2003年09月
2003.09.29
[情報館]を更新。
ロイ・ヴィガーズ『殺人を選んだ7人』、ニコラス・ブレイク『旅人の首』、クレイグ・ライス『マローン御難』、リイ・ブラケット『非情の裁き』を立川で購入。
ちょっと親指を怪我してしまい、ライサで休養中……。
これだけ書くだけでも、たいへん。
復帰をしばし待たれよ。
2003.09.25
[新・本格推理04]〆切まであと7日! 奮って応募ください!
笠井潔さんの『魔』を読了。中編2本が入っているが、どっちも400枚くらいに引き延ばして長編にした方が良いのではないかと思うほどプロットが詰まっている。
『名探偵モンク』の5、6巻を鑑賞。アリバイ・トリックものに、太りすぎて部屋から出られない男が殺人を犯せるかどうかとか、毎回、趣向が凝っていて楽しい。4巻の観覧車の密室殺人なんて、もろE・D・ホック(トリックもホックだし)。
SFドラマは『バビロン5』が盛り上がってきた。
ボクちゃん探偵シリーズ第3話「かたい頬」の執筆を開始。
2003.09.24
[新・本格推理04]〆切まであと7日! 奮って応募ください!
[情報館]を更新。
e-novels(2003年9月23日号(隔週火曜日更新)[Vol.155])が更新。
文藝春秋のPR雑誌「本の話」10月号で、「本格ミステリ・マスターズ」の特集が組まれている。笠井潔さんと歌野晶午さんの対談、我孫子武丸さんによる新刊『魔』の書評、円堂都司昭氏によるラインナップ紹介など。
2003.09.23
[新・本格推理04]〆切まであと7日! 奮って応募ください!
[新刊]
ディクスン・カー『仮面劇場の殺人』創元推理文庫
野崎六助『安吾探偵控』創元クライム・クラブ
[古本]
坂本ミドリ『ミニの女王』若木書房
最近買ったお気に入りの本は、堀江あき子『乙女のロマンス手帳』河出書房新社である。
今夜でWOWOWの『CSI』の第2シーズンが終わってしまう。悲しいぃぃぃ! と思ったら、来月から、『CSI マイアミ』っていう奴が始まるんじゃないか。くうー。嬉しい! どうやら『ネロ・ウルフ』もやるらしい。小説はあんまり好きじゃないが、ドラマだとどうなるんだろう。AXNでは、もうじき『アンドロメダ』の第3シーズンも始まるしね。秋の夜長は海外テレビを見てすごすか。そう言えば、アメリカでは『ER』の第10シーズンが始まって、グリーン先生がクローン技術で生き返ったとか(これは嘘)。
2003.09.20-2
うっかりしていた。
e-novels(2003年9月9日号(隔週火曜日更新)[Vol.154])がとっくに更新していた。
また、メールマガジンも発刊している。登録はこちらで。
http://www.so-net.ne.jp/e-novels/mailmag.html
無料更新の「週刊書評 第189回 『ブラディ・マーダー 探偵小説から犯罪小説への歴史』 ジュリアン・シモンズ・著」を、探偵小説研究会の波多野建氏が書いている。これがムチャクチャすごい。波多野建氏は分析力にかけては並々ならぬ才能を秘めた評論家だが、その才能がこの書評で爆発している。個人的には、これが今年の[本格ミステリ大賞 評論・研究部門]のナンバー1候補。ぜひ読んでみてほしい。
2003.09.20
[新・本格推理04]〆切まであと10日! 奮って応募ください!
昨日は、帝国ホテルへワープ。午後3時から推協の理事会。図書館問題、貸与権問題、出版契約書問題等。長時間にわたる調査報告と議論。
その前に、高田馬場で本屋に寄り、創元推理文庫の復刻から「ロシア・ソビエトSF傑作集 上・下」「東欧SF傑作集 上・下」4冊を購入。ベリャーエフの「髑髏蛾」を読みたかったのだ。で、読んでみたら、恐ろしく変な話なのだが、正直言ってつまらなかった。ポケミスの復刻は並んでおらず。
午後6時から乱歩賞パーティー。我孫子武丸氏と田中啓文氏と話をしていたら女性からいきなり「二階堂さん!」と声をかけられ、一瞬めんくらう。姫野カオルコさんだったのだが、まさか、彼女が乱歩賞バーティに出てくるとは思っていなかったからだ(あと、髪が少し赤かったし)。先入観を打ち砕く見事なトリックである。その後に打ち合わせがあり、途中退場。あまり人と話ができずに残念。
大倉崇裕氏の『七度狐』を読了。丁寧に書かれた佳品。
2003.09.18
[新・本格推理04]〆切まであと12日! 奮って応募ください!
[新刊]
中津文彦『こまち田沢湖殺人事件』カッパ・ノベルス
司城志朗『街でいちばんの探偵』カッパ・ノベルス
斎藤栄『鎌倉NGO紫煙の家』カッパ・ノベルス
赤城毅『帝都探偵物語 私が愛した木乃伊』カッパ・ノベルス
戸梶圭太『トカジャクソン』光文社
アクション・チャンネルの「バイオニック・ジェミー」は、昔、新書版でノベライズも出た「ゴールドマン暗殺指令」のパート1からパート3を3日連続で放映。録画したものを2倍速で鑑賞。フェンボット(女のロボット)がチープな味を出している(だいたい、ジェミーやオースティン大佐がバイオニックスで走るシーンはただのスロー・モーションだし(笑))。
2003.09.17
[新・本格推理04]〆切まであと13日! 奮って応募ください!
[新刊]
笠井潔『魔』文藝春秋(本格ミステリ・マスターズ)
花村えい子・画/連城三紀彦・原作『戻り川心中』白泉社
〈本格ミステリ・マスターズ〉の新刊は、笠井潔さんの『魔』。私立探偵飛鳥井シリーズ。スペシャル・エッセイ、解説評論、インタビューをとりあえず読んだが、抜群の面白さ。インタビューの中で、脱格派(二階堂黎人流に言うと「キミとボク派」)についての分析がされていて、これが非常に解りやすい。拙著『猪苗代マジック』のインタビューでの当該部分と合わせて読んでみてほしい。
次回の〈本格ミステリ・マスターズ〉だが、11月はお休みして、来年1月に近藤史恵さん、芦辺拓さんの新刊がいっぺんに2冊出る予定。
続いて『名探偵モンク』の4巻を鑑賞。
JICC出版(宝島社?)から出ていた完訳・現代語訳の『南総里見八犬伝』は6巻で中断した模様。
2003.09.15
[新・本格推理04]〆切まであと15日! 奮って応募ください!
[新刊]
折原一『被告A』早川書房
ようやく、ビデオ『名探偵モンク』の2巻、3巻を鑑賞。面白い。良い味で出ている。ちゃんと物的証拠で推理するところが良し。観覧車の密室的状況事件はまるでE・D・ホックのよう。精神病院での事件がよくできている。
2003.09.14
[新・本格推理04]〆切まであと16日! 奮って応募ください!
以前、この日記にも書いたし、『新本格03』でも書いたが、マイクロソフトのMS-Wordを使って原稿を書いている人は、ルビを振った後に、必ず行間調節をしてほしい。行間が不揃いだと見にくいし、醜い。
その他、応募に関する(本格短編を書くことに関することも含めて)何か質問がある人は、掲示板で遠慮なくどうぞ。
[新刊]
光文社「ジャーロ」2003年秋号
江戸川乱歩賞全集(15)『天女の末裔/放課後』講談社文庫
江戸川乱歩賞全集(16)『風のターン・ロード/花園の迷宮』講談社文庫
鯨統一郎『月に吠えろ!』トクマ・ノベルス
[古書]
ウールリッチ『野生の花嫁』ポケミス。ステヘブルフォード『ハルシオン・ローレライ』サンリオSF文庫。アシモフ『ロボット国ソラリア』、ライト『なぞの惑星X』世界の科学名作・講談社、西谷祥子『ジルとMr.ライオン』マーガレットコミックス。
講談社の「世界の科学名作」シリーズは、これであと残り一冊となった。何故か、『宇宙戦争』というメジャーな本が残ってしまったが、いずれ見つかるだろう。
2003.09.13
[新・本格推理04]〆切まであと17日! 奮って応募ください!
すでに、大手書店では、講談社文庫の『密室殺人大百科 上』と『密室殺人大百科 下』が新刊コーナーに並び始めたらしい。今回は加賀美雅之氏が中編を新たに書き下ろしてくれたので、ボーナス・トラックとして収録してある。書誌データーの方も、森英俊さんや、解説の末國善己・横井司両氏が補足してくれている。よって、親本を買ってくださった方にもさらにお勧めできるしだいである。
密室殺人の原理などにも多くページをさいているから、[新・本格推理04]へ応募しようという作家志望の方にも非常に役立つだろうと思う。
自画自賛になるが、これだけ内容の濃い(できのよい作品の集まった)密室アンソロジーは、二度と編まれることはないだろう。
2003.09.12
[新・本格推理04]〆切まであと18日! 奮って応募ください!
[新刊]
今月の光文社文庫はかなりすごい。その中から注目作を紹介。
江戸川乱歩全集 第7巻『黄金仮面』
ミステリー文学資料館・編『「エロティック・ミステリー」傑作選』甦る推理雑誌(8)
飛鳥部勝則『砂漠の薔薇』
若竹七海『古書店アゼリアの死体』
都筑道夫『三重露出』
井上雅彦・編『教室』異形コレクション
エリス・ピーターズ『死を呼ぶ婚礼』
某月某日、所沢駅前の彩の国古書展へ行く。その前に、ほんだらけ東所沢店へ行ってみたら、まだ閉まっていて、余計な時間を使ってしまった。古書展では、森英俊さん、彩古さん、石井女王と遭遇。いつもの顔ぶれ(笑)。ポケミスが古いところも含めてかなり出ていた。が、何だか購入意欲が湧かなかったのでパス。児童本SFのメイン『消えた海』集英社「世界のSF」があったので、喜んで買う。他には白泉社の『少女マンガ入門 正・続』。続を持っていなかったので。岩波文庫からは、『開拓者 上・下』。アメリカの古典。あの『モヒカン族の最後』を書いたクーパーの作品(というか、その前日談)。デュ・モーリアの『破局』。『レ・ファニュ傑作選』は密室短編が載っているので。JICC出版(宝島社?)から出ていた完訳・現代語訳の『南総里見八犬伝』か1から4まで。これって、結局何巻まで出たんだろう? 最後までいかなかったのがおしまれる。
帰りにほんだらけ本店へ行ってみたが、何もなし。
2003.09.11
[新・本格推理04]〆切まであと19日! 奮って応募ください!
[情報館]を更新。
[新刊]
二階堂黎人・編『密室殺人大百科 上』講談社文庫
二階堂黎人・編『密室殺人大百科 下』講談社文庫
山田正紀『天正マクベス』原書房(ミステリー・リーグ)
鳥飼否宇『本格的 死人と狂人たち』原書房(ミステリー・リーグ)
原書房のミステリー・リーグが、セカンド・ステージに入った。その第一弾は、いなり山田正紀さんと鳥飼否宇さんの新作が同時発売という力の入りよう。今後も目を離せないぞ。
2003.09.09
[新・本格推理04]〆切まであと21日! 奮って応募ください!
[新刊]
西谷祥子『マリイ・ルウ』白泉社文庫
西谷祥子『ジェシカの世界』白泉社文庫
三鷹駅南口の目の前にある「三鷹市美術ギャラリー・第三展示室」(コラルビル5F)へ出かけ、西谷祥子先生の個展の飾り付けのお手伝い。いつものとおり、すがやみつるさん、ひかわ玲子さん、江下雅之さん、そして、私のという面々。9月10日から14日まで開催されているとのこと。
これは、漫画家・西谷祥子の個展ではなく、御本人に戻り、日頃描いていらっしゃる日本画などを展示するもので、題して「山田祥子展 このごろの私」となっている。
今月はちょうど、白泉社文庫から、西谷祥子先生の傑作選『マリイ・ルウ』、『ジェシカの世界』の二冊が出る。これがただの傑作選ではなく、未発表短編や、単行本未収録作品や、別名義(男名)で描いた作品まで収録された素晴らしい作品集なのだ。ぜひ手に取られたし。
2003.09.07
[新・本格推理04]〆切まであと23日!
持ってるけれど、読んでいなかった本シリーズ。ボワロ&ナルスジャック『女魔術師』を読了。訳文も古いし、こういうのを読むから、フランス・ミステリーに対する点数が落ちちゃうんだよな。
なんと、辻真先先生がウェブサイトを立ち上げたとのこと。ここ。
「ミステリーズ!」を読んでいたら、東京創元の評論賞はしばらくお休みだそうだ。ちょっと驚き。が、仕方がないのかもしれない。
書評・解説・解題といった仕事の面では、探偵小説研究会の面々は非常によい業績を上げている。特に千街晶之、佳多山大地、鷹城宏、末國善己、横井司などは立派な文章をたくさん書いている。波多野建、いずみ綾という、将来楽しみな人材も出てきた。原書房の「本格ミステリ・ベスト10」での本格援護射撃も、着実に読者を増やしている。
けれども、肝心の評論の面はどうだろう。相変わらず、評論集(単行本)となると、ほとんど笠井潔氏のものしか出ていない。その上、評論文の中身もどうかと思うものがある。ミステリーとは無関係の哲学思想や体系を、何の前置きも説明もなく勝手に持ち込む。一般読者に認知されてもいない仲間内の隠語を多用する。論法が否定ばかり(評論には多いが)。意味も目的もなく、新本格や第三の波に区切りを付けたがる。他の評論家の文章からの引用ばかり。それをまた元の評論家が引用する。その結果、中身のない、あるいは、論旨の展開のない、引用の引用の引用といった文章を読者は読まされることになる――といったような自家中毒症状を多々起こしていた。
故に、評論賞の一時中断が、そうした点への自己反省の意味を込めた行為であるなら、当然のことであろう。
2003.09.06
[新・本格推理04]〆切まであと24日!
[新刊]
甲影会「別冊シャレード75号 斎藤肇特集」
東京創元社「ミステリーズ! vol.02」(鮎川哲也賞の発表他)
さて、[新・本格推理04]の〆切まで一ヵ月を切った。昨年の「03」ではたいへんな才能を多数発見できたと思うのだが(というより、たいへんな才能が自ら名乗り出てくれた)、だからこそ、今年はますます期待感が増している。二階堂をギャフンと言わせてやる! っていう気持ちでもいいし、自分の才能がいかばかりのものか試してみよう、でもいいし、面白いトリックを思いついたから小説を書いてみよう、でもいい。どんな動機でもかまわないから、意欲を持ってどんどん応募してほしい。
2003.09.05
講談社文3から、ノベルス型新雑誌「ファウスト」が出た。定価980円。「闘うイラストーリー・ノベルスマガジン」なる惹句がある。いわゆる「ボクとキミ派」作家ばかりを意図的に集めたもの。
目次にページ数がほしい。笠井潔さんの対談を探すのに一苦労した。あと、これって定期刊行? 不定期刊行?
2003.09.04
[新刊]
ハービー・ブレナン『フェアリー・ウォーズ/ベレスの書』ソニー・マガジンズ
マイケル・ギルバート『スモールボーン氏は不在』小学館
『捕虜収容所の死』が好評のマイケル・ギルバートの新訳が出た。帯の惹句がなかったら、本格系の作品とはまったく思えん(^_^;)。
2003.09.03
[新刊]
今月の講談社ノベルスのラインナップ。私も参加した〈新本格ミステリフェスティバル〉の模様が『新本格謎夜会』として甦った。
綾辻行人+有栖川有栖=監修『新本格謎夜会』
三津田信三『蛇棺葬』
森博嗣『四季春』
牧野修『黒娘』
[古本]
アメリカ探偵作家協会編『現代アメリカ推理小説傑作選 2』立風書房
石持浅海氏の『月の扉』を読了。設定、物語展開等、かなり工夫を凝らしてあって面白い。前作以上に読みやすくなっていて、あらゆる部分で高得点を与えられる。きびきびした文章も良い。いよいよKappa-One作者が本領を発揮してきたので、嬉しくなる。西澤保彦的な状況設定ミステリーにして、討議型ミステリーの佳作。
高次元のレベルまでに達した作品という前提で、以下、言及する。(ネタバレ的につき、注意)
西澤保彦さんの作風と似ているということは、弱点もそっくりということ。探偵役が自分の推理に都合の良い事実を、その時点になって牽強付会的に持ち出すのも同じ。たとえば、カッターナイフの刃という凶器の出所を説明するのに、その手がかりとなる人物の性格が必要なら、もっと前に言及しておくべき(それで何の不都合もない)。そういう部分で、何ヵ所か御都合主義に感じる所があった。
あと、後半部で、探偵が(つまり作者が)、「凶器を飛行機に持ち込むのは簡単です」などど言い出す所があるが、これは嘘でも言ってはいけない。空港の警備をかいくぐり、かつ、飛行機とトイレという閉鎖状況で起きた事件だから不思議の度合いが強いわけなので、それを否定するような言及をするのはまずいだろう。それでは、不可解な謎と、その見事な解決を期待してこの作品を読んでいる読者を馬鹿にすることにもなりかねない。「凶器を飛行機に持ち込むのは困難ですが、あなた方(ハイジャック犯)がやったように、工夫すれば何とか持ち込むことができたでしょう」というような言い方が正解だと思う。
2003.09.02
[情報館]を更新。
「小説推理」11月号に掲載予定のボクちゃん探偵シリーズ「長く冷たい冬」106枚を執筆。以前書いた「渋柿とマックスの山」の続編的作品。
高木彬光『復刻版 夜の皇帝/深夜の魔王』が到着。こうした地道なファン活動には頭が下がる。
マックス・アフォードの『魔法人形』を読了。ちょっと評価が難しい。〈名典〉ではなく〈古典〉としてみれば、骨格はオーソドックスな探偵小説でなかなかのもの。しかし、カーやポール・アルテなんかと比べると、展開部がいまいちで、やはりB級感は免れない。〈何々のカー〉と呼ぶにしては。