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不定期日記(過去ログ)

2003年06月



2003.06.29
[新刊]
 桐野夏生『グロテスク』文藝春秋社

 推協パーティーの前に、銀座で、手塚プロ制作のアニメ『ぼくの孫悟空』のマスコミ試写会に顔を出した。なかなか面白いアニメだったけど、主人公の声を当てている人が少し下手でがっかりした。

 ジョセフィ・テイの『魔性の馬』を読了。本格好みの私にはつらい内容だった。

 大好きなフュージョン・グループ HIROSHIMA 三年ぶり(確か)のCD「Bridge」が出た。前作「Between Black & White」がソウルフルな傑作だったので、今回も楽しみにしていたのだが、肩の力を抜いた癒し系に振ってあった。それはそれで良。

2003.06.28
[新刊]
 乙一『ZOO』集英社

[古本]
 ウインダム『深海の宇宙怪物』岩崎書店

 26日は日本推理作家協会賞のパーティー。サングラスをかけて行ったら、「マトリックス」のようだと50回くらい言われた。以下、写真で。いずれも、IXY400で撮影。


2003.06.25
[新刊]
 島田荘司『21世紀本格宣言』講談社
 直井明『海外ミステリ誤訳の事情』原書房

 小学館の宣伝誌「本の窓」の7月号(毎月20日頃発刊)から、「僕らの愛した手塚治虫」という研究的エッセイの連載を始めた。これは手塚治虫を直接評論するものではなく、自分に関する漫画史を語りながら、手塚治虫についてファンやマニアの側から言及していこうというものだ。

 島田先生の『21世紀本格宣言』の中に、ネットでのみ公開されていた「創作クラブQ&A」が収録されている。「新・本格推理」や他の推理小説新人賞に応募しようと思う人には絶対に役立つと思うので、ぜひ読んでほしい。

2003.06.24
[古本]
 倉金章介『あんみつ姫』『てんてん娘』サラ文庫

 8月に講談社から出る「メフィスト」用の原稿「緑の魔術王」の執筆を開始。今回を入れてあと2回で終了の予定(つまり、1回延びたのだ)。

 福井健太氏の6月20日の日記を読んで大笑い。何を馬鹿な(笑)。世界はカーを中心に回っているに決まっているのだ! おお、バッカスよ! 世界の中心で本格への愛を叫んだのはカーなのだ!

 『捕虜収容所の死』を読み始めたのだが、敵味方がよく解らないし、冒頭の部分、何で、大佐と大尉がため口をきいているのか理解できない。

2003.06.21
[新刊]
 喜国雅彦・国樹由香『この花はわたしです (2)』小学館
 野間美由紀『パズルゲーム☆はいすくーる (8)』白泉社文庫
 石上三登志『定本 手塚治虫の世界』東京創元社

 第4回日本SF新人賞受賞作と、第3回受賞者の新刊が同時に刊行された。
 三島浩司『ルナ』徳間書店
 井上剛『死なないで』徳間書店

 小森健太朗氏の『Gの残影』を読了。ちょっと趣味に走りすぎたのではないかと思ったが、最後の驚きで許せた(しかし、そろそろ『火蛾』ショックから抜け出てもいい頃じゃないかな)。

2003.06.20
[新刊]
 ポール・アルテ『死が招く』早川書房(ポケミス)
 西澤保彦『笑う怪獣』新潮社

 ようやく出ました。ポール・アルテの『死が招く』が。犯罪学者アラン・ツイスト博士シリーズの第2弾である。今回もとびっきり面白いぞ! っと解説者として絶賛しておく。

 西澤さんの新刊は、最初見た時に喜国雅彦さんの新刊かと思った。

 IXY400を購入。これまで使っていたIXY200aの弱点がすべて解消されていたのでほぼ満足。画質・色合いも良いし、暗がりでも綺麗に撮れるようになった。最初はオリンパスの750Uを買おうと思って店へ行ったのに、結局出てきた時にはIXY400を手にしていた。この小ささがいいんでしょうね。ただ、200aより1ミリ厚いので、そこだけがちょっと不満。

 幻冬舎から出る、日本推理作家協会編『ミステリーの書き方』用の原稿の加筆と、小学館「本の窓」用の「僕らが愛した手塚治虫」第2回のゲラ校正。いずれも亜空間通信で返信。

2003.06.19
 今月のカッパノベルスから。柄刀一氏の連作短編集は、書き下ろしが半分以上もあり、何だか仕掛けが凄そう。菅浩江さんの作品は、  e-novelsの企画より生まれたもの。

 柄刀一『OZの迷宮』
 赤川次郎『悪夢の果て』
 菅浩江『プレシャス・ライアー』

 17日の夕方、原稿を書いていたら、ヒューストン! という感じで、メイン・パソコンであるDELLフライヤーが落っこちた。デスクトップ画面の背景を残して他が全部消えてしまったのだ。一瞬焦ったが、原稿データーはこまめにセーブしているし、他のパソコンやメディアにも複写しているので、このままクラッシュしてもそれほど困ることはないと判断。落ち着いて再起動。何とか立ち上がり、書きかけの原稿は二重バックアップのフォルダーから救出。
 もう一度、全部の原稿データーをDドライブからCドライブへ複写していると、再度、墜落。もう一度繰り返すと、I/Oエラーが出て氷結。
 再起動、今度は、Dドライブのデーターを親指ノートに無線LANで複写。すると、やはりエラーが出て、ファイラーが氷結。
 どうやら、Dドライブに問題がありそうと考えるが、とりあえず、DELLフライヤーを建造したDELLのサポートに電話。あれこれ、確認をするが(メモリやケーブルを刺し直すなども行なう)、何故か、DELLの救済ディスクが起動せず。純正CD-ROMをロジテックのCD/R/DVD-ROMに取り替えてあるので、これが何か支障を来たしているのかもしれず。
 結局、原因究明はできず。
 翌18日、立川のビッグカメラへ行き、HDDと、念のためにケーブルを購入。
 実は、このマシン、昨年も一度、DドライブのHDDが行かれている。その時、ウエスターンデジタル製からIBM40GBに交換。今回も、音の静かなIBMの120GBを購入。12800円と、HDDもずいぶん安くなったと驚くしだい(しかも、流体軸受けで、さらに音は静かになっていた)。
 新たなHDDとケーブルを取り付け、起動。
 動かず。内部を確認。ケーブルの端子と2台のHDDの取り付け方が逆だったことが判明。軌道修正して再起動。今度はWindowsXPが立ち上がる。
 ちょっと時間を食ったのが、HDDのフォーマット。WindowsMEなどと違い、FDISKをかける手段を思いつかない。昨年はどうやったのか、忘れてしまったし。
 ネットで検索していたら、マイコンピューターの右クリック−[管理]からできることが判明。フォーマットに30分近くかかる。
 そして、データーをDドライブに戻し、しばらく使ってみるが、問題はなさそう。
 というわけで、1日半という時間を無駄にしてしまったが、データー保存をしっかりしてあったので、そちらの面では実害なし。

2003.06.17
[新刊]
 西澤保彦『幻惑密室』講談社文庫

 e-novels(2003年6月17日号(隔週火曜日更新)[Vol.148])が更新。

2003.06.16-2
[新刊]
 喜国雅彦『日本一の男の魂 11』小学館
 谺健二『未明の悪夢』光文社文庫
 井上雅彦『夏のグランドホテル』光文社文庫

 東京創元社から「ミステリーズ」という新雑誌が創刊される。「創元推理21」に替わるもので、当初は季刊だそうだ。創刊号を見た限り、これまでとの違いはあまり感じられなかったが、本格系雑誌が「メフィスト」「ジャーロ」と共に三冊になったのは嬉しい限り。
 とはいえ(また逆接)、「ジャーロ」と同じ月に発売するのは、両者にとって不利益と思う。

 西澤さんの『神のロジック 人間のマジック』を読了。とても面白かったが、架空設定の場所等に、架空の事柄(主に病気)を当てはめ、それを、架空の論理(しかも恣意的)で解決するとなると、やや衝撃度が薄らいでしまう。むしろ、あのような特殊閉鎖空間は、現実世界の中に存在してこそ、その異様性が際立つであろう。今回は、牽強付会な部分の言い訳が、西澤さんにしてはやや弱かったということか。
 それにしても、これも、某氏の某作とネタが一部重なってしまった。新本格推理は相変わらず、みんなで金鉱掘りのレースをしているところである。

2003.06.16
 14日夜は、都内某所にて、本格ミステリ大賞受賞式及びパーティー。予定数110人を大幅に越えて150人以上の来客があり、会場は立錐の余地もないほどの大盛況。その前に行なわれた本格ミステリ作家クラブ総会から含めて、実に楽しい時間を過ごした。
 パーティーでは、受賞者の乙一さんが短く木訥な挨拶で会場を笑わせ、次に笠井潔さんが、長くもなく短くもなく、とても含蓄に富んだ素晴らしいスピーチで、集まった人々の胸に感動を与えた。
 その後、真保裕一さん、小谷真理さんからの祝辞をいただき、山口雅也さんの乾杯の音頭(御自分でシャンペンを持ってくる格好良さ!)で、壮絶なるパーティーが始まったわけだが、話したい人がたくさんいるのに、時間がぜんぜん足りず、といった感じの嬉しい悲鳴状態。そして、二次会、三次会へと興奮状態のままなだれ込んでいくのであった。



2003.06.13
「ジャーロ」2003年夏号(No.12)が到着。昨年のKappa-Oneデビューの四人が、「鮎川哲也に捧げる短編競作」という特集で書いているのが目を惹く。が、今回は何と言っても、本格ミステリ大賞の選評がすべて載っているのが注目。じっくり読んでしまって、それなりに楽しかった。

2003.06.12
[新刊]
 倉阪鬼一郎『無言劇』東京創元社
 日下三蔵・編『蘭郁二郎集 魔像』ちくま文庫(怪奇探偵小説名作選−7)

 昨日は、推協の特別理事会に出席。理事長や常任理事の選出等。
 毎度のことながら青山は遠い。午後7時頃に新宿で中央線に乗ったら牛牛詰め――ギュウギュウ詰め。気持ちが悪くなって中野で下車。まんだらけなどを覗き、一時間ほど時間つぶし。特に収穫はなし。新刊書店で上記のちくま文庫を購入したのみ。

 ハリントン・ヘクストの『テンプラー家の惨劇』。なかなか力のこもった作品。だが、二十年くらい前に読みたかったかも。悪人の肖像を描くところは、これまでのフィルポッツ作品と同じ。動機は発表当時には荒唐無稽に感じられたんだろうけど、今ならすんなりと受け入れられる程度のもの。というか、新本格推理ではよくやっている題材。一種の操りテーマとも言える(反転ネタバレ注意:神が真犯人)。
 かなり面白かったが、非常な傑作と言えないのは、次の3点のせい。まず、探偵による論理的推理がない。事件の説明が他人事のような事後報告調である。誰か一人に焦点を当てて(たとえば、主家の娘)、その視点からの恐怖を描いていれば、サスペンスも倍加したであろう。最後は、犯人によるトリックがほとんどなく、計画的ではあるが場当たり的な犯罪であったこと。その点が、傑作『赤毛のレドメイン家』に劣る。

2003.06.09
 うっかりしていた。
 e-novels(2003年6月3日号(隔週火曜日更新)[Vol.147])が更新しているので、どうぞ。

 デュマの邦訳で唯一読んでいなかった『世界の恋人』小山書店(世界大衆小説全集)をようやく手に入れてみたら、何のことはない、『赤い館の騎士』の別題であった。トホホである。

2003.06.07
[新刊]
 谺健二『赫い月照』講談社
 ジュリアン・シモンズ『ブラッディ・マーダー』新潮社

『ブラッディ・マーダー』には、推理小説と犯罪小説の詳細な対比などがあって、シモンズが正しくジャンルの内容を理解していたことが解る。問題は、犯罪小説が主体となるといった誤ったミステリー史観であり、その誤りの貴重な歴史的証拠としてのみ、この本も価値があるのかれしれない。

2003.06.06
[新刊]
 ネヴァダ・バー『闇へ降りる』小学館

[古本]
 デュ・モーリア『破局』、マルチノフ『宇宙探検220日』講談社、アダモフ『海底五万マイル』講談社、デュマ『世界の恋人』小山書店、『怪盗紳士ルパン』ルブラン、ラティマー『処刑六日前』秋田書店、シムノン『名探偵エミールの冒険 全4巻』読売新聞社、あかね書房『少年少女世界推理文学全集』バラバラ13冊。

 昨夜は、朝日新聞社本社で、手塚治虫文化賞のパーティー。水木しげる先生が、受賞の言葉で会場を笑わせていた。
 実は、車で久々に銀座界隈に行ったのであるけれども、新橋方向から昭和通りに突入し、右折しようとして右車線にうっかり入ってしまい、そのまま何区画も先まで地下を走らされるはめになってしまった。やはり都会の道は怖い。。
 帰りに、立川駅南口のブックセンターいとうに寄ると、これが大ビンゴ!
 あかね書房『少年少女世界推理文学全集』がなんと13冊もある。それもまっさらな新刊のような綺麗さ(箱なしが一冊あって、これがちょっと残念)。全部買い占めたのは言うまでもない。というわけで、この全集は全20巻が揃ったのである。

2003.06.04
[新刊]
 講談社ノベルスの今月の新刊から2冊。本格ミステリ作家クラブの編集による『本格ミステリ03』が出るぞ。傑作揃いのアンソロジーであると自信を持ってお勧めする!

 本格ミステリ作家クラブ・編『本格ミステリ03』
 生垣真太郎『ハードフェアリーズ』


 何とかクラブとか何とか協会が編集したアンソロジーというのは、百花繚乱的な内容になり、実際に読んでみると、あまり面白くないものが多い。しかし、本格ミステリ作家クラブ・編『本格ミステリ01』『本格ミステリ02』『本格ミステリ03』は違う。厳選した作品ばかりを収録してあり、特に今回は、粒よりの作品が集まっている。本格ミステリー界の「今」を感じることができるので、ぜひ読んでみてほしい。

「素人カースケの赤毛連盟」という短編が、オンデマンド印刷雑誌の「遊歩人」2003年3月号に掲載された。これは、e-novelsと「遊歩人」がタイアップしたもので、「黄昏ホテル・シリーズ」の第8回である。過去の作品は、e-novelse-novelsで購入できる。「遊歩人」は、「ジュンク堂」池袋店、「八重洲ブックセンター」「啓文同書店」渋谷店などで購入できる(その場で、印刷されて出てくるのだ)。






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