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不定期日記(過去ログ)

2000年03月



2000.03.01
 昨日の日記に書こうと思い、警察に関する怒りで書き忘れましたことがあります。『国会議事堂の死体』を読み終わりました。かなりのハイブロウ派(私が勝手に決めた呼び方。マイクル・イネスとかエドモンド・クリスピンが代表)なので、通俗好きの私には読むのはけっこうつらいものがありました。特に前半の緩慢な筋運びにはずいぶん我慢を強いられました。けれども、後半で大きな驚き(犯人の仕掛けたトリック)が出てくるので、読む価値は充分にあります。ただ、やはり場面と場面、素材と素材の繋ぎ方が恐ろしく素人臭いという感じは最後まで拭いきれませんでした。
 昨日は珍しく打ち合わせをしました。場所は近場のDS6。クリンゴン星人とは、来年の駆逐艦配備に関する相談を、その後、ロミュラン人と新兵卒の発掘及び育成に関する相談。

2000.03.02
 今、メインに使っているパソコンは、DELLのXPS R450というマシンです。確か、450MHzのペンティアムIIです。購入する時にDVD-ROMドライブを内蔵しました。しかし、今持っているDVDソフトは、日立デジタル平凡社の世界大百科事典のみです。実は、この世界大百科を買うのは2度目です。以前はNECから発売になっていて、CD-ROM版でした。NEC版のいいところは、EPWING規格だったので、DDWINという有名な検束ソフトが使えることです。
 では、何故、DVD版を追加購入したかというと、図面や写真とかがもっと増えていて、使いやすくなっているのではないかと期待したからです。NEC版は、書物版にあった図面や写真がほとんど省かれていますので、その部分が完全になっていることを望みました。しかし、このDVD版にはかなり期待を裏切られました。マイクロソフトのエンカルタのようなビジュアルな百科事典とはまったく違います。やはり文字ベースのものでした。その上、一番問題なのは、付属する検索ソフトが恐ろしく使いにくいのです。
 この検索ソフトの最大の問題点は、ページ単位でしか、表示した項目の文章を読むことができないということです。解像度固定の上(窓の拡大縮小ができない)、スクロール・バーがないという信じられない設計です。検索した文章が長い場合、メニューの所にるあ「前ページ」「次のページ」という(ボタンすらない)文字部分をマウスでいちいち押さないと、次の文章や前の文章を見ることができないのです。いったいどういう設計思想で、こんな変な(つまり、Windowsのお約束を無視した)検索ソフトを開発したのでしょうか。それでも、EPWING対応になっているとか、中身をハードディスクにコピーでき、DVDディスクをいちいちドライブに入れなくても立ち上がるとか言うのなら(コピー・ガードがかかっているわけですね)、まだ我慢できます。しかし、そうではないのです。
 結局、私の所では、まだNEC版が現役で使われています。
 日立デジタル平凡社の皆さん。あなた方はこんな不便で使いにくい検索ソフトを日頃、自分でも使っているんですか?(って、高千穂遙さんモードで訊いてみたりして)

2000.03.03
  前々から準備を進めていた『親指シフト・キーボードを普及させる会』のホームページが、いよいよ来週あたりから正式に公開されます(http://www.oyayubi-user.gr.jp/oyahp/)。とりあえず、暫定処置として、『親指シフトのための掲示板(http://rental6.virtualave.net/oya.html)』のみ動かし始めましたので、御意見、御質問、御要望、その他親指シフト・キーボードに関して何かありましたら、そちらを御覧になり、書き込みしてください。また、会では、引き続き、賛同者を募集中です。
 原書房の3月の新刊予定ですが(刊行は3月下旬でしょう)、
 クレイグ・ライス『もうひとりのぼくの殺人』
 ディクスン・カー『月明かりの闇 フェル博士最後の事件』
です。カーの未訳がまた一つなくなります。嬉しいですね。ライスの解説は若竹七海さん、カーは小森健太朗さんです。これも楽しみです。
  それから、4月の頭になりそうですが、笠井潔『復讐の白き荒野』の愛蔵版も出るそうです。

2000.03.04
  昨日の収穫。まず、通販で手に入れたのが、忠津陽子『恋のフーガ』。女の子の絵柄が本当に可愛い! 
 それから、グレアム・グリーン全集2・4・9・10・13・18・19・20・22・24。ブックオフで1冊100円だったので、何となく買ってしまいました。他には、ブックスいとうで手に入れたもので、早川SFシリーズのエドガー・ライス・バローズ『地底世界ペルシダー』、『危機のペルシダー』、『ペルシダーに還える』。古本市場で都筑道夫の角川文庫『キリオン・スレイの再訪と直感』、『七十五羽の鳥』、『最長不到距離』『漆の壁に血がしたたる』『血みどろ砂絵』。このあたりは当然ダブりです。
 あと、最近、ポプラ社の少年探偵団シリーズで、乱歩の大人物を子供向けに直した奴を集めだしました。新装版では収録されないので、急に欲しくなってきたわけです。本来、明智小五郎探偵が出ない作品が明智ものに改変されているので、それはそれで面白いのであります。

2000.03.05
 昨日、書き忘れました。光文社文庫から、光文シエラザード財団編集(実際には、ミステリー研究家の山前譲氏の編集)による《幻の探偵雑誌傑作選》全3巻が出るそうです。今月の中旬に『ぷろふぃる』集が、それから一月ごとに『探偵趣味』集、『シュピオ』集という順番で刊行されるようです(かなりマニアックな企画ですね)。私も、『探偵趣味』の巻に、エッセイを書かせてもらいました。7枚から8枚でとの依頼でしたので、7.5枚に収めました(当然、締め切りも厳守)。どなたかは、5枚の依頼に15枚も書かれたそうですが、そんな暴挙は、心臓の弱い私にはとってもできませんでした。なお、『ぷろふぃる』集には、芦辺拓さんがエッセイを書かれたそうなので、読むのが楽しみです。
 徳間書店のSF新人賞の授賞式とパーティーが3日にあったのですが(あったんですよね?)、花粉症のせいで行けませんでした。今年の花粉症はかなりきついものがあります。ここ数日は頭痛で苦しんでいます。数年前まで、花粉症になる前は、人が苦しんでいるのを見ても、そんなのは気のせいだよと思っていたのですが、実際に自分が花粉症になると、たしかに辛いものだと実感できました。早く、車のディーゼル・エンジンの排気ガスを何とかしてもらいたいものです(東京から離れ、田舎へ行くと花粉症に悩まされないんですよね。やぱり杉花粉と何とか微粒子の複合汚染でしょう)。といいながら、私もディーゼル・ターボのミツビシ・チャレンジャーに乗っているので、なるべく黒煙を吐かないような運転を心がけたいと思います。
   

2000.03.07
 某月某日。FSUIRIのZP仲間の一人、落下生さんが九州に転勤になることになったので送別会を東京都下国分寺で開きました。集合場所は馴染みのS古書店。参加者は本人の他、彩古さん、石井さん、仰天さん、私です。S書店は驚いたことに、店舗が半分になっています。最近、インターネット販売にも力を入れているようなので、無駄を省いたのでしょうか。私はそこで、あかね書房の少年少女SF全集の『不老不死販売会社』シェクリーを700円で買いました。最近、このシリーズも見るとつい手に取ってしまいます。
 スカイラークへ行きみんなで食事をしましたが、落下生さんが、面白いダブリ本を持ってきました。古いポプラ社の少年ものを数冊です。その中の一冊にひどく気になるものがありました。『恐怖の仮面』という題名なのですが、目次や挿し絵を見ると、悪役の名前が《ホームラン王》とあり、どうやら、良い子が持っている野球道具を奪ったりする奴らしいのです。題名と合っていないし、実に妙な犯人設定です。これは仰天さんが買っていきました。その後、ブックスいとう国分寺店に流れ、解散しましたが、私以外の人たちは他の古本屋めがけてさらに出陣です。

画像

 某月某日。芦辺拓さんのファンが作ったホームページが公開されました。URLは、http://www.hoops.ne.jp/~ashibe/ です。ぜひ御覧ください。

2000.03.09
 昨日は、所沢の駅前で開催される『彩の国古書展』へ行ってきました。彩古さんや石井さんに頼んでいた本を受け取るためと、森英俊さんと、夏に出す『密室殺人大百科(仮題)』の翻訳作品の打ち合わせをするためです。森さんは、ワセミスの現役後輩のW嬢と一緒。他に、N村さんが来ていました。そう言えば、森さんとN村さんが共同編集した、ちくま文庫『乱歩が選ぶホラー小説(だったかな。うろ覚えですみません)』が今日あたり発売ですね。また、来月の光文社文庫で、森さんが監修の『現代ミステリー事典(海外篇)』が出るそうです。これは、この前新潮社で出た奴よりさらに面白いということなので、絶対に買い逃さないようにしなくてはいけません。
 『彩の国』も回を重ねる度に掘り出し物が減っていき、その分、値段が高くなっていくような気がします。ここの常連の喜国さんが来ていないので、思う存分買い占めようと思ったのに、たいしたものはありませんでした。
 その後(彩古さんのみ、早帰り)、僕の車で、所沢のブックオフと、ほんだらけを襲撃。W嬢が目の色を変えて本を買い込んでいるのが微笑ましい光景です。私にも昔、あんな時期があったんだろうなあ……と、遠い所を見る目になってしまいます。それから、東大和のブックセンターいとうへ行き、東大和駅で解散。石井さんが、ブックセンターいとうで、内田善美の新書判5冊をいっきに見つけるなど、さすがに目利きと感心しました。森さん、N村さん、W嬢、石井さんは、両手にたくさんの荷物をぶらさげ、まるで戦後の買い出しのようです。
 私の収穫は、『四つ辻にて』(彩古さんより)、『技師は数字を愛しすぎた』『シーザーの埋葬』(石井さんより)、『前代未聞の推理小説集』『海底2万リーグ(あかね書房)』、『鮎川哲也長編推理小説集2、4』、ちくま文庫の『リトル・ドリッド』『荒涼館』、『王妃マルゴ』文藝春秋、ポプラ社の少年ホームズ全集数冊などでした。

2000.03.10
 昨日書いたちくま文庫のアンソロジーですが、正式には、『乱歩の選んだベスト・ホラー』森英俊・野村宏平共編という題名でした。乱歩が『幻影城』の「怪談入門」で言及していた作品を収録したものです。これは買いでしょう。
 作家のマーフィーの法則(僕だけか?)ですが、『ゲラは重なる』というものがあります。今、僕の手元には原稿用紙2000枚分のゲラがあります。昨年の10月だったかには、4000枚分のゲラが集まってたいへんな目に遭ったことがあります。仕事は分散しているはずなのに、何故かゲラの出校が重なるんですね。不思議です。

2000.03.11
 それにしても、どうしてこう本という奴はこんなに手には入りにくい品物なのでしょう。たとえば、前日紹介した『乱歩の選んだベスト・ホラー』も、8、9、10日と合計5件の本屋を回って、やっと昨日買えたほどです。それも、その書店に一冊しか入荷していなかったので、他の人に買われていたら危ないところでした。東京に住んでいてさえ(しかも、私の近所には郊外型書店が何軒かありますし、立川か国立へ行けば、けっこう大きい本屋があるに、それでも、なかなか手に入らず、新宿の紀伊国屋あたりまで行かないと買えないということがよくあります。出版不況で発行部数が減っている現実の中、もっと売り方に工夫はできないものでしょうか。今は、発売即購入しておかないと、すぐに品切れになって、ついに手に入らなかったなんてことがよくあります。
 もちろん、電子書店やインターネット書店、クロネコ・ブックサービスもそうしたことの回答の一つでしょう。しかし、まだ使いにくい気がします。たとえば、新刊予告一覧のような物があって、そこにチェックを入れておくと、発売されたと同時に家に配達されてくるとか、そういうふうにできないでしょうか。これなら、買い損なうことも少なくなるでしょう。
 それと、やはり取次の問題。CDなら、店頭になくても、注文すれば2、3日で店に来ます。なのに、どうして本だけは2週間から1ヵ月もかかるのでしょう。いろいろな理由は業者側にもあるのでしょうが、やはりスピードを要求される現代の生活からかけ離れていると言わざるを得ません。
 また、どの書店も同じような品揃えというのもがっかりします。それも、みんな中途半端です。たとえば、A書店は新潮社と角川書店の本が全部ある、B書店には、講談社と光文社の本が全部ある、豊富にある、といううな感じにはならないのでしょうか。
 今のままでは、ますます読者の本離れが続くばかりです。
 昨日の収穫は、抽選当選で、『スイート・ラーラ』北島洋子(これは前々から捜していました!)虫コミ、『お金ためます!』全2巻忠津陽子(これは、Mのマンガ家を夫に持っている妻さんから頼まれていたものです>「ダ・ヴィンチ」を見よ)。『マラコット深海』コナン・ドイル(最初のカバーの奴)。

2000.03.12
 前々からお知らせしているマンガ対談本ですが、正式に題名が『二階堂黎人VS新本格推理作家 おおいにマンガを語る(大事なことはすべてコミックから教わった)』に決まりました。3月下旬、もしくは4月上旬発売予定になっています。詳細は[企画進行中]を見てください。
 そういえば、日記に書き忘れていたのですが、3、4日前に、第1回SF新人賞受賞作の『M.G.H.』を読んだら、これがむちゃくちゃ本格ミステリーしているんですよ。細かい評価は書きませんが、SFとしても、本格ミステリーとしても一級品です。SFファンのみならず本格ファンにもぜひ読んでほしい作品です(破天荒な面白さではなく、かっちりとした面白さ)。
 インターネット予約をしていたソニーのDVDプレイヤーが届きました。せっかくだから、DVDでしか出ていないビデオをと思って、ユーミンのコンサートを買ってきて見ました。このDVDプレイヤーは、今時珍しく、ケーブル式のリモコンが付いているのですが、形がゲーム機のコントローラーに似ているので、少し操作がしにくいのが欠点です。
 昨日の収穫。『シャーロック・ホームズ遊々事典』東山あかね他、『21世紀潜水艦』ハーバート(早川SFシリーズ)。

2000.03.13
 4月初旬売りの「メフィスト」用原稿『悪魔のラビリンス』のゲラ190枚をチェック。「KADOKAWAミステリ」の書評エッセイの原稿の下書き5枚。マンガ家あさみさとるさんが描いてくださる、二階堂蘭子シリーズのマンガ『薔薇の家の殺人』のネームの確認。夏に刊行予定の『密室殺人大百科』用の書き下ろし短編の内、谺健二氏による『五匹の猫』の黙読(へへへ、足跡のない殺人ものでっせ)。と、けっこうな仕事をしました。
 自由業の良いところは自分で仕事を管理できることですが、逆に土日とか休みは関係なくなります。
 他に、創元SF文庫『終わりなき平和』を読みました。冒頭はかなり期待させられましたけど、この結末はないんじゃないのって感じです。良くも悪くもアメリカ人の書いた作品ですね。

2000.03.14
  マンガ対談本の『二階堂黎人VS新本格推理作家 おおいにマンガを語る(大事なことはすべてコミックから教わった)』ですが、4月14日発売の予定です。また、4月初旬売りの「ダ・ヴィンチ」5月号には、これに合わせて、桐野夏生さんとのマンガ対談が載ります。え、あの直木賞作家とマンガ? と、疑問に思われた方は、ぜひこれを御覧ください。
 4月に刊行される文庫版『悪霊の館』のゲラを延々と読んでチェックしています。やはり1200枚もあるとおいそれと終わりません。解説は小森健太朗氏。装丁はいつものとおり辰巳四郎画伯です。
 昨日の収穫は、『ブラバン専科(3)』風間宏子((1)と(2)は前々から持っていたので、これで揃いました)。
 そうそう、東京創元社から『本格ミステリベスト10 2000年度』から出たらしいです。ただし、書店に並ぶのはいつか解りません(投票者へ送ってくるのもきっと遅いでしょうしね。去年、僕の『人狼城の恐怖』は1位に選ばれたわけですが、それでも、催促して、催促して、やっと2週間後に送られてきたくらいですから)。今年は2月上旬に出したいというスタッフの意向でしたが、やはりだめだったわけですね。

2000.03.15
 光文社文庫『探偵趣味傑作選』のエッセイのゲラの確認。これは、来月の発売です。そして、やっと『悪霊の館』のゲラを終えました。それにしても、久々にこの長編を読みましたが、われながらよくこんな複雑な話を書いたものだと思います。あの頃は若くて、血気盛んで、元気だったんだろうなあ……。
 自分の作品における、今後の文庫の予定を書いておきます。
 4月 『悪霊の館』講談社文庫 解説:小森健太朗
 7月 『私が捜した少年』講談社文庫
 秋 『奇跡島の不思議』角川文庫 解説:我孫子武丸。ただしこれは、『宇宙神の不思議』という新作の発表に合わせて文庫化される予定ですので、遅れることもあるかもしれません。
 昨日の収穫。『ランドルフの花嫁』忠津陽子。

2000.03.16
  プレクサーのCD-Rドライブ(4/2/20)で、FAIR WARNINGというハードロック・グループのCD「GO!」を焼こうとしたところ、書き込みが始まるとエラーが出ました。三枚もディスクを無駄にしたところで変だと思い、SCSIカードなどのチェックもし、ドライブも他のPCに接続などしてみます。その内に、トレイを開閉していたら、そのトレイがポロリと取れて落ちてしまいました。前々から、メディアを認識しないことがあったのですが、結局、初期不良品だったのですね(購入して三ヵ月)。仕方がないので、修理に持っていきました。
 お気づきの方も多いでしょうが、講談社の「IN☆POCKET」で、綾辻行人さんの『暗黒館の殺人』が始まりました。何と連載です。まさに今世紀最後の奇跡です。挿し絵は喜国雅彦画伯。いい雰囲気出しています。でも、一冊にまとまってから読むべきかどうか、非常に迷っています。だって、もったいないんですもの。
 リンク・コーナーに、@NIFTYのNICOLAキーボード・フォーラムを追加しました。
 

2000.03.18
 昨日は、「週刊現代」の麻雀対戦でした。ホストが桐野夏生さん、ゲストが私と作家の宮崎学(あの『突破者』の著者です)。他に麻雀プロの藤原隆弘氏という面子です。半チャン2回戦。結果は、宮崎氏がトップ2回、プロが2着2回、桐野さんが3着2回、私が4着2回という有様でした。ぜんぜんだめです。
 実は、出がけに嫌なことがあって、悪い予感がしたのです。立川駅前の銀行でお金を下ろそうとしたところ(あ、別に賭けるという意味ではなく、ちょうど下ろそうと思っていたんです)、カードが使えなかったのです。理由は銀行員に調べてもらって解りました。家人の一人が2日前に財布を落とし、銀行系カード、クレジット系カードを全部止めたのです。その財布はすぐに見つかったのですが、銀行系カードは口座を持っている支店へ行って復帰手続きをしなくてはならなかったわけです。クレジット系カードは落とした本人のカードだけが使用不能になるのですが、銀行系カードは口座に繋がるカードが全部ロックされてしまうのだそうです。
 というわけで、桐野さんの所へ行った時に、10万円借りてしまいした。この時から、ちょっと嫌な予感がしていたわけです(麻雀は賭博的要素が強いので、手元に充分なお金がないなど、精神的動揺が結果に影響します)。「週刊現代」の、この対戦の掲載は、4月3日売り号から4回だそうです。
 桐野さんの仕事場では、メイン・マシンの調子が悪いというので診察を行ないました。インターネット接続がどうも遅いと言うのです。電話で事前に診断した結果は、せっかくISDNが引かれ、TAがあるのに、どうも内部モデムを使って通信をしているようなのです。確認したところ、やはりそうでした。TAのドライバーが導入されていません。このTAを接続したのはNTTなのですが、設置に来た人間がいいかげんな作業をして帰ったようです(私なら、金返せ!と言ってやります)。ドライバーの入ったフロッピーを見つけてもらい、各種ダイアルアップの設定をして、無事にインターネット回覧ができるようになりました。さっきまでの遅さが嘘のように早くホームページが表示されます。
 それにしても、かつては(大学の頃は)死ぬほど麻雀をしたのですが、社会人になってからは激減してしまいました。特にここ何年か、胃腸病を患ってからは、意欲も熱意も喪失です。昔は麻雀に負けたら勝つまで徹夜でやるぐらいの気力があったのに、今は負けても何の感慨もありません。これでは、賭け事に勝てるわけがありません。同じ頃から、テレビ・ゲームに対する興味も失せていたのが思い出されます。メガドライブが出た時には、発売されるソフトを全部買ってやっていたのに、今は何もやりたいと思いません。PS2も買ったけど、ソフトは買わなかったし。「ドラクエ」はAIが嫌だし、「FF」は勝手に動き回るのが嫌だし、楽しいゲームなんてありません。そういう感性がどうやら年と共に(病気のせいもあって)麻痺してしまったみたいです。
 家から出たついでに、国書刊行会の世界探偵小説全集32「自殺じゃない!」シリル・ヘアーを買ってきました。ヘアーは、前回翻訳された「英国風の殺人」もとても良くて、イギリス・ハイブロウ派の中では唯一大好きな作家です。しかし、手元にはロバート・J・ソウヤーの新作『フレームアウト』もあります。どちらから読むか、数秒悩んだ結果(その前に、藤木稟氏の新作が後回しになりましたが)、『フレームアウト』から読み始めました。何だか、いつもとは違う感触の出だしですが、すごく先の展開を期待させます。
 本日発売の「月刊アスキー4月号」に、『親指シフト・キーボードを普及させる会』の意見広告第3回が掲載されました。今回は、ハード(キーボード)導入編です。引き続き、会では賛同者を募集しています。特に、作家、編集者の方、御協力をお願いします。また、お知り合いに親指シフターがいらっしゃいましたら、その旨、お伝えください。
 そうそう。東京創元社の「2000本格ミステリ・ベスト10」がようやく来ました。店頭にあるのも確認しました。奥付の所に、小森健太朗氏の名前がありませんが、彼もれっきとした探偵小説研究会のメンバーのはずです。どうして記入漏れしてしまったんでしょう。書影も一部入れ替わっていましたね。内容は、毎年、少しずつ良くなっています。特に今回は、評論家諸氏の勉強振りが良く解ります。中身はかなり濃いものになっていると思いました。その分、やはりレイアウト等の紙面づくりの貧弱さがますます目立ってしまいました。
 それにしても、順位を見て思ったのは、みんな、「本格」といいながら、意外に正統なるものは嫌いなのね、っていうことです。僕の趣味から言えば、1位から20位を逆の順番にしてしまった方が、全体的にはしっくり来ます(上位3位までは別として)。『堕天使殺人事件』や『百器徒然袋−雨』がこんなに低い理由が解りません。貫井さんの作品にしても、平凡な事故の『プリズム』より非凡な事件の『妖奇切断譜』でしょうと思ってしまいます。が、それも私個人の趣味ですから文句は言えません。こうなると、「本格探偵小説ベスト10」というのを、さらに企画しなくてはならないかもなんて、ちょっと考えてしまいました。
 

2000.03.19
 ソウヤーの『フレームアウト』を読み終わりました。かなり面白い。今回はSFミステリーというより、SF仕立てのミステリーでありました。つまり、西澤保彦さんの諸作を思い出してもらえば間違いはありません。テレパスとかも出てきますが、ほとんど味付けです(題名には、この要素が直結していますが)。私はミステリーには感動を求めませんが(トリックの優劣に関する感動は別として、物語に対する情動的感動は求めない)、SFのストーリーには感動を求める人間です。したがって、この手の話にはけっこう弱いのです。相変わらず、変な夫婦関係が出てきて笑わせてくれますし、いい作家です、ソウヤーは。ただ、『スタープレックス』や『さよならダイノサウルス』の方が、荒唐無稽なSFアイデアが爆発するので好きですね。
 しかし、『ゴールデン・フリース』や『占星師アフサンの遠見鏡』が品切れって、どういうことでしょう。早川書房の在庫管理の基準って、昔からまったく理解できません。

2000.03.21
 ちょっと胃をやられ、そこに花粉症のせいで頭痛がするという状態で2日間、寝込みました。さいわい胃の方は軽傷だったので今日は何とか起きています。しかし、原稿を書く気力が出てきません。でも、前だったら、何日も不快な状態が続いたことを思うと、だいぶ快方に向かっています。
 で、寝ながら、たまっていたSFを読みました。「カムナビ」「BRAIN VALLEY」「女王天使」「順列都市」。ただし、「カムナビ」以外は全部上巻だけで投げ出しました(どういうわけか、みんな上下巻です)。私が読みたいのは面白い小説であって、学術書や退屈な状況説明ではないからです。この前も書きましたが、私はSFに感動や爽快感を求めているのであって、学究的文章や蘊蓄を読みたいなら、講談社ブルーバックスなどを読んだ方がよっぽどましです。まあ、体調が悪い時に、こうした作品を読むのが間違いだったのですが。

2000.03.23
  ようやく体調が良くなったので(そのために、東洋整体にも行ってきたりしましたが)、立風書房の長編『春の水』に本格的に取りかかることにしました。第1章56枚を書き終えました。実を言うと、この長編の他に別のものを書きだしていて(暗号名『NF』、こちらは100枚くらい)、どっちを最後まで書き上げるべきかずっと迷っていたのです。しかし、「このミス」などでも前々から予告していることだし、やはり『春の水』をちゃんと片づけることにしました。『NF』は、『春の水』、『宇宙神の不思議』の次に書くかもしれません。
 夕刻、ファックスが入り、カーデシア人から駆逐艦の解説依頼あり。受諾しました。
 それから,今、手元に、原書房のヴィンテージ・ミステリー・シリーズの最新刊の見本刷りがあります。いささか私は興奮気味です。そう、ジョン・ディクスン・カーとクレイグ・ライスの新刊なのですから。そして、笠井潔氏の『復讐の白き荒野』の愛蔵版もあります。
 念のため、データーを記しておきます。来週中頃から書店に並び始めるそうです。

 書名    月明かりの闇
 著者名   ジョン・ディクスン・カー
 出版社   原書房
 版型    四六版ハードカバー
 定価    1900円
 初版の日付 2000年4月10日
 ISBN  ISBN4-562-03292-8

 書名    もうひとりのぼくの殺人
 著者名   クレイグ・ライス
 出版社   原書房
 版型    四六版ハードカバー
 定価    1800円
 初版の日付 2000年3月31日
 ISBN  ISBN4-562-03291-X

 書名    復讐の白き荒野
 著者名   笠井潔
 出版社   原書房
 版型    四六版ハードカバー
 定価    1900円
 初版の日付 2000年4月7日
 ISBN  ISBN4-562-03295-2
 

2000.03.25
 胃炎状態の上に頭痛が重なり、ダブル・パンチ。半日以上寝込みました(やっぱり病状日記みたいになってきましたね)。寝ながら、カーの『月明かりの闇』を読み終えました。雰囲気や謎づくり、ミスディレクションはさすがの手練れ。トリックはやや弱し。キャラクターの書き分けが(クリスティーなんかに比べると)いまいちなのもいつもどおり。でもいいんです。フェル博士が出てくれば。ただ、田口さんの訳は非常に丁寧だけど、逆に少し上品すぎるかも。探偵小説なんだから、もっと通俗的でもかまわないような(フェル博士の話し方とか)。
 DBProという愛用するデーターベース・ソフトが久々のバージョンアップです。インターフェースや入力ダイアログがだいぶ変わったので(Windows標準に近づいた。しかし、私はこれは改悪だと思います。たとえば、マイクロソフトのフラット・ツールバーが、私は大嫌いです)、慣れるのにしばらくかかりそうです。
 ところで、このソフトに限らず、バージョンアップの際の導入マニュアルが不親切なものが多いのが不満です。前のバージョンを削除してから、新バージョンをインストールするのか、それとも、上書きするのか、そういったことをちゃんと書いてあるものが非常に少ないですね。改善されることを期待します。
 その他、ちくま文庫の『手塚治虫アンソロジー』の収録候補作の手直し。「メフィスト」用の『悪魔のラビリンス』の最終チェック。その他雑用。
 昨日までの収穫。『悪魔博士』鮎川哲也(誰かが欲しいと言っていたが、誰だっけなあ?)、『聖女の島』皆川博子 講談社文庫、『ハニー・ハニーの素敵な冒険(2)』水野英子、『プロードウェイの星(1)』ソノラママンガ文庫。
 それから、『2000 本格ミステリベスト10』での評論家・末國氏のお薦めがあまりに面白そうなので、小学館文庫の『楚留香』全3巻を買ってきました。

2000.03.27
 絶不調です。体調も執筆の方も。特に長編執筆の方は抜本的に計画を見直すかもしれません。早急に結論を出さないと。
 ところで、光文社から9月に新創刊になる雑誌の名前が決まりました。「ジャーロ」といいます。イタリア語で、ミステリー全般をさす言葉だそうです。
 ペリー・ローダン・シリーズを3冊片づけた後、クレイグ・ライスの「もうひとりのぼくの殺人」を読み始めました。
冒頭抜群の面白さです。しかも、森英俊氏の翻訳はこなれていて、非常に読みやすい。インチやフィートの数値に、ちゃんとメートル換算の数値を注釈で入れているところも感心しました(当たり前だと思われるかもしれませんが、これをしていない翻訳が最近は多くて)。

2000.03.28
 2、3日前に、画期的な出来事があったのでお知らせいたします。何かと言うと、小森健太朗氏が、ついに(苦節十数年)、C.N.ウィリアムソンによる『A WOMAN IN GREY』という本をアメリカのオークションで発見し、落札したのです。
 え? 何の本かって?
 あの江戸川乱歩の『幽霊塔』や黒岩涙香が書いた『幽霊塔』の原作といわれる本なのです。
 実はこの本、江戸川乱歩が、涙香の『幽霊塔』の原書として長い間捜索していたのですが、どうしても入手できなかったいわくつきの本なのです。何故かというと、涙香の本の序文には、原作として「ベンヂソン夫人 ファントムタワー」という、存在しない虚偽の題名が記されていたからなのです。どうしてそうなのかは、いずれ小森健太朗氏から詳しい発表があるでしょう。とにかく、それほど重要であり、貴重な発見なのです。
 というわけで、この本を翻訳出版したいと思う出版社はきっとたくさんあるはずです。早いもの勝ちですぞ。
 そういえば、新樹社からレオ・ブルースの第2長編『死体のない事件』が出ます。傑作との噂高し。これもお見逃しなく。

2000.03.29
 秋田書店の『ブラック・ジャック・コレクターズ・ボックス』(限定予約・15000円)が来ました。これは、単行本未収録作品(「不死鳥」「落下物」)やピノコの特製フィギュア、複製原稿、特製アニメ・ビデオなどを含んだものです。この中での、特製アニメ・ビデオはなかなか良い作品でした。これまでOVAで出ていた『ブラック・ジャック』は、やたらに劇画調の絵柄で、私は嫌いだったのです。今回は、作画監督の瀬谷氏が、最初から手塚先生の絵柄で作ると言っていたので非常に楽しみにしていたのですが、期待以上のできでした。最近のアニメーターが、昔の虫プロのような絵柄(丸を基調とした線のデフォルメした絵柄)を描けないという現状(問題)があるにしろ、せっかく手塚プロが作るアニメなのですから、やはり手塚先生のタッチになるべく似せてもらいたいと思うわけです。

2000.03.30
 巡洋艦の解説、12枚強を書き上げ、メールしました。だいたい12時間ほどかかって仕上げました。1枚の単価を訊くのを忘れたのですが、とりあえず5000円とすると、時給5000円の仕事ということになりますね。ものは、ハヤカワ文庫の『バースへの帰還』ピーター・ラヴゼイでした。予想は当たりましたか?
 他には、「KADOKAWAミステリ」の『論理の聖剣』のゲラの戻し。
 昨日の収穫。『猫が見ていた』中島河太郎編。『魔女の笑う夜』カーター・ディクスン。

2000.03.31
  ああ、とうとう3月も終わってしまいました。長編がぜんぜん進んでいません。このままで、本当に4月末までに書き上がるのでしょうか。
 しかし、短編は書き始めました。原書房から出す『密室殺人大百科(仮題)』用のものです。『敷島博士の悪夢の密室』という題名で、80枚の予定。名探偵・二階堂蘭子が活躍します。『ガラスの家の秘密』という、これまた密室殺人ものとどららにしようかと思っていたのですが、後者は少し長くなりそうなので、それは8月の「メフィスト」に載せる『悪魔のラビリンス』シリーズとすることにしました。
 『敷島博士の悪夢の密室』は、7重密室殺人事件になる予定。舞台は十和田湖畔で、『ある蒐集家の死』のすぐ後という時間設定です。






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