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不定期日記(過去ログ)

2002年10月



2002.10.31
 昨夜は、スーパーチャンネルで、「スタートレック/DS9」の鑑賞。ところが、最終回2時間番組を、前後編に分けて、その前編しか放送しないのだからひどすぎます。

「緋の魔術師」の清書をしながら、原書房の「本格ミステリ・ベスト10 2003’」のための投票について考えました。国内部門で最終的に絞ったのは、次の6作。

『グランギニョール城』芦辺拓
『双月城の惨劇』加賀美雅之
『聯愁殺』西澤保彦
『オイディプス症候群』笠井潔
『僧正の積木唄』山田正紀
『魔神の遊戯』島田荘司

 投票は5作までなのですが、どうしても、ここからあと一冊が落とせないのです。非常に困っています。

[新刊]
 五條瑛 『君の夢はもう見ない』 集英社

2002.10.30
「緋の魔術師」は下書き150枚が完成。明日からは清書。メフィストによる被害は甚大で、ちょっと強引な物語展開。

 飛鳥部勝則氏の『バラバの方を』を読了。構成とテーマに凝った佳作でした。

「新刊」
 桐野夏生 『ダーク』 講談社 2000円(待望のミロ・シリーズ)

2002.10.29
 光文社文庫『新・本格推理』ですが、9月末の締め切りまでに86作の応募がありました。どうもありがとうございます。現在、一次選考中です。12月には、最終選考のため、私の所に候補作が回ってくる予定です。今年はどんな新人、新作か現われるか、とても楽しみです。

   e-novels(2002年10月29日号(隔週火曜日更新)[Vol.132])が更新しました。

[新刊]
 井沢元彦 『逆説の日本史』 小学館 1550円(いよいよ織田信長登場で、最高の盛り上がり)

2002.10.28
 12月26日に秋田書店から発売になる、河内実加・画/二階堂黎人・原作『――渋柿信介の事件簿――歯なしの探偵』のカバーラフが出来。作者名の所が青基調と緑基調かあったので、青を選びました。好きな色、赤、青、黄。嫌いな色、緑、茶、灰色。

2002.10.27
 シリーズ第3弾、松尾由美氏の『バルーン・タウンの手鞠唄』を読了。トリックあり、パロディあり、ひねくれた結末あり、意地の悪い探偵ありで、今回もとても楽しめました。

「新スタートレック」のDVDボックス第3シーズンが到来。何度見ても面白いなあ。

2002.10.26
「緋の魔術王」は下書き90枚。150枚まで書くつもり。

 収穫:水野英子選集『にれ屋敷』朝日ソノラマ

[新刊]
 物集高音 『夭都七事件』 祥伝社 1800(『冥都七事件』に続く短編集ですね)
 柄澤齊 『ロンド』 東京創元社 3300円(噂の大作がいよいよ出ます)

2002.10.24
 防御シールドは80バーセントまで回復。一方、「緋の魔術師」は50枚まで来たところで大きな壁にぶつかり、光子魚雷を放ちつつ中央突破をはかりつつも、みごとに玉砕。現在、 新たな攻撃方法を模索中。

 で、ある対談の原稿を校正。

 加賀美雅之氏から送ってもらった「芸術に恋して ミステリー小説誕生の謎」という番組のビデオを鑑賞。笠井潔さんや有栖川有栖さんが出演していて、有栖川さんが金田一耕助と握手しているがやけに羨ましかったです。

 原書房から11月初旬に出る『増加博士と目減卿』の表紙のラフデザインを上にアップしてあります。素敵でしょう。装丁は、カーの文庫カバーでお馴染みの山田維史さんです。

 内田善美で唯一持っていなかった『ソムニウム夜間飛行記』をようやく入手。素晴らしい文と絵でした。

[新刊]
 島田荘司 『三浦和義事件』 角川文庫 1143円

2002.10.23
 e-novelsの方で、電子小説販売のPDAへの展開を検討しているため、試行錯誤の最中。下のような書式で、PDA用のPDFファイルを作ってみたりしています。私が使っているPocketPCは、カシオのE-2000。
 PocketPCは片手で持てて、メモリー・カードの中に長編が5、6冊平気で入ります(メモリー量による)。満員電車の中でも楽に読めますし、旅行に行く時、重い本を複数持たずにすむので便利ですね(ただ、バッテリーがあまり持たない。E-2000だとバックライト点灯で2時間が良いところ)。
 AdobeのAcrobatで作るPDFファイルですと、フォントの埋め込みができるので、左のように綺麗な文字で表示できます。その代わりに、ファイルが大きくなってしまいます。右のドットブック形式ですと、PDAの持つフォントを使いますから、ファイルは小さくなりますが、このとおり汚い字ですね(Windowsもそうですが、マイクロソフトのフォントは汚い。美意識のかけらもない)。

PDFファイル、フォント埋め込み ボイジャーのドットブック形式


 光文社Kappa-One作家4人集の一人、東川篤哉氏の新作が出ました。他の三人は何をしているんでしょう(笑)。

[新刊]
 カッパノベルスの今月の新刊です。

 東川篤哉 『密室に向かって撃て!』 800円
 近藤史恵 『青葉の頃は終わった』 800円
 赤城毅 『紳士遊戯』 800円
 溝口敦 『ネット蟻地獄』 800円
 松本清張 『殺意』 848円

2002.10.22
 やっぱり我慢できなくて、睡眠時間を1時間削って読んでしまいました、『イリーガル・エイリアン』。無茶苦茶な面白さ、滅法面白い、SFとしてもミステリーとしても一級などと、大絶賛してしまいましょう。やっばりソウヤーはいいやねえ。最近は、SFの癖にSFの醍醐味がまったくなくて、ただだらだらと長くてつまらない作品が多いのですが(だいたい、上下巻で発売される翻訳SFにろくな奴はない。バクスターの『タイム・シップ』は除いて)、これは違います。本格ミステリーとしても、偽の推理はあるし、どんでん返しはあるし、驚くべき結末はあるし、で、推理小説ファンにも絶対のお勧め。何より、人間が描けてないのがいい(笑)。スタートレック・ネタのセリフが出てくるのも、嬉しいですよね。「ラチナム」には笑いました。

[新刊]
 早見裕司 『自律世界の愛しい未来』 富士見ミステリー文庫 540円

2002.10.21-2
 掲示板で、ロバート・J・ソウヤーの『イリーガル・エイリアン』が出ているというので、さっそく買ってきました。いやあ、面白いこと、面白いこと。これまで読んだファースト・コンタクトものの中でも一番面白いかも。でも、このまま読んでいたら、仕事にならないので、涙を呑んで中断。ちょうど殺人が起きたところなので、恐ろしいほどの精神力がいりました。ああ、何だか蛇の生殺しみたいな心境。(仕事と称して、これを書いているわけですが)

 原書房で、今年度の『本格ミステリ・ベスト10』のために、読者が選ぶランキングをやっています。投票はこちらから。

[新刊]
 文芸春秋社の本格ミステリ・マスターズの第2弾が刊行になります。叙述ミステリーの名手と短編ミステリーの名手の激突です。

 折原一 『倒錯のオブジェ 天井男の奇想』 1857円
 加納朋子 『虹の家のアリス』 1762円

2002.10.21
 危機また危機。まずはブリーン人の風邪ウィルス爆弾が、ビタミンCシールドを突き抜けて第3デッキ背部に直撃。第5デッキ喉部にも損傷。ただいま、防御シールド40パーセントダウン。
 その上、右手人差し指にカッターナイフ時限爆弾が炸裂。幸い、軽い損傷ですみましたが、補修部分に巻いた電子式万能絆創膏のせいで、キーボードがうまく叩けません(キーを二ついっぺんに押してしまう)。まあ、損傷部分に触らなければ痛みはほとんどないので、何とかなっていますが。

 山口雅也氏の『奇偶』を読了。狭義の本格ミステリーというより、思索的小説に近いもの。参考文献にヘッセの『ガラス玉遊戯』があがっていましたが、むしろ『荒野のおおかみ』を読んでいるような印象でした。
 それにしても、何だか最近、SFも含めて、量子理論の説明ばかり読んでいる気が……。

2002.10.18
「メフィスト」用の「緋の魔術王」の執筆を開始。まずは人物整理からだったりして。

「古本市場」のポイントが2700を超えたので、中古CD(MISHAの新譜)と交換。

 収穫:シルヴァーバーグ『生きていた火星人』あかね書房。ドライサー「シスター・キャリー」全2冊・岩波文庫。

2002.10.17
 締め切りにはまだ一ヵ月あったのですが、気持ちの整理をするため、「ジャーロ」向けに原稿を書いてビーム転送。鮎川哲也短編ベスト3というのがその内容。次回の「ジャーロ」では、贋作短編を含む鮎川哲也特集があるということです。

 以前もたいへん感心しましたが、舞城王太郎氏のイラストは本当にいいですよね。書き下ろしを含む短編集が出まして、本文イラストを彼自身が担当しているわけです。これが、本当に素敵なんですよ。私は好きです、彼のイラスト。『くまのパディントン』のイラストを担当していたペギー・フォートナムに似たタッチですが、現代的にもっとクール。不思議なのは、何故、装丁表紙イラストも作者本人の絵を使わなかったのかということ。
 いつか、犬にまつわる小説でも書いて、舞城氏にイラストを付けてもらおっと。

 収穫:ドイル『恐竜世界の探検』あかね書房

[新刊]
 舞城王太郎 『熊の場所』 講談社 1600円
 森博嗣×佐久間真人 『猫の建築家』 光文社 2000円

2002.10.16
 e-novels(2002年10月15日号[Vol.131])が更新しました。
「遊歩人」というオンデマンド雑誌で、e-novelsメンバーによる連作短編シリーズ「黄昏ホテル」が始まりました。10月号には笠井潔さんの短編が載っています。

 日本推理作家協会の会報向けに、鮎川哲也先生の追悼文を書いてビーム転送。

 山口雅也さんの『奇偶』に突入。

[新刊]
 山口雅也 『奇偶』 講談社 2400円
 新堂冬樹 『悪の華』 光文社 1700円

2002.10.15
 前に書きました東京創元社の『新装版 武部本一郎画集』が、ようやくサイトの方からも予約ができるようになりました。こちらから。300人以上集まらないと復刻しないとのことですから、ぜひとも注文しましょうよ。

 愛川晶氏の『ダイニング・メッセージ』を読了。あとがきにもあるとおり、確かにこの趣向は、推理作家なら一度はやりたいものですね。

2002.10.14
 双葉社文庫から竹本健治さんの名作、『匣の中の失楽』の決定版が出ました。巻末に、綾辻さんと竹本さんの対談の他、過去のこの本に関する評論等、100頁を超える資料が収録されています。初公開の創作ノートまで!

 それにしても、「幻影城」誌の連載や、これの最初の大型の単行本でこの作品を読んだ時、あまりに長大だと思ったのに、今となると、1200枚の推理小説も珍しくなくなってしまって、あの時には、こんな長い小説は一生書けないと思ったのに(もちろん、内容にもひれ伏したわけです)、何だか複雑な気分です。

 TOTOの新譜は単なるカバー曲集でがっかり。ゲーリー・ムーアの新譜もスカ。

[新刊]
 竹本健治 『匣の中の失楽』 双葉文庫 1143円

2002.10.13
 出かける前にネット書店に注文しておいた本が到着。河出文庫『鷲尾三郎名作選』日下三蔵編と、トパーズプレス『推理小説論叢』慶應義塾大学推理小説同好会の2冊。鷲尾三郎はなかなかトリッキーで、しかも、小説もちゃんとしているので、この手の懐古的作品集の中ではお勧め。
 原書房の『「モノ」の世界史』2800円みたいな西洋唯物的蘊蓄語り本は意外に好きでして。

 北森鴻氏の『触神仏』を読了。いよいよ伝奇小説寄りになってきて、大胆な仮説が披露されますので、その方面に弱い私は大いに驚かされました。しかし、その分、やや現代の事件に弱いところも出てきて、たとえば、第一話で、他人のパソコンで犯人がメールを打ったのではという推理が話をされますが、指紋を気にしたら、入力する時だけ、キーボードを丸ごと取り替えてしまうなどの手もあるわけで、そういう緻密な考察もしてほしいと、ちょっと思ってしまいました。

[新刊]
 まず、光文社文庫の新刊からミステリー系を紹介。嬉しいのは、山前謙さんの手による編纂もの「蘇る推理雑誌」シリーズ全10巻の刊行が開始したこと。それから何と言っても、山田正紀さんの『蜃気楼・13の殺人』がついに文庫化なったこと。それも、加筆の上、風水林太郎ものに改変されたというのだから、絶対に読まねば。

 山田正紀 『蜃気楼・13の殺人』 590円
 ミステリー文学資料館・編 『「ロック」傑作選』 762円
 日下圭介 『紅蓮の毒』 533円
 内田康夫 『讃岐路殺人事件』 533円
 川田武 『乱歩邸土蔵伝奇』 762円

 次は柴田よしきさんの大作と、原書房のミステリー・リーグがついに2年目に突入したその第一弾が刊行されました。ミステリー・リーグも頑張ってますねえ。

 柴田よしき 『聖なる黒夜』 角川書店 2000円
 愛川晶 『ダイニング・メッセージ』 原書房 1800円

2002.10.12
 乙一の『GOTH』を読了。乙一氏のミステリー・センスは抜群なので、いつか、君とか僕とか家族とか友達とか学校とかと関係のない所の小説を読みたいと思いました。

『髑髏島の惨劇』を読了。グチャグチャな話。

2002.10.10〜11
 新本格ミステリフェスティバル<東京公演>に出てきました。東京晴海港に停泊した豪華客船「ふじ丸」での東京湾クルーズ一泊というミステリー・クルーズです。以下のような内容でした。たくさんのお客様が来てくれました。中には、辻真先先生や太田忠司さん、、マンガ家の野間美由紀さん他、豪華有名人もチラホラ。
 トークショーの出演者は、綾辻行人、有栖川有栖、山口雅也 竹本健治 二階堂黎人 倉知 淳という6人のメンバー。ゲストがマンガ家の喜国雅彦氏。司会が九十九一さんで、ほとんどミステリーではない話ばかりしてました(笑)。でも、客層(笑くて綺麗な女性が九割)を考えると、これが正解。綾辻さんが、九十九さんにたっぷりいじられておりました。そのあと、ヒロ・サカイさんのイリュージョンなどを交えて、いろいろなお楽しみが。
 お客様は、映像その他で提示されるミステリー・クイズに参加。一晩かけて、難しい謎解きに挑みます。

●一日目
17:00 乗船開始
19:00 出港
※パブリックスペースにて「新本格15年写真展」開催(常設展)
※綾辻行人・有栖川有栖監修によるミステリイベント開催
(船内全体での参加型謎解きイベント)
※正解者には海外旅行(アフリカ旅行)をはじめとする、豪華賞品をプレゼント
18:00〜19:30/20:00〜21:30 ディナー
21:40〜22:30 新本格15周年記念トークショー(メインホールにて)
22:30〜23:30 お夜食(時間内随時)
●二日目
6:30〜7:30 モーニングコーヒー
7:30〜9:00 朝食
10:00〜10:45 表彰式
※表彰式終了後、下船

 朝食の後、クイズの正解者発表。アフリカ・ケニア旅行をはじめとして、作家全員の寄せ書きなど、なかなか豪華なプレゼントがありました。
 船内では本の販売などもありましたが、ちょうど、10日でできあがったばかりの山口雅也さんの『奇偶』や、私の『宇宙神の不思議』なども並びました。
 船内には、バーやプールなどもあり、また、各作家が選んだ秘蔵写真の展示などもあって、けっこう面白かったのではないかと思います。
 今回来られなかった方は、ぜひ、年末の関西公演の方へどうぞ。こちらも豪華ゲストです。詳細はこちらを。

2002.10.09
 原書房から11月初旬に出る『増加博士と目減卿』の装丁家当てクイズに正解者が出ました。これで、応募を締め切ります。そうです。正解は山田維史氏です。カーの、創元推理文庫、早川文庫の装丁をされている方ですね。《ふえる博士》シリーズの単行本なので、カー関連ということから簡単に当たると思ったのですが、どうも灯台もと暗しだったみたいですね。

2002.10.08
『写本室の迷宮』を読了。全体的な印象は、島田荘司先生の選評どおりで、真ん中の話に比重がかかっていないのは構成上、変ですね。雪に閉ざされた城館での推理合戦が面白いだけに残念。メリハリのある登場人物設定と物語展開、読みやすい文体は美点。

2002.10.07
 原書房『増加博士と目減卿』のゲラ校正を終え、大型輸送艦で発送。ついでに「ダ・ヴィンチ」用の宣伝エッセイ800字を書いて、ビーム転送。何故か、気分的に、イヤミな内容になってしまいました。
『増加博士と目減卿』は、書き下ろし200枚「雷鳴の轟く塔の秘密」を含み、11月上旬予定。
 この本の装丁家当てクイズは、まだ正解者が出ていませんよ。一度回答した方も、再度OKです。掲示板の方へお答えをどうぞ。

 エドガー・パングボーン『デイヴィー 荒野の旅』扶桑社、なんていう本を本屋で見つけてびっくり。『観察者の鏡』の作者の新訳SFが今頃読めるなんて。

 カミングアウトの再々訂正。お恥ずかしいのですが、原書房『本格ミステリ・クロニクル300』に取り上げられた本の内、読んでいない本がまだありました。宮部さんの本はここでは『火車』しか読んでいなかったので、未読が4つ増えて全部で16冊です。もう訂正はありません。ごめんなさい。
 というわけで、未読本は以下のとおり。『嫁洗い他』『殺される理由』『逃げ水半次無用帖』『架空の王国』『京伝怪異帖』『ゴッホ殺人事件』『タイム・リープ』『地獄時計』『陰の季節』『動機』『スクランブル』『クール・キャンデー』『パーフェクトブルー』『我らが隣人の犯罪』『理由』『R・P・G』。

2002.10.06
『宇宙神の不思議』の見本刷りが今朝届きました。他の作家もそうじゃないかと思うのですが、新しい作品が本になった物を手にした瞬間というのは本当に嬉しい気持ちでいっぱいになります。言いしれぬ幸福感とか高揚感を覚えます。これだけは、作家でないと味わえない独特の感触です。
 書影は[最新情報]に。

『宇宙神の不思議』は、8日から10日頃に書店に並ぶということです。四六版ハードカバーで、定価は1900円、総原稿枚数1100枚。でも、重厚長大ではなく、サクサク読める作品に仕上がっていると思います。サトルとシオンが、宇宙人による人類誘拐事件や、UFO内での人体実験の謎に挑みます。二人の活躍をぜひお楽しみください。

 それにしても、この作品のゲラを読み返してみて、あらためて、私は「犯人探し」というか「犯人隠し」に興味がないのがよく解りました。今回も「どうやって」の興味が圧倒的に強い作品になっています。

2002.10.05
『レイトン・コートの謎』を読了。カントリーハウスでの密室殺人(自殺?)というまっとうなイギリス流の物語に、バークリー流のひねくれた結末を用意した作品。1925年にすでにメタ・ミステリーをやっていたバークリーの先見性は賞賛にあたいしますが、逆に現代の日本の読者からすると、すぐに落としどころが解ってしまいますね。

2002.10.04
 10日頃に文春文庫で出るマイケル・スレイドの『髑髏島の惨劇』がかなりすごそうです。鬼畜スプラッター・サイコ+孤島の館連続殺人劇という趣向で、本格の小道具が大噴出の模様。登場人物がクイーンやカーの本まで引き合いに出してしまうらしいのです。目次を見ると、夏来健次氏の訳も懲りまくっている感じ(小見出しの統一感が見事!)。しかも、推薦文は綾辻行人氏なのですから。

 装丁家当てクイズは、引き続き、掲示板で回答を受付中。

[新刊]
 マイケル・スレイド 『髑髏島の惨劇』 文春文庫 1048円

2002.10.03-2
 原書房『本格ミステリ・クロニクル300』に取り上げられた本の内、何を読んでいないかを告白するのが流行っているようなので、私も白状します。前に10冊と書きましたが、正確には12冊でした。でも、新本格の主流はまったく落としていませんよ(というか、私的には読んでなくて当然の本ばかり)。

『嫁洗い他』『殺される理由』『逃げ水半次無用帖』『架空の王国』『京伝怪異帖』『ゴッホ殺人事件』『タイム・リープ』『地獄時計』『陰の季節』『動機』『スクランブル』『クール・キャンデー』

2002.10.03
 まずは告知から。
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 「シンポジウム ミステリーの魅力」
  芦辺 拓/有栖川有栖/日下三蔵/小森健太朗
 
  2002年10月26日(土)午後1時〜
  花園大学(http://www.hanazono.ac.jp)自適館3階
  JR嵯峨野線・円町駅、市バス太子道、京都バス西ノ京馬代町下車
  問い合わせは同大学・企画広報室まで
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 それから、東京書籍から、『幻影の蔵』が出たようです。それが何かを知りたい方は、喜国雅彦さんのサイトを見よう。

 収穫:カポン『ロボット星のなぞ』講談社(世界の科学名作)

[新刊]
  講談社ノベルスの10月の新刊ラインナップです。5日頃の発売。

 西村京太郎 『十津川警部 姫路・千姫殺人事件』 790円
 西村京太郎 『太陽と砂』 790円
 高里椎奈 『双樹に赤 烏の暗』 820円
 田中啓文 『蓬莱洞の研究』 880円

2002.10.02-2
 e-novels(2002年10月1日号[Vol.130])が更新しました。

「新本格ミステリフェスティバル」の開催が近づいてきました。くわしくはこちら

2002.10.02
 徳間文庫版『諏訪湖マジック』の見本刷りが輸送艦で到着。724円、5日頃の発売です。この作品、あらためて手に取って、書いてからもう3年も経ったのかという驚きが。時間が経つのが年を取る度に早くなります。
 この作品は、頭の方は警察小説風で、途中から突然、いつものサトル探偵譚になります。最初、全部ハードな警察小説でいこうと思っていて、サトルは風から馬田警部補を応援するだけにするつもりでした。ところが、書いていて、この糞リアリズムが退屈なこと、退屈なこと。書くのが嫌になるほどだったので、その趣向はあっさり放棄してしまったわけです。


「SFJapan」の最新号(第5号)って、夏に出ていたんですね。今さらながらに手に取りました。『宇宙戦艦ヤマト』以降のアニメはほとんど見ていないので、書いてあることがチンプンカンプン。勉強になります。

 講談社より、『悪魔のラビリンス』の読者アンケートはがきが送ってきました。講談社ノベルスで書いているたいていの作家がそうだと思うのですが、このはがきを見るのが非常に楽しみなんですよね。いろいろな感想をありがとうございます。『人狼城の恐怖』の続きを書いてくれ、という意見がかなり多かったのですが(苦笑)。

 講談社文庫の「IN☆POCKET」の「2002年 文庫翻訳ミステリー・ベスト10」に回答。カーの『読者よ欺かるるなかれ』を一位にしようと思ったら、新訳ではないということで候補外だったのが不満(確か、ポケミスはじゃっかんの抄訳だったのを、文庫で完訳にしたはずなので、新訳扱いでも良かったはず)。そこで、読んだばかりということもあって、ヘレン・マクロイの『家蠅とカナリア』を一位にしました。

2002.10.01
 うわあ。もう10月ですか。10月と言うと、何だか年末の気分が漂ってくるのはどうしてでしょうか。
 
 さて、今月のノーヒント・クイズです。正解者1名に、文庫版『諏訪湖マジック』に署名して贈ります。答が解った人は、掲示板へ書き込んでください。最初に正解した人が当選です。
 11月上旬刊行予定の『増加博士と目減卿』原書房の装丁ですが、私は誰にお願いしたでしょうか。
 というクイズです。解るかなあ?

 東京創元社へ、鮎川先生の思い出に関する追悼文を書き、ビーム転送。







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