨日は、本格ミステリ作家クラブの執行会議。5月の公開開票式、6月の総会&授賞式に向けての準備。
『稀覯人の不思議』のカバー写真に使った手塚先生の本を引き取るため、昨日は、車で会議の場所まで出かけた。少し早かったので、神保町の古本屋を覗いていこうと思い、首都高を代官山で下りたら(そこまでは空いていた)、これが大失敗。千鳥ヶ淵の花見の人たちで大変な混雑に。その上、大渋滞だというのに、皇居周辺の道路を途中から歩行者天国にしている。混雑している車を裁く様子もない。警視庁の交通課っていうのは、馬鹿の集まりじゃないだろうか。
竹橋を抜けて神保町に到着するまで、30分以上もかかってしまった。
bk1が新規開店したらしいが、そのせいで、このサイトからの検索リンクも全部はずれてしまった模様。仕様変更について、何の連絡もしてこないというのは、不親切ではないか。
2005.04.09
午前中は立川へワープ。Mクラスの書店で、桑田次郎『エリート』全2巻を牽引ビームで捕捉。朝日ソノラマ版でカットされていた部分が収録されたので嬉しい。
その後、北森鴻氏そっくりな人とすれ違って声を掛けたが、応答がなかった。どうやら違ったらしい。それにしても、よく似ていたなあ。
『最後の審判の巨匠』を読了。よく解らない話。
2005.04.08
[新刊]
「ミステリーズ! 第10号」東京創元社
藤岡真『ギブソン』東京創元社(ミステリ・フロンティア)
獅子宮敏彦『砂楼に登りし者たち』東京創元社(ミステリ・フロンティア)
昨日は、「ダ・ヴィンチ」の取材で光文社へ。5月号の「ヒットの予感」で『稀覯人の不思議』が取り上げられるための処置。編集さんもライターさんもよく知っている人だったから、和気藹々とインタビューが進む。
その後、突然、講談社に寄ることを思いつき、ノベルスの編集部へ顔を出す。文3の新部長と、ミステリーランドの新担当に「はじめまして」の挨拶を行なう。 お土産に、真梨幸子『孤虫症』をもらう。第32回メフィスト賞受賞作で、バイオ・サイコ・ホラーとのこと。ノベルスではなく、単行本だ。
電車の中で、姉小路祐氏の『「本能寺」の真相』と、鯨統一郎氏の『タイムスリップ釈迦如来』を読了。
2005.04.06
[新刊]
甲影会『別冊シャレード第82号 芦辺拓特集』
Mクラスの書店で、島尾敏雄『死の棘日記』を発見。牽引ビームで捕捉。名作『死の棘』の後日談。
エドモンド・ハミルトンの『反対進化』を読了。火星ものの短編の結末が本格ミステリーとして落ちていたので、楽しかった。
太田忠司氏の『月読』を読了。元祖キミボク派ならではの感受性豊かな内容。
グレン・ヒューズの新譜『ソウル・ムーヴァー』を聴く。密度の濃い力作。でも、前作『ソングス・イン・ザ・キー・オブ・ロック』の方が好きかな。
2005.04.05
[本格ミステリ作家クラブ]
[本格トピックス]を更新。「私の愛する本格」を連載中。
[新刊]
篠田真由美『胡蝶の鏡』講談社ノベルス
日明恩『それでも、警官は微笑む』講談社ノベルス
姉小路祐『「本能寺」の真相』講談社ノベルス
矢野龍王『時限絶命マンション』講談社ノベルス
昨日は銀座へワープ。母親が油絵の個展を開いているので、顔を出す。作家のAさん、Kさん、マンガ家のNさん、何社かの編集さんが見に来てくださった。ありがとうございます。
文藝春秋の本格ミステリ・マスターズに関する新情報。我孫子武丸さん、愛川晶さんに続き、折原一さん、奥泉光さんが脱稿したとのこと。今月末から続々と出る模様。
今度の本格ミステリ作家クラブの総会で、次のようなことを提案しようと思う。
(1) 一人の作家は、年3冊までしか本を出してはいけない(出版不況の折、他の作家の食い扶持を減らしてはいけないから)。
(2) 3年間新作を発表しなかったものは、作家の称号を剥奪され、元作家となる。その後、新作を出した場合は、新人扱いされる。
――あ、エイプリル・フールはもうすぎていたか。
2005.04.02
[情報館]を更新。
ゲラの校正作業には、パイロットの消しゴムで消えるボールペン「D-ink」の赤色を使っていた。買い置きがなくなったので文具店に行ったら、どこにも売っていない。おかしいなあと思って訊いたら、製品不良があったらしく、すべて回収になってしまったとか。仕方がないので、三菱の同種のものを買ったけれども、パイロットのものの方がインクが早く乾き、線が細くて好きだったのだ。残念である。
2005.03.30
[新刊]
甲影会『別冊シャレード85号 北森鴻特集』
Mクラスの書店を探査中、エドモンド・ハミルトンの『反対進化』創元SF文庫を発見。ただちに採取してデータ解析に回す。
2005.03.29
[情報館]を更新。
[新刊]
甲影会『別冊シャレード85号 北森鴻特集』
山田正紀氏の『神狩り2』を読了。何だかいろいろと考えさせられる内容。特定の主人公がいないバロック的な書き方は何故なんだろうか、とか。『3』が早くも気にかかる(笑)。
「トゥルー・コーリング」の推薦文を書いて、亜空間通信で送付。
2005.03.28
[情報館]を更新。
「スター・トレック/ヴォイジャー」のDVDボックス第5弾が、小型宇宙輸送船で到着。
「サスペリアミステリー」の原稿を執筆。今回は、バロン吉元の『陰獣』を取り上げる。
2005.03.26
E・W・ホーナングの『最後に二人で泥棒を』が小型宇宙輸送船で到着。今回の本は詳細な解説が付いていて満足。
『TRU CALLING』の残りはサンプルVHSで鑑賞。『ミレニアム』+『アメリカン・ゴシック』+『バフィー』÷3という感じか。第2シーズン以降もあるなら、それらもぜひ見てみたい。
2005.03.25
北森鴻氏の『瑠璃の契り』を読了。旗師・冬狐堂シリーズである。作品世界と謎が綺麗に溶け合っていて、このシリーズにはずれはない。語り口にもますます磨きがかかってきて、すっかり芸術の域。こんな文章が書けたらいいなあ、と素直に思えるほど。お勧め。
横山光輝『原作完全版 ジャイアント・ロボ (下)』と、レオ・ペルッツ『最後の審判の巨匠』が、小型宇宙輸送船で到着。
2005.03.24
[情報館]を更新。
[新刊]
柄刀一『ゴーレムの檻』光文社カッパ・ノベルス
船越百恵『名探偵症候群』光文社カッパ・ノベルス
新井政彦『ユグノーの呪い』光文社
FOX一押しの新作ミステリー・ドラマ『TRU CALLING』のサンプルDVDを見た。死人の声が聞こえる若い女性が、半日だけ過去へ戻って、その殺人を食い止める、というのが主筋。オカルト色は薄く、『幻の女』みたいな、タイムリミット・サスペンスである。けっこう面白い。
2005.03.23
[新刊]
山田正紀『ロシアン・ルーレット』集英社
「ROM叢書1」の『シャダーズ』アンソニー・アボット著を読む。犯人隠しのトリックも、殺人方法も、ちょっと不確定要素が多すぎる。が、その無茶ぶりは一興。
イギリスのハードロック・バンド、サンダーの新譜『THE MAGNIFICENT SEVENTH』を購入。前作は、リラックスしすぎだろうという曲も入っていたが、今回は緊張感が最初から最後まで保たれていた。好盤。
2005.03.22
[新刊]
山田正紀『神狩り2 リッパー』徳間書店
本格ミステリ大賞の投票用紙を記入。これまでだと、もらったらすぐに書いて投函していたのだが、今回は重大な決意を必要とすることがあったので、非常に時間がかかってしまった(つまり、大いに悩んだということ)。
『神狩り2』の後書きに、ものすごく格好いいことが書いてあった。『とにかくSFはもともともが「カッコいい」ジャンルなのだ』。うん、そのとおり!
2005.03.21
昨夜は、作家のUさんやKさんと共に、国立リバプールへ行って、ビートルズのコピー・バンドの演奏を聴いた。
佐々木俊介氏の『模像殺人事件』を読了。意外性充分の結末。読む価値あり。人物描写にもう少しメリハリが欲しいかな。
加藤実秋氏の『インディゴの夜』を読了。 会話が小気味よく、風俗小説として優れている。
2005.03.20
偉いぞ、小学館クリエイティブ! 大城のぼるの『火星探検』に続き、幻の名作『汽車旅行』を復刻だ。読んでみたら、これがほのぼのとしてすごく良い味を出している。のんびりしているのだが、そこがまた良い。各コマの構図も何と美しいことか。あと、驚いたのが、手塚治虫の『フィルムは生きている』や『火の鳥〈羽衣編〉』の源流がここにあったということ。
その手塚治虫の待望の完全復刻『バンビ・ピノキオ』の予約が、bk1でも始まった。
北山武邦『『ギロチン城』殺人事件』を読了。大技が炸裂して、とても楽しかったぞ。お城の佇まいにゴシック趣味がもう少し加わると、もっと雰囲気が盛り上がると思う。
2005.03.19
[新刊]
江戸川乱歩全集21『ふしぎな人』光文社文庫
カッパ・ノベルスから4月に出る本は、『希少本の不思議』ではなく、『稀覯人の不思議』という題名になりそう(とはいえ、まだ仮題)。『稀覯人』には「コレクター」というルビが付く。
で、ゲラが送られてきたので、赤を入れている最中。
最近は、「端正な本格」というのが流行りのようなのだが、この作品はまさにそれ。スッキリ、ドッキリである。
2005.03.17
[新刊]
北川歩実『恋愛函数』光文社
講談社のミステリー・ランドを書き始める前に、英気を養おうと、奥志賀に行ってスキーをしてきた。昨年までは、奥志賀と焼額山しか滑らなかったが、今回は、他のスキー場まで足を伸ばした。滑ったのは、横手山、渋峠、奥志賀、焼額山、一ノ瀬ダイヤモンド、一ノ瀬ファミリー、寺小屋、東館山、発哺ブナ平、西館山、高天ヵ原マンモス、タンネの森。
雪質が素晴らしく、晴天続きで、泊まったペンションも良く、最高のスキーが満喫できた。ドタキャンしたK・K氏に「ザマアミロ」と言ってやりたい(笑)。
一ノ瀬から望む焼額山 | たぶん、ブナ平の途中 |
2005.03.13-2
光文社「ジャーロ」第19号(2005年春号)が小型宇宙輸送船到着。
この号と、次号(夏号)に、新世紀「謎」倶楽部の新作・合作長編『EDS 緊急推理解決院』が分載される。今回は前編250枚。
新世紀「謎」倶楽部は、常に執筆メンバーが変わるのだが、今回は、石持浅海、加賀美雅之、黒田研二、小森健太朗、高田崇史、柄刀一、鳥飼否宇、二階堂黎人、松尾由美という顔ぶれ。
三年がかりの企画がようやく日の目を見たので、ホッと一安心しているところ。
新訳によるウールリッチの『黒い天使』を読了。今になって読み返してみると、「感傷」しかない小説だね。
霞流一氏の『羊の秘』を読了。不可能犯罪と蘊蓄が盛りだくさん。最後に演繹的推理で犯人を絞り込むところがスリリング。ただ、動機を説明する部分の事件の現実的・現代性が、事件の鮮やかな彩りと不整合を起こしているような気がする。私の場合には、たとえば、綾辻さんの『十角館の殺人』に一気飲みの話が出てくるのがどうも気に入らないのだが、そういう意味でである。
2005.03.13
[新刊]
柴田よしき『夜夢』祥伝社
『双面獣事件』の第2回を書き上げたところで、「24」の第2シーズンと第3シーズンを一気に見てしまう。第2シーズンは文句なく面白かった。第3シーズンは細かい所がずさんで、「ためするために」驚かすというような作り方がしてあって、見終わったら不満ばかり。
アレクサンドル・デュマの『モンソローの奥方』を読みだしたが、すぐに挫折。自費出版系統の本なので、心配していたが、その危惧が的中してしまった。要するに、大学教授直訳型翻訳のため、意味の取れないところが頻出するのだ。それでも、若い頃なら我慢して読んだだろうが、この年になるともう無理である。
2005.03.09
[本格ミステリ作家クラブ]
[本格トピックス]を更新。「私の愛する本格」を連載中。
[新刊]
三雲岳斗『カーマロカ――将門異聞』双葉社
北森鴻『瑠璃の契り』文藝春秋
『双面獣事件』第2回の下書きを80枚まで達成し、これから明日にかけて、必死に清書という流れ。
そうそう。光文社文庫の『新・本格推理』は、第5回に続いて第6回が募集を行なっている。今年もぜひ、意欲作を投じてほしい。
2005.03.08
[新刊]
喜国雅彦『日本一の男の魂(14)』小学館
「SFJapan」2005年春号 徳間書店
ソウヤーの『ホミニッド』を読了。ある程度は面白かったけど、あちらこちらで突っ込み不足な部分があり、物足りなさの方が大きかった。
2005.03.07
[新刊]
有栖川有栖『モロッコ水晶の謎』講談社ノベルス
鯨統一郎『タイムスリップ釈迦如来』講談社ノベルス
高田崇史『パズル自由自在』講談社ノベルス
P・G・ウッドハウス『比類なきジーヴス』国書刊行会が、小型宇宙貨物船で到着。
光文社文庫『新・本格推理05』の見本刷りが届く。帯の惹句は「シリーズ最高レベルの傑作が勢揃い。この才能を見逃してはならない」というもので、この煽りに偽りなし。二作同時入選の新人にも注目のこと。3月10日発売予定。
2005.03.02
[新刊]
加藤実秋『インディゴの夜』東京創元社(ミステリ・フロンティア)
森谷明子『れんげ野原のまんなかで』東京創元社(ミステリ・フロンティア)
昨日、なにげなく拙著『吸血の家』をめくっていたら、当時、物議を醸したあの注釈の中に、ディケンズの『エドウィン・ドルードの謎』について言及している個所があるのに気づいた(文庫版39頁)。すっかり忘れていたのだが、ここですでに、蘭子がその謎を完璧に解いているという記述が出てくるではないか。『吸血の家』を第1回鮎川賞に投じたのは1989年だから(発表は翌年)、15年も前から、『エドウィン・ドルードの謎』を小説の形で解明しようと構想を練っていたことが解る(本当のこと言えば、『吸血の家』は大学生当時に考えた物語だから、もっと前から、ということになる)。実現したのは昨年の『魔術王事件』によってだから、我ながら気が長いというか、執念深いと、感心したしだいである。
2005.03.01
松尾由美氏の『雨恋』を読了。××被害者に新機軸を出したもので、恋愛と推理をいっぺんに味わいたいという人向け。
小型宇宙輸送船で、ジョセフィン・テイ『裁かれる花』、コーネル・ウールリッチの『黒い天使』、ロバート・J・ソウヤーの『ホミニッド』が到着。
FOXチャンネル『24』最終話を見た。半年間、充分に楽しませてもらった。病院にまで敵の監視カメラがあるなど(あそこに、ジャックの妻が行くことは誰にも解らないはずなのに)、いくつか牽強付会な部分はあったが、よくできていた。第2シーズンはすでにBOXを買ってあるので、時間が取れたら一気に鑑賞する予定。
2005.02.28
[新刊]
アントニイ・バークリー『シシリーは消えた』原書房(ヴィンテージ・ミステリ)
昨日は本格ミステリ作家クラブの執行会議。「本格ミステリ05」収録作の決定、本格ミステリ大賞候補作及び公開開票会の準備、執行会議委員改選の準備、総会及び授賞式の準備、その他(有栖川さんと、台湾在住の「幻影城」島崎博さんとの対談内容の報告等)、議題は豊富。いつもの倍の時間がかかった。
私は、任期終了により、今期かぎりで執行会議を離れるが、サイト担当委員の継続と、新規に大賞運営委員を仰せつかったので、側面からクラブの活動を援助することになるわけだ。
高田馬場でマンガを購入。小山春夫『疾風土蜘蛛党』アップルBOXクリエート、桑田次郎『ミュータント伝』と『怪少年ジュン』マンガショップ。
2005.02.26
「サスペリアミステリー」連載の原稿を書き、亜空間通信で送付。今回は松森正の『幽霊列車』を取り上げる。
ラヴゼイの『漂う殺人鬼』を読了。女刑事が良い味を出していた。その分、ダイアモンドがいまいち精彩なし。
今日は、立川へ行って本を買い込んできた。
まずは、横山光輝の『ジャイアント・ロボ』(上)がついに復活なのだ。講談社偉いぞ。今月は上巻、来月は下巻が発売される。『ジャイアント・ロボ』が、何故、これまで単行本にならなかったかというと、いくつか理由がある。一つは前半部の原稿が紛失していたこと、第二に、前半部が、横山光輝と小沢さとるの合作だったことが上げられる。当時、横山光輝は、『伊賀の影丸』を「少年サンデー」に好評連載中だった。よって、同誌にもう一本、これを描かねばならなくなった時、(横山光輝の原作の下に)小沢さとると交互に描くという面白い執筆体勢を敷いたのである。まあ、その後、いろいろあって、横山光輝は「俺の生前は本にしない」と言っていたわけなのである。
同時に、講談社漫画文庫から出た横山光輝の『宇宙船レッドシャーク』(上・下)も買う。これも初の単行本化。
で、これでは終わらない。
ぶらっと棚を見ていて、びっくりするようなものを発見。何と、アレクサンドル・デュマの本邦初訳が2冊もあったのだ。『モンソローの奥方』と『ジョルジュ』である。嬉しい!
こういうこともあるので、書店散策もやめられないわけだ。
2005.02.24
[情報館]を更新。
手塚治虫ファンクラブ用の会誌「手塚ファンmagazine」の原稿を執筆して亜空間送信で送付。5枚。題して「ファンクラブの思い出と新刊」。1979年にファンクラブが創設された当時の事情や状況と、『希少本の不思議』について言及。
2005.02.22
[新刊]
鯨統一郎『新・世界の七不思議』創元推理文庫
鯨統一郎氏の新刊は、「ミステリーズ!」連載中に全部読んだが、とても面白いね。特にナスカの話は好きだな。
光文社のカッパ・ノベルスが、独自サイトを開設したとのこと。こちらから。「編集長インタビュー」というコーナーで、鯨氏や柄刀一氏のインタビューが読める。
「Jミステリ倶楽部」(ボーダフォンの携帯電話で見ることが出来る「読み物サイト」)用のエッセイ、三回分を書き、亜空間通信で送付。
2005.02.21
一昨日は、ライブハウスの国立リバプールで、音楽鑑賞。ビートルズ・デイだったので、ビートルズのコピー・バンドが次々に出てきて楽しかった。ちょっと前期の曲ばかりだったから、後期の曲も聴きたかったが。
島田荘司先生の『季刊 島田荘司04』を通読。御手洗ものは、良い話系。それよりも、威圧に基づく日本人気質に関する論考が秀逸。何故、日本人は権力や年齢や立場にものを言わせて威張りたがるのか、これを読むとよく解る。
編集さんに読んでもらった『希少本の不思議』の赤に基づき、原稿を修正。そして、完全入稿。というわけで、ますます無事に4月刊行へ近づいてきた。古本好き、マンガ好きには「たまらない」作品になったと宣伝しておこう。
2005.02.19
[情報館]を更新。
『希少本の不思議』の後書きを書いて、亜空間通信で送付。
『双面獣事件』の第二回の執筆を開始。とりありず、冒頭を4枚ほど。
2005.02.17
もう見ることもないだろうと、ビデオテープを片付け、本棚の空いた場所に、「メフィスト」と「ジャーロ」と「創元推理」を並べてみた。ところが、「メフィスト」の1999年1月号だけがない。どこへ行ったんだろう。古本屋で捜してくるか。それとも、この年は1月号は出なかったとか。
秋田漫画文庫の解説を一本書き、画像転送装置にて送付。
2005.02.15
祝! 原稿完成。この連休は、花粉症から逃れるために某所にこもり、『希少本の不思議』を書き上げた。問題がなければ、4月にカッパ・ノベルスから刊行されるであろう。
続いて、秘密プロジェクトBの草案を練る予定。秘密プロジェクトAはもう発動しているのだ。
あ、もう「メフィスト」の締め切りが……。今月中に「双面獣事件」の第2回を書き、3月中にミステリーランドの書き下ろしをやる予定、ということである。
2005.02.10
[新刊]
島田荘司『季刊 島田荘司04」原書房
新津きよみ『かけら』祥伝社文庫
昨夜は、赤坂プリンス・ホテルで「手塚治虫17回忌・手塚治虫を偲ぶ会」があり、これに出席。夕方まで必死に原稿を書いていて、あわてて出かけ、遅刻かと思ったが、滑り込みセーフ。こういう会というのは、ちょっと同窓会的趣がある。
ノックス『閘門の足跡』を読了。良い意味でも悪い意味でも、いかにもイギリス小説。
2005.02.09
[情報館]を更新。
[新刊]
「ミステリーズ! vol.9」東京創元社
「SFが読みたい! 2005年版」早川書房
『希少本の不思議』の完成度は9割。いよいよ大詰めの推理部分を執筆中。
花粉症で頭か痛い。いよいよ、春は北海道か沖縄へ逃げないとだめなのか。
花粉症って、もう公害だよね。
2005.02.06
鯨統一郎氏の『すべての美人は名探偵である』を読了。氏の生み出した美人名探偵が二人も出てくる贅沢さ。アリバイ崩しはちょっと駆け足だったが、歴史ミステリーの部分の解釈は、さすがの着想。
『希少本の不思議』の完成度は8割。締め切り日までにギリギリ間に合うか。胃が痛くなってきた。
また、『新・本格推理05』のゲラに赤を入れて、小型宇宙輸送船で返送。3月発売。
2005.02.03
[新刊]
霞流一『羊の秘』祥伝社ノン・ノベル
柄刀一『殺人現場はその手の中に』祥伝社ノン・ノベル
北山武邦『『ギロチン城』殺人事件』講談社ノベルス
相変わらず、『希少本の不思議』を書く毎日。この前も、手塚プロの古徳局長から「二階堂氏の小説は長いからねえ」と言われたが、今回は500枚以内で収めるつもり(あくまで、つもり)。
AXNチャンネル。『オデッセイ5』は、よくあるB級SFかと思っていたら、ちょっと『X−ファイル』的要素もあって面白くなってきた。
『ヤング・スーパーマン』はやっぱり、私的にはダメダメだった。『スパイダーマン』もそうだが、超人が悩むという設定が、どうにも臭くて我慢できず。ジョージ・リーブス主演の白黒テレビ『スーパーマン』みたいに、スカッとした話にできないものかねえ(古い?)。
2005.02.02
bk1から、ホーナングの『またまた二人で泥棒を』とアリンガムの『検屍官の領分』が到着。実は、2度目の注文。前の注文は、間違って、自分の所ではなく、ある人の所へ送ってしまった(前に、その人に本を送った時の宛先が残っていたため)。突然、心覚えのない本が届いたその人は、きっと驚いているだろう(特に知らせてないし)。
同時に、『評伝 ヘルマン・ヘッセ』全2冊も届く。
文藝春秋の《本格ミステリ・マスターズ》は、我孫子武丸さん、愛川晶さんが脱稿された模様。4月以降に続けて刊行されそうである。
2005.02.01
「銀座百点」に随筆を執筆。亜空間通信で送付。
昨日は、午後、光文社の編集さんと打ち合わせ後、高田馬場の手塚プロダクションを尋ねる。今度のカッパ・ノベルスの表紙に、手塚治虫先生の書影をコラージュで使わせてもらおうという話になり、その許可をいただくためだ。
そこで、画期的なニュースを教えてもらう。
何と、4月頃に、手塚治虫先生の幻の作品『バンビ』と『ピノキオ』が、講談社から新版として刊行されることが決定したというのだ。
この両作品、ディズニーの版権に引っかかって、再刊は不可能と言われていたものだが、今回は、3月の「バンビ」のDVD化に会わせて、ディズニー側から許諾を与えるという形で、刊行が実現したものである。何とも嬉しいニュースだ。
なお、まだ決定ではないが、『稀覯本の不思議』は『希少本の不思議』という題名で出ることになりそう。
手塚プロを後にして、エドモンドホテルへ。日本推理作家協会の理事会へ出席。パーティーの方は、仕事が立て込んでいるため、顔を出さなかった。
以下の写真は、手塚プロの玄関で撮影したもの。
2005.01.30
[情報館]を更新。
びっくりするような偶然の出来事が起きた。
昨日書いたとおり、今回の「リバイバルミステリー」は、みなもと太郎先生の作品を取り上げたのだが、その原稿を書き上げたすぐ後に、みなもと太郎先生からの郵便物が届いたのだ。開いてみると、中味は先生の同人誌2冊と、あすなひろしの追悼号2冊だった。先生のマンガも面白いし、あすなひろしの少女マンガも良かった。心から多謝。
2005.01.29
「僕らが愛した手塚治虫」のゲラに赤を入れる。その前に、ファックスが紙詰まりを起こし、何だか不調に陥り、うまく印字ができずに真っ青になった。ファックスはキャノンのインクジェットのものを使っているのだが、B4送受信できるファックスはもう売っておらず、これが壊れたらお手上げなのだ。何とかカートリッジ等を新品に交換するなりして、直すことができて、一安心。しかし、将来は不安である。どうして、家庭用のファックスは、A4送受信ものばかりなんだ>おい、こら、電気メーカー!
その後、「サスペリアミステリー」の「リバイバル・ミステリー」の原稿を執筆。今回は、みなもと太郎先生の「ホモホモ7」を取り上げる。
2005.01.28
[新刊]
松尾由美『雨恋』新潮社
桐野夏生『白蛇教異端審問』文藝春秋
津原泰水『赤い竪琴』集英社
倉阪鬼一郎『冥く天使のための音楽』原書房
……大いに気力の萎えることがあって……本来なら、広告担当としての責務を果たさねばならないのだが、とうていそんな気にはなれず……申し訳ないが、他の作家の日記や、当該サイト(更新されたら)を見ていただくしかないだろう……。
二ヵ月間使ってきた、東芝のハイブリットレコーダーXS-53だが、どうしても操作や動作のトロさに慣れることができず、パイオニアの720H-Sに買い換えてしまった。ダブル録画がシングル録画、320GBのHDDが250GBとスペック・ダウンしたが、操作系等の解りやすさ、使いやすさ、動作の機敏さは720H-Sの方が圧倒的に優秀で、ストレスがいっぺんに吹っ飛んだ。
2005.01.26
高田崇史氏の『QED 鬼の城伝説』を読了。今回は有名な《桃太郎》が題材で、現代の殺人もかなり派手目で怪奇なもの。結末は伝承解明と殺人の動機が密接に結びつき、まるで麻耶雄嵩のような意外な真相が炸裂する。シリーズ、1、2を争う面白さ。お勧め。
2005.01.25
[情報館]を更新。
一週間前から花粉症が始まっていたのだが、昨日から頭が痛くなり、しかも、カッと頭に血が上る出来事があったので、もっと頭が痛くなってしまった。
「ミステリマガジン」3月号を見たら、翻訳家の大村美根子さんの訃報に接し、びっくりした。彼女は国立市に住んでいて、鮎川賞パーティーの後などに、二、三度、一緒に帰ったことがある(そうだ、島田荘司先生に、紹介してもらったのだった)。電話でも何度か話をし、「数年前に、カーの短編集を訳したのに、東京創元社がちっとも本にしてくれないんです」と愚痴られたこともあった。また、3、4年前だと思うが、「原書房から出るカーの翻訳をしませんか」と尋ねたら、「もう翻訳はやめました」と言われ、がっかりしたこともある。
大村さんのご冥福を祈りたい。
2005.01.24
[新刊]
相原大輔『キルケーの毒草』光文社カッパ・ノベルス
『新・本格推理05』の題名を付けるのを忘れていた。そこでいくつか考えてみた。「樽の中の骸骨」、「覆面の下宿人」、「空き家の怪事件」(この二つはホームズものから)、「秘密の十字架」(ブラウン神父の短編二つをくっつけて)、「仮面荘の喪主たち」などなど。結局、やはりホームズの『四つの署名』をもじって『九つの署名』とすることにした。今回は9作品収録なので。
2005.01.22
[情報館]を更新。
前夜、国立を通り、根岸病院の横から東八道路へ入って、府中の関戸橋を渡り、聖ヶ丘まで出かける。帰りに、聖蹟桜ヶ丘と日野と立川で、ブックスいとうを3軒、ブックオフを1軒覗くが、収穫は一冊もなし。
太田忠司さんの『藍の悲劇』を読了。
2005.01.20
[情報館]を更新。
[新刊]
太田忠司『月読』文藝春秋(本格ミステリ・マスターズ)
太田忠司さんの『月読』が出る。「つくよみ」と読むのだそうだ。これまで、本格ミステリ・マスターズでは、私の『猪苗代マジック』が一番厚かったのだが、『月読』に抜かれてしまった。
「ジャーロ」の春号・夏号に分載される『EDS 緊急推理解決院』の総ゲラが出てきたので、赤入れ。
昨日、書き忘れた話。スキーの帰りに白樺湖畔の「りんどうの湯」に寄った。昨年、ここの源泉に入ったら、湯の色が赤錆色をしていたのに、今年は無色透明だった。どうやら、白骨温泉などと同じく、色づけをしていたのではないかと思われる。
2005.01.19
昨日、私は白樺高原のスキー場〈ブランシュたかやま〉にいた。それがこの証拠写真。御覧のとおりの晴天で、前日に雪が降ったからゲレンデの状態も上々。気持ちよく滑ることができた。
帰りの古本の収穫は、レスリー・チャータリスの『聖者対警視庁』と水野英子『すてきなコーラ』。
ヤフー・オークションがようやく〈チャリンカー〉の締め出しを始めた。新ルールはここ。しかし、こんなことは詐欺を防止するために当然のことで、遅すぎたくらいである。
石持浅海の『BG、あるいは死せるカイニス』を読了。人によってはSFミステリーとも、ミステリー仕立てのSFとも取れる境界線上の作品。私は前者と見た。面白いのでお勧め。
2005.01.15
『江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集 子不語の夢』のサイトがあることに気づいた。この[恒星日誌]からも抜粋がある。リーフレットを作るので掲載許可がほしいとのことだったので、快諾したもの。
『EDS 緊急推理解決院』や他の仕事で中断していた水乃サトルもの『稀覯本の不思議(仮)』の執筆を再開。現在、完成度は6割ほど。土星方面編集部司令本部から、「稀覯本」という文字が難しすぎるのではないかとの意見も出ている。実は自分でもそう思っていたのだが、他になかなか良い単語が見つからない。手塚治虫の稀覯本を巡る殺人事件の話なので、こういう題名なのだ。
2月上旬までに書き上げて、4月にカッパ・ノベルスから刊行の予定。
2005.01.14
[新刊]
本格ミステリ作家クラブ・編『透明な貴婦人の謎』講談社文庫
巽尚之『鉄腕アトムを救った男』実業之日本社
本格ミステリ作家クラブの年刊アンソロジー文庫の2冊目が刊行される。この『透明な貴婦人の謎』と、先月発売された『紅い悪夢の夏』の2冊を買うと、素敵なプレゼントがもらえる。詳しくは、文庫の帯を見てほしい。
芦辺拓氏の『切断都市』を読む。
2005.01.13
[新刊]
柄刀一『幽霊船が消えるまで』祥伝社文庫
新津きよみ『時効を待つ女』徳間文庫
[本格ミステリ作家クラブ]の業務連絡。第5回「本格ミステリ大賞」候補作アンケートは、15日(土)消印有効にて〆切。なお、今回からFAX参加も有効であるので、ぜひとも投票を。
2005.01.12
[新刊]
江戸川乱歩全集5『押絵と旅する男』光文社文庫
野村宏平『ミステリーファンのための古書店ガイド』光文社文庫
飛鳥部勝則『冬のスフィンクス』光文社文庫
文藝春秋の本格ミステリ・マスターズだが、1月末に、太田忠司さんの『月読』が出る予定。
2005.01.11
[本格ミステリ作家クラブ]
[1月の本格トピックス]を更新。今回から「私の愛する本格」の連載が始まった(「ジャーロ」でも連載中)。前回分は次には消えてしまうので、毎月読まないとだめなのだ。それから、トップページのデザインが少し変わった。新しいロゴを使って遊んだものになっている。
[新刊]
高田崇史『QED 鬼の城伝説』講談社ノベルス
『新・本格推理05』のまえがきと選評を書き上げて、亜空間通信にて送付。
黒田研二氏の『幻影のペルセポネ』と『霧の迷宮から君を救い出すために』を読了。
2005.01.07-2
新春の贈り物です。
カウンターで、700000番を踏んだ方は、この掲示板で報告してください。何か、サイン本を送ります。
2005.01.07
こっちは、黒姫スキー場の様子。第2リフトを下りた所からの撮影。私の背後に見えているのは野尻湖。『聖アウスラ修道院の惨劇』の舞台である。
2005.01.06
[新刊]
大倉崇裕『やさしい死神』東京創元社(創元クライムクラブ)
宇宙歴が2005年になった。皆さん、今年もよろしくお願いします。みんなの力を結集して、さらに本格推理を盛り上げましょう。
神津恭介復刻シリーズ第3弾が届く。今回は、「未収録短編集1」である。詳しくはこちら。
今年の初滑りは黒姫と妙高池ノ平スキー場。
下の写真は池ノ平の様子。ほど良い中級斜面が長く続いていてゲレンデそのものは好み。しかし、リフトのかけ方や構成が悪くて、改善を要求したい。一番混雑する駐車場横がペアリフトで、それを上がるとクワッドになるという不思議なもの。当然のことながら、ペアリフト前が行列になる。上に上がると、左手(黒姫山に近い方)に、ヤッホー・コースというのがあって、非常に空いている。しかし、ここのペアリフトは速度が遅い。これも残念なこと。