2003年07月
2003.07.31
[新刊]
(「かつて子供だったあなたと少年少女のためのミステリーランド″」の第一回配本が発売開始)
島田荘司『透明人間の納屋』講談社
小野不由美『くらのかみ』講談社
殊能将之『子どもの王様』講談社
講談社から出た「かつて子供だったあなたと少年少女のためのミステリーランド″」は恐ろしく造本、装丁に凝っている。かつて児童本は、こういう尖った本が多かったが、久々に昔の感動が甦った。手に取るだけでも嬉しい本だ。
2003.07.30
[新・本格推理04への道]
光文社文庫主催の「新・本格推理04」の締め切りは9月末日である。昨年の「新・本格推理03」では、読んだ人は解ると思うが、たいへんに手応えを感じる新人と作品が生まれた。今年も昨年を上回る成果を上げたいと思う。ぜひ、多くの方に本格推理短編を書いて、応募してもらいたい(なお、たとえ落選しても一度で諦めず、次回以降も、何度も挑戦してもらいたいと思う。小説は書けば書くほどうまくなるものだから)。
さて、そのために(ミステリーを書くのに)役立つ情報をお知らせしたい。幻冬舎の「ポンツーン」8月号から、日本推理作家協会編「ミステリーの書き方」の連載が始まった。第一回目には、拙著「本格推理小説におけるプロットの構築」が載っている。他には真保裕一氏の「視点の選び方」なども載っていて、これなども、一人称を選ぶべきか、三人称を選ぶべきか、といった点などで非常に有益である。定価はたった200円だから、本屋で手に入れて読んでみてほしい。
この日誌では、イデオロギーに関することはほとんど触れてこなかった。しかし、もう一回だけ、「戦争反対」の観点から意見を述べておく。
1、軍隊というのは、どの時代、どの国を見ても、実は為政者が国民を弾圧するために準備するものである。
2、北朝鮮の脅威をやたらに吹聴しているが(もちろん、それはあるだろうが)、にもかかわらず、テポドンが届く範囲に原子力発電所を造るのは何故か。北朝鮮や他国の脅威から国民を守る気があるなら、即座に原子力発電所を撤去せねばならない。
3、日本の食糧自給率は2割以下である。ほとんどを輸入に頼っている。もしも戦争が始まって海上封鎖されたら、たちまち食糧の欠乏に陥る。つまり、戦争体勢など数日しか維持できない。
4、戦争に行くのは、政治家(の年寄り連中)ではなく、若者(一般国民)であるということ。万が一、戦争をするというのなら、政治家が率先として最前線へ出ていくべきだ。それなら、国民も付いていくだろう。が、そんなことは絶対にない。
5、自衛隊が「自衛だけする軍隊」であっていけない訳がない。
6、憲法すら守れない政治家の言うことなど、誰も信じられない。
7、イラクへの軍隊派兵の次に来るのは、韓国などのような徴兵制である可能性が高い。
私は自分が戦争に行きたくないし、戦争をしたくもないし、自分の家族や子孫や友人を戦争に巻き込みたくない。だから、「戦争反対」である。
2003.07.29
e-novels(2003年7月29日号(隔週火曜日更新)[Vol.151])が更新。
拙著「素人カースケの赤毛連盟」(連作シリーズ「黄昏ホテル」)のPDFファイル通常版と、PocketPC用が販売開始。デリバリーヘルスならぬデリバリー古本(デリフル)の物語。あなた好みの古本をホテルまで配達してくれたりするのだ。
「武部本一郎画集 新装版」が届いた。豪華、大きい、嬉しい。新装版ではなく、全画集だったらもっと嬉しかった。
それにしても恐ろしい世の中になったものだ。自衛隊という名の軍隊を恒久的に海外へ派遣して、戦争に荷担させる法案が簡単に通ってしまうのだから。「世界平和のため」「国際貢献」「治安維持のため」といったお題目は、戦前(第二次世界大戦前)の、日本帝国が軍国化して、中国などへ進出していく時の言い訳とまったく同じである。公共事業で金儲けができなくなった代わりが、戦争という名目での軍事費の使い放題という形態と魂胆が実に醜い。
2003.07.27
[新刊]
大倉崇裕『七度狐』東京創元社
紀田純一郎『第三閲覧室』創元推理文庫
双葉社「小説推理」の10月号から、5ヵ月連続で、ボクちゃん探偵シリーズの短編を連載するので、その第一弾「B型の女」の執筆を開始。8月号の予告に「かたい頬」と予告があるが、これは第2弾の予定。
2003.07.24
[古本]
クラーク『海底パトロール』岩崎書店・SF世界の名作
ミステリチャンネルで、島田荘司先生のインタビューを放映していたので鑑賞。なかなか意義深い内容であった。
『猪苗代マジック』は明日発売予定。「本の話」に書評を書いてくれる探偵小説研究会の波多野建氏が、一ヵ所ミスを発見してくれた。サトルが変なことを言っている。お恥ずかしい。
今、検索してみたら、bk1にはすでに『猪苗代マジック』が登録されている。ネット書店でもよろしく。
2003.07.23
[新刊]
日本推理作家協会・編『推理作家になりたくて 第1巻 匠』文藝春秋(全6巻)
昨日は、推協の新メンバーによる今年度第一回目の理事会。事業収入及び収支決算の件、貸与権及び図書館問題、契約書問題他、難題が山積。予定時間を大幅に超過。
桐野夏生氏の『グロテスク』を読了。嫌な人物を描くのが実にうまい。
2003.07.19
[新刊]
(今月のカッパノベルスから)
森村誠一『誉生の証明』
佐神良『S.I.B』(カッパ・ワン受賞作)
「ターミネーター3」を鑑賞。迫力あるアクション映画だが、基本設定にこれまでとの矛盾大。納得できず。サラ・コナーのいない「ターミネーター」では魂がないのと一緒。それに、ジョン役の顔が……(知性的でクールな子供時代の顔とはえらい違い)。むしろ、シュワちゃんは引っ込めて、液体金属ロボット対液体金属ロボットという話にしたらどうか。
「スターウォーズ3(現6)」「エイリアン3」「ダイハード3」って具合に、シリーズ3作目はほとんどこける。こけなかったのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」くらい(あれも、博士の性格がずいぶん違っていたが)。
2003.07.18
J・E・ケイランス「ジョン・ディクスン・カーの毒殺百録」平野義久訳が到着。カーの毒薬通ぶりがよく解って、非常に嬉しい内容。
菅浩江氏の『プレシャス・ライアー』と黒田研二氏の『クレイジー・クレーマー』を読了。
『クレイジー・クレーマー』の店員とクレーマーとの駆け引きはかなり面白い。おしいのは、マンピーの方が無難に決着している部分。こちらにも何らかの仕掛けを施してほしかった。
2003.07.17
[新刊]
倉知淳『過ぎ行く風はみどり色』創元推理文庫
太田忠司『追憶の猫』実業之日本社
7月25日発売予定の『猪苗代マジック』の見本刷りができたので、担当編集者さんが立川まで持ってきてくれる。3年ぶりの書き下ろし作品である。3年ぶり、なんていうのは普通は(言うのも)恥ずかしいことなのだが、何故かミステリー界では珍重されたり、ありがたがられるので、あえて、3年ぶり、3年ぶり、3年ぶり、3年ぶり、と、宣伝しておく。
ページ数を確認したら、これまで出た「本格ミステリ・マスターズ」の中で一番分厚い本であった(苦笑)。しかし、値段は小森氏や歌野氏の本と同じ1857円だから、充足度割合は高いぞ。
今になってみると、水乃サトルものとしては、内容を盛り込み過ぎたかと若干の反省をしているところ。
何故、1トリック、2殺人、原稿用紙400枚くらいの手軽なものが書けないのか。
黒白さんの散在日記で、とんでもない一文を発見。ただちに、J・E・ケイランス「ジョン・ディクスン・カーの毒殺百録」平野義久訳を注文!
評論家の杉江松恋氏が、「杉江松恋は反省しる!」というウェブサイトを開設。
北森鴻氏の『顔のない男』文庫版用の解説を書き、亜空間通信にて送付。
2003.07.15
e-novels(2003年7月15日号(隔週火曜日更新)[Vol.150])が更新。
次号に、拙著「素人カースケの赤毛連盟」(連作シリーズ「黄昏ホテル」)が掲載になる予定。
2003.07.14
昨日は《本格ミステリ作家クラブ》の執行会議。新執行委員の他、歌野晶午氏、乾くるみ氏、黒田研二氏にも参加してもらう。本格ミステリ大賞のパーティーの反省会、次回の大賞選考方法に関する検討他。
その往路、高田の馬場のBIGBOXで古書展をやっていたので覗くと、H・A・バイコフ動物記が揃い(だと思う)であったので購入。『偉大なる王』『密林物語』『私たちの友だち』の三冊。「ターザン」をテレビで見て育ったせいか、《密林》という言葉に滅法弱い。
新刊書店では、シオドア・スタージョンの『海を失った男』を発見。たぶん読まないと思うけど、晶文社ミステリには続いてほしいので購入。
2003.07.12
[新刊]
日下三蔵編『日影丈吉集』ちくま文庫(怪奇探偵小説名作選−8)
E・E・スミス『ファースト・レンズマン』創元SF文庫
新津きよみ『囚われて桜子』ハルキ・ホラー文庫
杉江松恋『バトル・ロワイアルII』太田出版
八王子インター近くの村内家具へ行って、岡村のコンテッサという椅子の座り心地を確かめてくる。簡単に言うと、日本のメーカーが作ったアーロンチェア。ヘッドレストがくっつくのが売り。いずれ購入するかも。
「怪奇探偵小説名作選」は正直言って、買い続けるのがつらいのだが(個人的には、日影丈吉なんてたくさん)、次回が一番欲しかった「氷川瓏集」なので、今回も精神的に頑張ってみた。
文藝春秋社から出る『猪苗代マジック』(本格ミステリ・マスターズ)の発売予定日は7月25日です。
PDAを紛失してしまったため、中古でLOOX S80Bを購入。しかし、親指シフトでないと不便なので、以前、黒田研二氏に譲ってしまったS9/70快速親指シフト・キーボード・モデルから、氏に頼んで、キーボード部分のみ移植することに。こちらのJISキーボードは黒田氏のマシンへと移植。つまり交換殺人――じゃなかった、交換移植。
いろいろと調べた結果、内側のネジを一本はずし(電源部近くの、フェルトが貼ってある所の、奥深く収まっているネジ)、キーボード上部(液晶パネルの下)の横に細長いパネルをそっとはずすと(爪を折らないように注意)、キーボードを取り外せる。端子を二個引き抜く(壊さないように注意)。
これで、キーボードが取り外せ、取り付けができる。
もちろん、改造は、メーカーの保証を受けられないので、自己責任で、ということになる。
キーボードを交換した両マシンを立ち上げると、問題なく動く。
快速親指シフト・キーボード・モデルとなったS80Cには、KEYLAYや親指ひゅんQを入れて、さらに親指シフト入力に適した配列に変更する。中央のスペース・キーは、[無変換]や[変換]キーを押す時に邪魔なので、KEYLAYで完全に無効にしてある。押しても何の動作もしない。
2003.07.10
[新刊]
(光文社文庫の今月の新刊から。やっぱり「甦る推理雑誌」と芦辺拓さんの作品だね)
ミステリー文学資料館『甦る推理雑誌(7)「探偵倶楽部」傑作選』
芦辺拓『不思議の国のアリバイ』
都筑道夫『猫の舌に釘をうて』
内田康夫『記憶の中の殺人』
エリス・ピーターズ『聖ペテロ祭殺人事件』
「僕らが愛した手塚治虫」第3回の原稿を書いて、亜空間通信によって送付。
2003.07.9
[新刊]
鮎川哲也『ブロンズの使者』創元推理文庫
新津きよみ『ただ雪のように』光文社文庫
黒犬コロン様が、私の館で暮らすことが決定。新たな玉座(犬小屋)が必要になったのだ。
近々、隣国の、クリ様、カノ様の所へも挨拶に行かねばならんだろう。
サイトの名前も、「二階堂黎人の黒犬黒犬館」に変更すべきかどうか。
2003.07.08
今月下旬に文藝春秋社から発売になる私の『猪苗代マジック』〈本格ミステリ・マスターズ・シリーズ〉のカバー見本ができてきた。帯の惹句は、「これぞ本格ミステリの王道だ! 猪苗代の高級スキー・リゾートで発生した凄惨な連続殺人事件。十年の時を隔てて〈処刑魔〉が甦ったのか? 鉄壁のアリバイと密室殺人の謎に挑む名探偵・水乃サトル!」である。装丁は京極夏彦氏。定価は1857円の予定。
またスキー場の話(笑)。
2003.07.07
[新刊]
(日本推理作家協会賞受賞作全集の第10回配本、装丁が変わったね)
小杉健治『絆』
船戸与一『伝説なき地 上・下』
直井明『 87分署グラフティ』
手塚プロダクション監修/中野晴行・編『BLACK JACK ザ・コンプリート・ダイジェスト』秋田文庫
講談社文三の担当編集者から『魔術王事件』の人物関係が複雑なんで、家系図を書いてくださいよー」との指令が下る。手書きで家系図を書くのも面倒なので、「家康V2」というソフトを購入。使ってみると、操作系が解りやすく、簡単に綺麗な家系図が書ける。しかし、少し複雑な関係になると、うまく関連づけができない。たとえば、いとこ同士の結婚なんていうのさえだめだ。私が書くような物語になると、愛人とか、内縁とか、ひそかな結婚とか、無理矢理な養子とか、変な関係がいっぱい出てくるので、現状ではうまく表現できないのだ。もどかしい。
他にも、「親戚まっぷ」などのソフトも試してみたが、こちらは操作系について私との相性が悪く、また、日本流に、右から左への流れで家系図を書ける家系図ソフトは、今回購入した「家康」だけだった。
2003.07.04
(この本が今頃、文庫? と驚いている人も多いはず)
クリスチアナ・ブランド『はなれわざ』ハヤカワ・ミステリ文庫
(これが初めての長編? と驚いている人も多いはず)
加納朋子『コッペリア』講談社
(講談社ノベルスの今月の新刊)
鯨統一郎『タイムスリップ明治維新』
高田崇史『麿の酩酊事件簿 花に舞』
関田涙『七人の迷える騎士』
今野敏『赤の調査ファイル』
西尾維新『ヒトクイマジカル』
ようやく、「X−ファイル 最終章」の第10巻目を見終わった。これで9シーズンすべて鑑賞。しかし、最終話はいくらなんでもつまらないぞ。期待を大きく裏切る不出来であった。「X−ファイル」はやはり第7シーズンで終わるべきであったと思う。
2003.07.03
[新刊]
バーネット『リトル・シーザー』小学館
「スタートレック/DS9」のDVDボックス(1)が中型輸送宇宙船で到着したが、忙しくて見る暇がない。連日「緑の魔術王」の執筆作業を継続。
わが館にシェルティの賓客あり。黒犬コロン様。黒犬クック様と遊んでいるの図。もしかすると、家族になる可能性が大。性別は女王様。
2003.07.01
有栖川有栖氏の『スイス時計の謎』を読了。「シャイロックの密室」で使われたあの小道具に「やられった!」と叫ぶ私であった。《本格》に徹していて、しかもバラエティに富んだ良質の短編集である。
e-novels(2003年7月1日号(隔週火曜日更新)[Vol.149])が更新。