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不定期日記(過去ログ)

2000年6月


2000.06.30
 7月中旬、光文社のカッパ・ノベルスで発売になる芦辺拓さんの『和時計の館の殺人』を、先にゲラで読ませていただきました。予想どおり、とても素晴らしいできです。大富豪の死と、遺言状公開から始まる連続殺人。和時計の数々に彩られた奇矯な館、顔を包帯で巻いた怪しい男の出没、不可解な密室殺人と、衆人環視の塔の中からの犯人の消失と、本格推理小説の大道具・小道具のオンパレード。そして、それらが単なる虚仮威しに終わっておらず、すべてが作者の企みと解決のために奉仕し合って、美しい絵柄を紡ぎ上げます。作者は、現在細かい所を加筆中とのこと。今年度を代表的する名品となるでしょうと、今からお勧めしておきます。先に出た『真説・ルパン対ホームズ』や『怪人対名探偵』を含め、今年はまさに、芦辺拓の年と言ってせ過言ではないですね。
 執筆中の長編は、登場人物に関して若干の手直しを必要とするため、第1章を改稿。
 収穫:クェンティン『わが子は殺人者』創元推理文庫。乱歩『幽霊塔』創元推理文庫、『陰獣』角川文庫。『鮎川哲也と13の殺人列車』立風ノベルス。鮎川哲也長編推理全集『黒い白鳥』立風書房。

2000.06.29
 昨日、私の家に来られたお客様は、画家の磯田和一さんと、講談社文庫の編集さん2人です。「IN☆POCKET」で連載している「書斎曼陀羅(本と闘う人々)」が、7月号で私の書斎を取り上げることになったため、取材にお見えになったわけです。私の所はそんなにたいした書斎でもないし、本棚もないし、人様にお見せするようなものではないのですが、有栖川有栖さんとコンビを組んであの『有栖川有栖の密室大図鑑』を作られた磯田さんに一度お会いしてみたく、企画を承諾したものなのです。したがった、その模様は、「IN☆POCKET」の7月号に掲載されます。
 磯田さんに、僕の山川惣治コレクションをお見せしたところ、とても喜んでいただけました。
 長編は第4章に突入。

2000.06.28
[博物館]コーナーに、カルメン・マキ&QZのシングル盤の書影3点と、イラストレーターの川越幸子さんが描いてくださった蘭子さんのスケッチを追加しました。
 なお、今日は、わが家にお客様をお迎えしましたが、そのことは明日書く予定です。

2000.06.27
 午前中は病院へ胃の薬をもらいに行き、午後からは届いた本やゲラ(ふふふ、芦辺拓さんの新作、『和時計の館の殺人』ですぞ。七月のカッパ・ノベルス新刊です)の読書をしています(現在進行形)。胃の薬は一月分をたんまりもらってきます。昨年の私の医療費は30万円を超えました。もちろん、保険には入っていますが、貧乏では病気はできないという証拠です。
 ワセダミステリクラブの機関誌『フェニックス』128号が出ました。「インタビュー特集号」で、鮎川哲也、土屋隆夫、北村薫、折原一、山口雅也、有栖川有栖、貫井徳郎他、人気作家が目白押しです。評論やレビューもあり、とても一般機関誌とは思えない内容(そして外観)です。購入希望者は、こちらをごらんください。
 20年前から欲しかった本がついについに手に入りました。山川惣治の幻の最高傑作と言われる絵物語『幽霊牧場』全2巻です。大学時代に手塚治虫本収集をしている時にも、とうとう一度も古書展の目録で見かけなかった本を、ひょんなことから発見したのです。そして、値段交渉を一週間かけて行なった結果、譲っていただけることになり、今私の元にあるのです。ああ、何という感激。このペンタッチ! この構図! この肌触り! この物語!。え、値段ですか。もちろん、ミステリーの古本なんか、ケッ、っていう値段です。




 ところで、大森望さんの日記を読んだら、覆面作家・大信田麗の『フェイク!』幻冬舎という本が話題になっているというので、病院の帰りに買ってきてさっそく読みました(しかし、私が見ているウェブサイトではそういう話はついぞ見かけたことがない)。かなり達者な文章で、いわゆるプロット・トリックものですが、結末をあっさり処理しているところが非常に好感が持てます。この手のメタものは最後でもたもたしてしまうものが多いのですが、これはうまくまとめて、かっちり終わっています。
 で、問題の業界ネタの話ですが(実在の書評家の名前をもじってこき下ろしている)、この程度の内容で本当に書評家の方々は怒っているんですか>大森さん? 作家はいつも、一部の書評家からもっとひどいことを言われているんですが。批評する側が批評される側に回ると、急におたおたするのはどうもみっともないですね。
 それにしても、この『フェイク!』といい、『白銀荘の殺人鬼』といい、ずいぶん覆面作家が流行っていますね。「ミステリーの虎の穴」がこの世のどこかにあったりして。
 それから、西谷祥子や忠津陽子の本が見たいというリクエストがあったので、本棚の写真をちょっとだけアップしておきます。

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2000.06.26
 ビデオ録画にて「ミス・マープル」の鑑賞。『カリブ海の秘密』と『ポケットにライ麦を』。
 7月に講談社文庫から刊行される『私が捜した少年』の最終的ゲラ校正。
 長編は第3章の途中。やや手間取っています。
 『スター・ウォーズ ローグ・プラネット』を読み始めました。スター・ウォーズとグレッグベアと大森望(訳)という凄いタッグ・チームなのですが……(ぼくは、ベアとかベンフォードとかブリンとかがだめな人間なんで)。そういえば、スター・ウォーズUの撮影がオーストラリアで始まったそうですね。公開はいつなのかな。

2000.06.25
 秋田書店のマンガ雑誌「サスペリア」8月特大号に、 マンガ化された蘭子シリーズの「喰顔鬼」が掲載されました。絵の担当は、あさみさとるさんです。怖いですよー。
 「「Y」の悲劇」のゲラ校正。
 エドマンド・クリスピンの『白鳥の歌』を読了。やっぱり私には合いません。この人の地味な作風。

2000.06.24
 ビデオに撮り置きしてあったテレビ・ドラマ「ミス・マープル」を3本見ました。『スリーピング・マーダー』と『鏡は横にひび割れて』と『復讐の女神』です。時代考証も含めて、雰囲気は本当に良くできています。脚本も丁寧です。クリスティーの小説の人間関係はもともと演劇的なので、テレビ・ドラマにしても違和感はありません。『スリーピング・マーダー』では、クリスティーのアンフェアな書き方(時間推移の点)をちゃんと正しく直してあり、好感が持てました。ただし、こうして映像で見るとよく解りますが、マープルものは、ポアロものに比べ、証拠が明確ではありません。ほとんど、「かもしれない」の領域で話が推移しています。
 女子バレーボール、勝てませんねえ。何を隠そう。私は小学生の頃からバレーボール・ファンなんですね。どのくらいファンかというと、「月刊バレーボール」を毎号読み、東京都体育館へ日本リーグを見に行くほどのファンだんたんですね。好きなチームは日立武蔵でした。あの金メダリスト白井選手が、新年会でフォーク・ギター片手に歌っているテープとか、岡本選手のサイン入り写真なんかをこっそり持っているんですよ。というのは、これは偶然だったのですが、中学校の時の同級生のお父さんが、日立武蔵のチーム・ドクターだったからなんです。
 男子も女子も、これからのバレーで勝とうと思ったら、背の低いセッターという従来のスタイルはもうだめです。セッターも長身でなければ。クイックによる攻撃の面でも、ブロックによる守備の面でも、背の低い選手がいるというのは、マイナスでしかありません。でなければ、ルールを改正して、バレーも身長制にするしかありませんね。
 新刊:辻真先『ニャロメ、アニメーター殺人事件』実業之日本社。グレッグ・ベア『スターウォーズ ローグ・プラネット』ソニー・マガジンズ(大森望訳)。
 収穫:乱歩『吸血鬼』『三角館の恐怖』『パノラマ島奇談』角川文庫。

2000.06.23
 ビル・プロンジーニの『凶悪』は、けっこう驚き。何しろ10年ぶりに読むシリーズものだから、いろいろ変化がありました。まず、いきなり名無しちゃんが結婚。しかも、名無しちゃんは60歳。結婚したとたんに、若い妻とセックス三昧の上、肺癌が怖くて嫌煙権を周囲の人に対して行使。スカダーものの向こうをはって若いハッカーを雇ったりと、コージー的な趣向をやりたい放題。後半は話が一本調子になってしまって、「もう一つでしたで賞」を上げましょう。
 「KADOKAWAミステリ」の『論理の聖剣』のゲラ戻し。長編は第3章を少々。
 前回記入漏れの収穫:鮎川哲也長編推理小説全集「砂の城」。鮎川哲也短編推理小説撰集「プラスチックの塔」。

2000.06.21
 所沢駅前の彩の国古書展へ。11時開場ですが、15分遅れで到着。おかげで早帰りした彩古さんには会えず。収穫は、あかね書房の「少年少女世界推理文学全集」が1冊400円で11冊も手に入ったこと。
 その後は、前回同様に、石井さん、森英俊さん、野村さんと私の車で古本屋巡り。ブックオフ所沢店−ほんだらけ−古本市場−ブックスいとう狭山店−ほんだらけ狭山店−ブックスいとう立川砂川店。
 西澤保彦さんと桐野夏生さんの新刊が出ました。前者はタック・シリーズ、後者はミロ・シリーズの最新刊となります。

 書名    依存
 著者名   西澤保彦
 出版社   幻冬舎
 版型    四六版ハードカバー
 定価    1800円
 初版の日付 2000年7月10日
 ISBN  ISBN4-344-00006-4
 * ぼくには、実の母親に殺された双子の兄がいたんだ――。

 書名    ローズガーデン
 著者名   桐野夏生
 出版社   講談社
 版型    四六版ハードカバー
 定価    1600円
 初版の日付 2000年6月15日
 ISBN  ISBN4-06-210187-4
 * ミロはエッチな女。村善は裏切り者。そして、博夫は二人の道具。

 古本:水野英子『愛の秤』チェリッシュブック。世界ミステリ全集『アンブラー集』。カー『引き潮の魔女』。モンゴメリ『ルーシーの約束』篠崎書林。大和和紀『スタンバイOKで〜す』『サッちんあなたの青春』講談社漫画文庫。あかね書房の「少年少女世界推理文学全集」11冊。乱歩「少年探偵団」6冊。高木茂男『パズル百科』講談社文庫。トンプソン『内なる殺人者』河出文庫。

2000.06.20
 今までの日記は、当日の日付で前日のことを書いていましたかが、今日からは、当日の日付で当日の出来事を書き込むようにします(意味、解ります?)。翌日に前日のことを書いても、その中では当日となります(意味、解りますよね?)
 英米本格ミステリー研究家の森英俊さんが主催する『ワセダミステリクラブOB会』 のウェブサイトが正式オープンとなりました。ニュース、新刊情報、書評、リンク、その他、内容は非常に濃く、本格ファンには必読のウェブサイトです。巡回してしてください。
 原書房のウェブサイトに、二階堂黎人編『密室殺人大百科』の予告特別インタビューが掲載されています。御覧ください。また、発売に先立って、送料無料の予約販売も受付を開始しています。地方の方は、店頭に本が並ぶより早く本を手に入れることが可能なので、ぜひ利用してください。
 富士通から、7月上旬、日本語IMEの「OAKパワーアップβ版」が出ます。これは、従来のOAKに、(1)快速親指シフト(親指エミュレーション機能)と、(2)俊敏辞典(スーバー統合辞書連携機能)が付け加えられたものです。非常に画期的な機能で、(1)の場合、OAKの環境設定で設定項目切り替えることにより、通常の106キーボード上で親指シフト入力が可能になるというものです。また、(2)は、入力した文字に対応した言葉を、EPWING形式の辞書(HDDにインストールされたものに限る)を直に読みにいき、検索、引用ができるという優れものです。OAKというと、これまでATOKに比べてやや地味な印象がありましたが、これによって、ATOKを凌駕するものに変貌しました。7月上旬に、富士通プラザその他で実費配布模様ですから、手に入れて使ってみてください。富士通のウェブサイトの情報に注目。
 数奇な運命で、前々から欲しかった『デュ・モーリア全集』全10巻をある方から譲っていただきました。その顛末を知りたい方は、『啓示果つる処(猟奇の鉄人BBS)』へ。
 長編は第2章33枚と、第3章を少々。
 新刊:ベントリー『トレント乗り出す』国書刊行会。バローズ『ターザンの帰還』創元SF文庫。梶山秀之『せどり男爵数奇譚』ちくま文庫。
 古本:手塚治虫『ジャングル大帝』(1)(3)光文社全集版。辻なおき『0戦太郎』少年キング増刊号。『デュ・モーリア全集』全10巻三笠書房。

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2000.06.19
 昨日は、高校時代からの友人夫婦3組の家族で、油壺マリンパーク下にある海岸へ遊びに行って来ました。けっこうな大潮で、磯場には小魚をはじめ、様々な生き物がいました。中でも、鮫の子供とか、20センチくらいあるカニとかが採れたのはびっくり。
 その上、夕方には、浜辺に押し寄せたクサフグの産卵を見ることができました。非常に珍しい体験をしたわけです。たった2メートルほどの場所に、体調5センチくらいのクサフグが大挙して押し寄せ、波を蹴散らしながら産卵する姿は感動的でした。写真を撮りましたので、ご覧ください。
 『白銀荘の殺人鬼』を読み終わりました。なかなか面白い作品ではありませんか。
  私も、北森鴻さんにならって、作者を推理してみました。とりあえず、本格畑の人と限定した場合、文体が最初から最後まで変わらないので、合作と言っても書いた人物は一人のような気がします。とすると、逆に、プロットを立てた人物がいるわけで、これは、明らかに折原一さんではないでしょうか。折原さんは、毎年必ず3冊の本を出す律儀さだったのに、去年はたった2冊しか本を出していませんね。話のB級性やサイコ・スリラー調のところ、そうしたことを考えると、折原さんが実作者の一人という気がします。そういえば、たった今西澤保彦さんの日記をみたら、彼もやはり折原さんが臭いと推理をしていました。しかし、文章を書いたのは誰でしょうか。恐ろしく文章のうまい人です。キャラもやたらに立っています。
 というわけで、しばらくは、犯人探しならぬ作者捜しで、ちまたは大いに盛り上がりそうですね。
 ところで、北森鴻さん。あなたは、去年、1冊も長編を出していませんね。しかも、○○賞に合致する、鮎川賞・協会賞受賞者です。もしかして、あなたが書いたのではありませんか?

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2000.06.18
 前日夜、北森鴻氏より電話がありました。「二階堂さん、カッパ・ノベルスの『白樺荘の殺人鬼』を読みました?」「いいえ、新人の作品から読んでいますから。こっちはまだ半分ですけど」「なかなか面白いんですけど、結末の犯人の書き方に納得いかないことがあるんです。どちらにしても、かなり好き嫌いが分かれる作品でしょうね」「そうですか」――みたいな会話がありました。そして、北森鴻氏は、犯人ならぬ作者探しとして、綾辻行人・小野不由美夫婦が怪しいという推理を披露していました。何でも、作中の仕掛けが、「殺人鬼」の手法に似ているというのが理由だそうです。
 『彼は残業だったので』ですが、ずいぶん小粒です。『占星術殺人事件』に触発されて書いたのだったら、それを凌駕するような意気込みと内容で勝負してほしかったところです。今、笠井潔氏や千街晶之氏などが『第3』の波は第3ステージに入っているというような論考をしていますが、その伝で行けば、氷川透、黒田研二、松尾詩朗(もしかすると、霧舎巧も)などはすでに第4ステージに入っていて、そこに共通する、ある種の問題点が存在するような気がします。この点は、いずれ解析するつもりです。

2000.06.17
  マンガ家・国樹由香さんの新刊『エヴリディおさかなちゃん』竹書房が出ました。これが涙なくては読めない本なんです。私は感極まって何度も目頭を拭ってしまいました。B型星人をうっかり妻にしてしまったA型男性の苦難と苦闘の日々。これほどの受難を克明に描いたマンガがかつてあったか! なんちゃって。
 カッパ・ノベルスから、6月の新刊の見本刷りをいただきました。今月と来月は「2000本格推理フェア」と銘打った本格推理特集で、注目作がどかん!と刊行されます。
 今月は3冊。6月20日発売予定。
 まず、鮎川賞・協会賞受賞作家の北森鴻氏の短編集。それもただの短編集ではありません。書き下ろしエッセイが100枚もあり、作家になるには、作家として続けていくには、と、ハウ・ツーを赤裸々に告白しています。推理作家になる人は、これを読むっきゃない!
 それから、期待の新人のデビュー作。島田荘司先生大推薦です。『占星術殺人事件』に触発されて書いたというデビュー作のできは如何に!?
 そして、ついにあの謎の覆面作家がベールを脱ぎました。その作家の名前は《彩胡ジュン》。何と、著名推理作家二人の超合作だと言います。その上、この二人の作家の正体当てクイズまで実施されます。正解者20名には、カッパ・ノベルス4ヶ月分がもらえるそうですから、ぜひ応募しましょう!

 書名    パンドラ'Sボックス
 著者名   北森鴻
 定価    819円
 初版の日付 2000年6月25日
 ISBN  ISBN4-334-07392-1
 * 巧緻な短編と狂乱の創作秘話――日本推理作家協会賞受賞作家のせきららな日常が露わに!

 書名    彼は残業だったので
 著者名   松尾詩朗
 定価    819円
 初版の日付 2000年6月25日
 ISBN  ISBN4-334-07390-5
 * 島田荘司氏が推薦する「本格」期待の新星! 乱歩、彬光、荘司、……そして松尾詩朗ここにデビュー。

 書名    白銀荘の殺人鬼
 著者名   彩胡ジュン
 定価    848円
 初版の日付 2000年6月25日
 ISBN  ISBN4-334-07390-5
 * 驚異のサイコ・トリック!! 気鋭作家二人による超合作! 《著者あてクイズ》作者は誰だ!?

2000.06.15
 昨日は、原書房のI編集者がわが家に来て、『密室殺人大百科』の広告用インタビューを取りました。その模様は、原書房のホームページにて近日公開される予定です。本の方も順調に作成が進んでおり、早ければ、東京だと7月10日頃には大手書店に配本されるかもしれません。地方だと20日頃になります。地方の方は、原書房のホームページで事前に申し込んでおくと、早く確実に手に入ります。
 長編はプロローグと第1章で30枚。
 講談社文庫『私が捜した少年』のカバー及び帯のネームの確認。
 収穫:桑田次郎『ウルトラセブン』全2巻大都社。アップフィールド『ボニーと砂に消えた男』ミステリ文庫。『蘇る「幻影城」T、U』角川書店。

2000.06.14
 昨日は、「週間小説」の取材で、編集者とまんが家のすがやみつるさんがわが家を来訪されました。すがやさんとは初対面ですが、パソコン通信では何度も文章でお声をかけていただいていたので、前々から懇意だったような気がしました。取材の内容は、同誌での特集「電脳作家の書斎」というものです。私の他には、藤田宣永さん(この方も、親指シフターですね)、吉村達也さんの所へ行かれるそうです。
 それから、すがやさんからおみやげをいただきました。昭和26年頃の「おもしろブック」などです。この中に、横溝正史の少年探偵ものがあるのを見つけました。「鋼鉄魔人」というすごい題名です。これって角川文庫に入っていましたっけ? 写真は、その取材中のすがやさんと、「鋼鉄魔人」です。



2000.06.13
 細かい雑事は全部終わったので、長編執筆のしきり直し。ところが、蘭子ものの『ゲーム館の殺人ゲーム』は気がそがれてしまったのでやめにして、サトルものの『猪苗代マジック(仮)』にしようかと思い出す始末です。というわけで、とりあえず、人物設定表や簡易目次を作りました。アリバイ+密室ものになる予定。サトル君は、由加理さんと一緒にスキーをしながら推理します。
 さて、できあがるのは、いったいどっちの長編でしょう。
 そうそう。黒田研二の『ウエディング・ドレス』を読みました。なかなか良いではありませんか。大森望氏が推薦者であるのを見て嫌な予感がしたのは私だけではないと思いますが(笑)、幸い杞憂に終わりました。
 [探求書]コーナーに「売ります」を追加しました。とりあえず、日本語版旧「スターログ」誌100冊揃いです。ご希望の方はメールをください。
 収穫:水野英子『白いトロイカ』全2巻創美社。バローズ『石器時代から来た男』『モンスター13号』。クライン『火星の黄金仮面』。ロレンス『虹』新潮文庫。フィニィ『五人対賭博場』ミステリ文庫。カー『疑惑の影』ミステリ文庫。鮎川哲也『サムソンの犯罪』。

2000.06.11
 先月、ATOK13で、「さつじん」−「殺人」という文字を打とうとすると、ページ・エラーが出る症状に悩まされましたが、昨日は、「ありすがわ」−「有栖川」と打とうとすると、やはり同じようなエラーになってしまいました。前回の経験から、ジャストシステムのソフトを完全アンインストールして(手動で、残っているファイルも削除する)、それから、再度、一太郎10なとをインストールすれば良いことが解っていたので、これを実行しました。1時間ほどかけて復旧。単語登録やキーカスタマイズはバックアップを取ってあるから良いのですが、単語の出てくる頻度に関する学習はまっさらになってしまうので、しばらくは変換作業が多めになってしまいます。一太郎10もツールアイコンなどのカスタマイズはぜんぶ消えてしまいますが、最近はほとんど一太郎10は使っていないので、それほど被害はありません。
 その他には、推理作家協会の契約書委員会の資料作り。この仕事は簡単だろうと思って引き受けたのですが、内容を知れば知るほど難しい問題を抱えているということが解ってきました。理事なども兼任している我孫子武丸さんなどは、さぞたいへんだろうとお察しします。

2000.06.10
 6月と7月に、講談社文庫でミステリー・フェアがあります。7月には、拙著『私の捜した少年』も講談社文庫の新刊で出ます。フェアの最中、「真夏のミステリーズ」という小冊子が書店で配られる予定です。この中には、「全101冊ブックガイド」とか、「図鑑 名探偵13人の身上調書」などがあり、二階堂蘭子のプロフィールも紹介されています。あとでコレクターズ・アイテムになるかもしれないので、ぜひ手に入れてください。
 7月の新刊には競作アンソロジーの『「Y」の悲劇』や、島田荘司先生の『島田荘司読本』か予定されています。後者には、100枚ほどの書き下ろしがあるというので楽しみです。それから、ビル・ブロンジーニの新刊『凶悪』が6月の予定に入っていますね。新潮−徳間−講談社と引っ越ししているわけですね。
 佐野洋氏の15年振りの書き下ろし長編『指の時代』を読みました。素材はわりと単純な構成だったのに、着地点を推測できず、悔しい思いをしました。さすがベテラン。

2000.06.09
 この前、コンセントのショートでアンプがいかれたばかりだと言うのに、今度はパイオニアの6連奏CDプレイヤーが壊れてしまいました。6枚CDマガジンがイジェクトしなくなってしまったのです。故障は続く時には続くものです。 
 今朝は起きた時から背中が痛みます。久々に徹夜をしたのがたたったようです。
 『密室殺人大百科』の前書きその他、自分の原稿部分のゲラの校閲。カバー見本の確認(なかなか派手でいいですよ)。最後の原稿になった、評論家・横井司氏の『日本の密室ミステリ案内』を読了。分析的でありながら批判精神も持ち、なおかつ日本において「密室」という概念がどのように構築されていったかという観点でみごとな読み物になっている。たいへん立派な論考です。探偵小説研究会メンバーのレベルの高さが証明されました。

2000.06.08
 7月に講談社文庫から出るボクちゃん探偵シリーズの『私が捜した少年』のゲラの校閲が終わったので、講談社へ送りました。解説は西上心太氏が書いてくれました。
 同じく7月に講談社文庫から出る競作アンソロジー『Yの悲劇』の最終締め切りが8日です。このアンソロジーに関しては当初からたくさんのゴチャゴチャしたことがあって、いろいろと言いたいこともあるのですが、とにかく、いままでは様子を見ていました。そして、有栖川有栖さんと法月綸太郎さんの原稿が入ったところで、私は書き始めるという部長との約束だったのですが、締め切り前日になっても、文庫出版部からは依然として何の連絡もありません。仕方がないので(長編は別として、私は締め切りを未だかつて破ったことがないものですから)、原稿を書くことにしました。おかげで、100年ぶりに徹夜というものをしてしまいました。一晩で120枚ならば、なかなかの仕事でしょうか。題名は『Yの悲劇―Yがふえる』。当ウェブサイトの愛好者には、きっと面白がってもらえることがあると思います。
 その他には、『親指シフト・キーボードを普及させる会』の報告書を作成。

2000.06.07
 西澤保彦さんの昨日の日記を読んで思い出しましたが、私も法人化された株式会社イーノベルズアソシエーツ・e-NOVELSの株主になりました。一株株主です。将来有望と見込み、2万株ほど買いたいと申し入れたのですが、割り当ては一人一株だと断わられました。
 某書店の目録販売に入札していた内、一番欲しかった山川惣治の『荒野の少年 第2集』が当たりました。他にも福島鉄次の『復刻版 砂漠の魔王』なども申し込んでいたのですが、これらははずれてしまいました。『荒野の少年』は、のちに川崎のぼるが劇画化した『荒野の少年イサム』の原作です。山川惣治のペンタッチの素晴らしさには何度見ても惚れ惚れします。山川惣治の絵物語なども、電子出版で復活させたい逸品です。
 それ以外には、忠津陽子の『結婚の条件(1)』が手に入ったので、コンプリートになりました。
 今日までの収穫:山川惣治の『荒野の少年 第2集』集英社。忠津陽子『結婚の条件』(1)〜(3)。乱歩『少年探偵』4冊。福島正実編『千億の世界』『人間を超えるもの』『華麗なる幻想』講談社文庫。


2000.06.06
 おとといの夜からまた体調を崩し、昨日は半日寝込んでしまいました(今朝は、吐き気も収まったので起きています)。その間に、東京創元社から久々に出た、岩崎正吾氏の『探偵の冬あるいはシャーロック・ホームズの絶望』を読みました。本歌取りぶりは、以前の2冊と同様、遊び心ににも満ちていて満足できるものです。しかし、前よりだいぶオヤヂ・ギャグが多分に入っていて、その点はどうかと思いました。わざと下品に書いてあるのは生理的に受け付けないんですよね。
 そう言えば、ブルーコメッツの井上某さんが病気を苦にして自殺をしましたが、ああいう心境が最近は解るようになってきました。健康者には理解できないと思いますが、仕事に対する情熱(人生に対する希望)を失った状態で病気をすると、精神的に完全に立ち直れなくなります。私も今回の病気では、具合の悪い時には本当に辛くて苦しくて、胃の移植手術はできないものかとか、サイボーグのように人工臓器と交換できないものかと、あれこれ考えたものです。いっそうのこと、切除してしまった方が楽ではないかとさえ思ったこともあります。たぶん、この日記を読んでいてお気づきの方もいるかと思いますが、今はほとんど食事に興味が持てません(西澤さんの日記と対照的)。むしろ、食事という作業と生理的機能が煩わしいという状況です。
 しかし、私の場合には、まだやりたいこと、書きたいことが残っているので生きています。

2000.06.04
 今月は試しに、最新日記を冒頭へ持ってくる形式で日記を書いてみようかと思います。その方が毎回見に来てくれる人には親切かもしれませんから。それで、こういう形になっています。
 6月のカッパノベルスの情報が入ってきました。新人の名前と作品名は、、松尾詩朗『彼氏は残業だったので』だそうです。前に何かのミステリー賞を取っているみたいなので、実際にはデビュー作ではなく、第2作のようです。もしかすると、島田荘司先生の推薦があるかもしれません。
 それから、話題の覆面作家氏ですが、名前と題名が判明しました。彩胡ジュン『白銀荘の殺人鬼』というのだそうです。しかも、ミステリー・フェアの目玉として、作者当てクイズがある模様です。
 今日までの収穫:藤子不二雄「新・オバケのQ太郎」(1)てんとう虫。松本るい「こちら4畳半異常あり」大都社。鈴原研一郎「愛・友情・恋」曙C。本村三四子『夢みるコリンヌ』集英社文庫。

2000.06.03
  やっと体調が復調してきました(って、変な日本語ですか)。細かい仕事が多く、忘れているものがあったりで、誰かに迷惑をかけているかもしれません。忙しい時に限って、何か事故や事件が起きるし。アンプが壊れた件は、この前書きましたよね? 結局、新しいアンプを買いました。僕は音楽をかけながら執筆するので(他の雑音をシャット・アウトできるから)、ステレオが鳴らないと困るのです。
 ちくま文庫の手塚治虫アンソロジーのゲラの校閲をやっと返しました。原書房の『密室殺人大百科』の方も、ほとんど原稿が入り、最終的な目次がかたまりました。詳しくは[企画進行中]を見てください。素晴らしく豪華な内容です。7月下旬、上下巻、各500ページというすごい内容で刊行される予定です。
 リープチェアは見た目はたいしたことありませんが、アジャスト箇所が多くて、座り心地はけっこう豪華っぽい印象があります。ただ、はたして疲れないかどうかは、もう少し使ってみないと解りません。
 DVDの『スタートレック叛乱』を買ってきました。DVDは綺麗でいいですね。今はPS2で見ているのですが、やはり5.1チャンネル・ドルビー・サラウンドで見たくなります。その内、AVアンプやスピーカーに手を出してしまいそうです。
 今月の講談社ノベルスは、以下のラインナップです。 6月5日頃の発売。

 書名    殺竜事件
 著者名   上遠野浩平
 定価    880円
 初版の日付 2000年6月5日
 ISBN  ISBN4-06-182135-0
 * 不死身の竜は、誰に、なぜ、いかにして刺殺された!?

 書名    錯誤のブレーキ
 著者名   中町信
 定価    980円
 初版の日付 2000年6月5日
 ISBN  ISBN4-06-182136-9
 * 雨の夜の衝突事故は、連続殺人事件の始まり。

 書名    汚職事件
 著者名   姉小路祐
 定価    800円
 初版の日付 2000年6月5日
 ISBN  ISBN4-06-182134-2
 * 主役は、俺たち刑事だ!

 書名    ウェディング・ドレス
 著者名   黒田研二
 定価    800円
 初版の日付 2000年6月5日
 ISBN  ISBN4-06-182130-X
 * すべてが謎とトリックに奉仕する体脂肪率0パーセントの新本格――大森望
  第16回メフィスト賞受賞作

 





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