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不定期日記(過去ログ)

2002年08月



2002.08.30
 小森健太朗氏の『ムガール宮の密室』を読了。イスラム社会、しかも、過去、を舞台としているで、とっつきが悪いのは仕方がないとして、真相を語るために、この世界が必要不可欠である点と、今回も、「見えない人」トリックをすっきりと演出しているのが良いですね。

2002.08.29
『僧正の積木唄』を読了。お腹がいっばいになる意欲作にして力作。満腹、満腹。これを読んで、私はやはり金田一耕助のような人好きのする探偵ではなく、ファイロ・バンスのようなエキセントリックな探偵が好きだということがよく解りました。

「コミック伝説マガジン」第8号が到着。何と、惜しいことに、これで休刊になってしまうのです。「飛葉」もやっと面白くなってきたところだったのに。

2002.08.28
 原書房『増加博士と目減卿(仮)』用の書き下ろし中編「雷鳴の塔の密室殺人(仮)」200枚が一応の完成をみました。さっそく長距離転送で送付。

 電子地図ソフト「ゼンリンZ」を「バージョン5」に。地図の詳細度は上がっていますが、検索などのメューやツールアイコンの使いずらさはあまり改訂されておらず残念なり。

 うっかり『明智小五郎対怪人二十面相』を見てしまいました。たぶん大方の人と感想は一緒です。ビートたけしを怪人二十面相にキャストした時点でウニャラクニャラ……。

2002.08.27
 本格ミステリ作家クラブの皆様に業務連絡。会員名簿と「本格ミステリ作家クラブ通信」第8号を送付しました。今週中に届かない人がいましたら、事務局まで御連絡ください。

『僧正の積木唄』を半分まで。爆発的な面白さ。特に前半のファイロ・ヴァンスが出てくるあたりは、完璧にヴァン・ダインの贋作になっていて、文体も描写も文句の付けようがありません。すさまじい喜びが私を襲っています。

 コミックパークにて、大和和紀『わたしの兄はヌードロン』、庄司としお『魔球の王者』等を購入。

2002.08.26
 文藝春秋社のPR誌「本の話」9月号(定価100円)に、「特集・本格ミステリ・マスターズ、発進!」が掲載されています。内容は、島田荘司先生のインタビュー、笠井潔さんの本格ミステリ・マスターズについての紹介、有栖川有栖さんと喜国雅彦さんのエッセイ、小森健太朗氏の新しい本格ミステリ・マップ、森英俊さんと私の書評などです。

 よしだまさしさんに、大変残念なお知らせがあります。「伝説マガジン」ですが、この第8号をもって休刊となることが決まったそうです。

2002.08.25
 8月下旬(もう下旬か)に発売になる綾辻行人さんの新刊『最後の記憶』(角川書店)の刊行記念サイン会が開かれます。会場は以下のとおり。詳細は各書店に問い合わせてください。

  9月7日(土)14時〜     北海道・紀伊國屋書店札幌本店地下街店
  9月9日(月)17時30分〜  東京都・三省堂書店神田本店
  9月12日(木)17時30分〜 京都府・ブックファースト京都店
  9月14日(土)14時〜    福岡県・紀伊國屋書店福岡本店

「小説推理(双葉社)」の今月号には、綾辻さんと竹本健治さんの対談が載っています。

『魔神の遊戯』を読了。いやあ、大満足です。今回も島田先生ならではの力業プラス大どんでん返し。ひたすら感服です。その勢いのまま『僧正の積木唄』へ突入。いきなり『僧正殺人事件』の話と、アメリカ時代の金田一耕助の話がミックスされて登場。思わず、おおっ!と、目が点になりました。しかし、ちょっと浮気をして、松尾由美氏の「首なし宇宙人の謎」を読了。安楽椅子が安楽椅子探偵を務めるのが愉快で、女性ならではの着想が光る作品でした。

「増加博士と目減卿」の下書き終了。180枚。

2002.08.24
「増加博士と目減卿」を書きながら、『魔神の遊戯』の読書を続行。半分ほど読みましたが、恐ろしい事件が起きています。

 収穫:上田とし子『フイチンさん』2冊・講談社漫画文庫

[新刊]
 山田正紀 『渋谷一夜物語』 集英社 1890円
 倉坂鬼一郎 『夢見の家』 集英社 1890円
 

2002.08.23
 風邪で頭が痛いので、寝ながら、『魔神の遊戯』を読書。しながら、途中で浮気して、「メフィスト」に載っている貫井徳郎氏の吉祥院先輩シリーズの最新作を読了。このシリーズ、全部面白いのですが(一編はe-novelsにあります)、その中でも、これはさらに凝った構成で面白い作品でした。

 スーパー・チャンネルで「プロファイラー・シーズン3」が始まったのはいいのだけれど、「バビロン5」が中断してしまったのは残念。9月からは、あの「ワンダーウーマン」をやるのでまた楽しみが増えます。

[新刊]
 柴田よしき 『好きよ』 双葉社 1800円

2002.08.22
 さあ、ついに文藝春秋の「本格ミステリ・マスターズ」の刊行が始まります。本日見本刷りが届きまして、一般書店への配本は28日、東京都内の大きな書店にはこの日の夕方には列ぶでしょう。第一回配本は、島田荘司『魔神の遊戯』、山田正紀『僧正の積木唄』、柄刀一『凍るタナトス』の三冊。どれも題名からして魅力的ですね。島田先生のはもちろん御手洗潔もの。ネス湖畔で、魔神が村人の体を次々に引きちぎるという恐ろしい事件か起きます。山田先生のは、ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』+金田一耕助という懲りに凝ったもの。柄刀氏の作品は傑作『ifの迷宮』にも似た近未来型医療現場での、連続惨殺事件。
「本格ミステリ・マスターズ」は、以下隔月刊行です。製本はハードカバーではなく、四六判仮フランス装ですから、軽いので持ち運びやすいと思います。装丁は京極夏彦&Fisco。次回10月は、折原一氏と加納朋子氏の作品が予定されています。挟み込みのパンフレットには、笠井潔×北村薫×綾辻行人×二階堂黎人の対談もありますからお読みください。


[新刊]
 島田荘司 『魔神の遊戯』 文藝春秋 1857円
 山田正紀 『僧正の積木唄』 文藝春秋 1857円
 柄刀一 『凍るタナトス』 文藝春秋 1857円

 別冊シャレード68号「高田崇史特集」甲影会

  光文社カッパノベルス8月の新刊です。

 藤崎慎吾 『ストーンエイジCOP』 848円
 檜山良昭 『太平洋を制覇せよ!』 848円
 神崎京介 『五欲の海』 762円
 中津文彦 『塙保己一推理帖』 848円
 松本清張 『西郷札』 848円
 松本清張 『青のある断層』 848円

2002.08.20
 8月はお盆があるから、あまり本が出るまいなどと侮っていたらたいへんなことになります。すでに秋の新刊ラッシュは始まっているのでした。
 まず、好評原書房のミステリー・リーグは、絶好調男の鯨統一郎氏の『ふたりのシンデレラ』。何と、「一人八役」に挑戦かという作品です。ということは、「シンデレラ」は、ジャプリゾの「シンデレラの罠」にかけてあるんでしょうね。
 お次は、創元推理文庫。「創元推理21」の「50円玉の謎」はさすがにもういいやって感じ。しかし、松尾由美氏の新作短編(中編?)に小森健太朗氏の評論と来ては、買わずにはおられないのでありました。それから、私が乱歩の通俗長編の中でも偏愛する『人間豹』。現代ならまさしくホラー小説。クーンツばりのモダン・ホラー、『戦慄のシャドウ・ファイア』かしらん。何しろ、名探偵の美しき奥様文代さんが悪人につかまり、裸にされ、熊の毛皮を着せられ、檻に入れられ、猛虎に襲いかかられるのです! 人間豹の魔手が、次々に被害者に及び、危機また危機という小説なんです。これは面白すぎ。また、創元推理文庫の乱歩シリーズのいいところは、挿絵はもちろん、目次にちゃんと小見出しが入っているところですよね。わくわくするような、そして、怪しげな小見出しが、物語をますます盛り上げるわけですから。そういう点では、かつての角川文庫版とか講談社文庫全集版とかはまったくペケですよ。ペケ。

[新刊]
 鯨統一郎 『ふたりのシンデレラ』 原書房 1600円
 「創元推理21」 東京創元社 700円(2002年夏号)
 江戸川乱歩 『人間豹』 創元推理文庫 700円
 エリサベス・フェラーズ 『その死者の名は』 創元推理文庫 560円

2002.08.15
 長野県知事選挙公示日のこの日、突如、夕方、長野県信濃町に田中康夫さんが出現。自分でマイクを握って、6時半から近くのスーパーの駐車場で演説を行なうというので、面白そうなので見てきました。さすがに話がうまく、また、面白い。理路整然としているし、長野県の抱えている問題もよく解るように説明してくれます(というか、県議会議員以外の長野県民は全員解っている、だから、前回の県知事選挙で田中さんを選んだわけだし)。テレビ局も取材に来ていましたし、なかなか楽しい三十分間でした。私も長野県在住ならば、田中康夫さんに投票したのにな、残念。

2002.08.10
「小説現代9月増刊号 メフィスト」(特別定価1600円)が発売になりました。私も連作『魔術王事件』の新作「白の魔術王」を書いています。
 その他、短編は、貫井徳郎、西澤保彦、はやみねかおる、物集高音、高田崇史、諸星大二郎他、長編連載は、笠井潔(新連載開始です!)、恩田陸、山口雅也、篠田真由美、竹本健治他、漫画は、喜国雅彦といった豪華執筆陣。

2002.08.19
 e-novels(2002年8月20日号[Vol.127])が更新しました。

 うっかりして気づかなかったのですが、第25回メフィスト賞がとっくに発表になっていたんですね。気づかなかった理由は、講談社ノベルスではなくて、四六版の単行本で出ていたからなんですね。作者は日明恩(たちもり めぐみ)、題名は『それでも、警官は微笑う』。何でも、本格ミステリー系ではなくて警察小説なんで、こういう形で出してみたとのこと。どちらにしろ、なかなか好評らしく、すでに三刷りになっているそうです。
 で、実は、この作者、私の母親の友人(母とは油絵仲間)の姪御さんだということが解りました。世間は狭い。となれば、いつもは警察小説などはほとんど手に取らないですが、これはさっそく読んでみようと思います。

 20年前に「奇想天外」誌に広告が出たっきり、結局刊行されなかった幻の本がついに出ました。日本一の手塚治虫マニアの野口文雄氏による『手塚治虫の奇妙な資料』実業之日本社(1700円)がそれ。手塚ファン感涙の本です。もちろん、私も涙ぐんでいます。

[新刊]
 日明恩 『それでも、警官は微笑う』 講談社 1900円
 三津田信三 『作者不詳』 講談社ノベルス 1500円
 我孫子武丸・田中啓文・牧野修 『三日月島奇譚』 チュンソフト 1200円
  

2002.08.08
『宇宙神の不思議』のゲラが出てきました。2段組のベタで印刷された状態ですが、460頁ほど。『奇跡島の不思議』とほぼ同じ分量ですね。

 収穫:ワイリー 『地球最後の日』 集英社ジュニア版世界のSF。

[新刊]
 光文社文庫の今月の新刊からミステリー系を紹介(発売中)。

 西村京太郎 『東京・松島殺人ルート』 514円
 山村美砂 『宮崎旅行の殺人』 457円

2002.08.07
 打ち合わせで吉祥寺へ行ったら、映画の日とかで入場料が1000円。ちょうどリメイク版『タイム・マシン』が始まるところだったので見てきました。けっこう面白かったという前提で書きますが、恋人が死んだので時間旅行の研究を始めたというような動機付けはまったく無駄。そんなことに時間を割くくらいなら、未来世界の紹介を丹念にして、ウィーナと恋仲になる心理過程をしっかり描いてほしかったと希望します。私はジョージ・パル信者(SF映画をたくさん撮った映画監督)ですが、それを差し引いても、昔の『タイム・マシン』の方が良かったと思います。
 未来の図書館には笑わせてもらいました。
 次は、続編として、バクスターの『スター・シップ』を映画化してくれないかしら。


 霞流一氏の『首断ち六地蔵』を読了。ブラウン神父と名探偵カミを足して2で割ったような怪事件・超推理が展開されます。それに比べ、探偵役の造形が弱いと思っていたら、そうですか、結末でそう来ましたか。

[新刊]
 日下三蔵編 『島久平名作選』 河出文庫 1260円(本格ミステリコレクション−5)

2002.08.05
 DVDで、『トゥームレイダース』を鑑賞。なかなか面白い作品でした。アンジェリーナ何とかという女優と、歌手兼女優のジェニファー・ロペスの区別が付きません。『ダーク・エンジェル』主演の女優にも似ているような。

 e-novelsが更新しました。2002年8月6日号(隔週火曜日更新)[Vol.126]です。

 収穫:桑田次郎 『怪奇大作戦』朝日ソノラマ・サンワイド。水野英子『星たてごと』全3巻・朝日ソノラマ・サンコミックス。

2002.08.04
「サスペリアミステリー」の連載原稿を仕上げ、中距離惑星間輸送船で発送。「伝説マガジン」の連載原稿を仕上げ、亜空間通信で発送。

 映画『インソムニア』を鑑賞。劇場用パンフレットに批評を書くことになったため。『クリムゾン・リバー』のアラスカ版みたいな話。しかし、『インソムニア』って何のことでしょう。あいかわらず、映画関係者の邦題を付ける知恵も努力もないのにはがっかり。関係ないけれど、アル・パチーノとダスティン・ホフマンの区別が未だにつかない私です。

収穫:一峰大二『電人ザボーガー』全2巻・角川書店、一峰大二『スペクトルマン』全4巻・角川書店(何と、別々の店で見つけてしまったのです)。

2002.08.02
 わが家の主の一人、黒猫フニャ様が昨日昇天されました。御年推定14歳。二ヶ月ほど前から腎臓病を患って食が細くなっており、心配していたのですが、力尽きてしまいました。猫嫌いの私が初めて飼った猫ですが、いなくなると、少し寂しい気持ちです。

「二階堂黎人が選ぶ! 手塚治虫SF傑作集 時間旅行者編」の見本刷りができました。ちくま文庫から、8月7日頃の発売です。解説部分にも貴重なカットを使っていますから御覧あれ。

[新刊]
 今月の講談社ノベルスの陣容です。霧舎巧氏の新シリーズ第2弾が早くも出ました。篠田真由美氏の建築探偵シリーズはさらにスケール・アップ!

 霧舎巧 『五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し』 740円
 篠田真由美 『綺羅の柩』 1050円
 佐藤友哉 『クリスマス・テロル』 760円(密室本だよーん!)
 西澤靖彦 『人形幻戯』 880円
 西尾維新 『クビツリハイスクール』 780円(密室本でーす!)
 
 いまや、純粋なトラベル・ミステリーの新刊を読もうと思ったら、辻真先先生の作品しかないんじゃないでしょうか。

 辻真先 『北海道・幽霊列車殺人号』 光文社文庫 457円(8月上旬発売)






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